銀幕で見るあの日の憧憬

早速観てきましたシル・ウルトラマン。予告で出てきた怪獣と宇宙人からわかる事や予想してた事としては、
1.ザラブ星人やメフィラス星人の話にウェイトを置くためネロンガとガボラは出番少なめ、ウルトラマンの顔見せ的にサクッと倒される程度
2.ザラブ星人が出るなら当然偽ウルトラマンを絡めた展開もある
3.強さ的にはザラブ<メフィラス。メフィラス星人は初代でも戦いをやめ帰って行ったし、ラスボスはまだ隠してる→やっぱり有名どころのバルタン?
とまあざっくりこれくらいでしょうか。1番はハズレかな?かなりの活躍を見せてくれました。

というか全編通して徹底して初代オマージュでできており、初見の人はどう観るのか、というのがやっぱり気になる内容でした。この辺は今後の周囲の反応を見て楽しみたいと思います。

で、異星人の“人となり”を知っている身からすると意外性はほっとんどない。でもめちゃくちゃ金かけて作った『ウルトラマン』を観れたから大満足の100点満点、といった印象です。めちゃくちゃ楽しかったし複数回視聴したいと思える好作だったと思います。
ゾフィーが悪役(という訳ではないが、人類を滅ぼす選択を取る側なので少なくとも味方ではない)としてゼットンを呼んでくるところだけは全くの予想外。視聴者リアリスト諸氏から出てくる当然の疑問『なんでウルトラマンは無条件で人間に味方してるの?』に関してのアンサー役をしっかり務めていて私は良いと思いましたね。何にでも理屈を付けたがるのはおたくの性ですし。多分監修庵野氏、監督樋口氏どっちも入れたかったんだろうし(少なくとも庵野氏は特に)。

・デザイン
ゼットンの無機物感は樋口・前田両氏の手がけた「ウルトラマンパワード」に出てきたパワードゼットンを彷彿とさせ、縞々?蛇腹?の部分が3Dプリントの積層痕みたく見える点が面白い。模型やってて良かった。ネロンガ、ガボラ(と冒頭少し出てきたパゴス)の体の特徴が似ている点は、元は『着ぐるみ改造』という特撮の文化だったものを設定に盛り込んでいてうまいなー面白いなーとかとか。マグラーは地中を掘り進むガボラが既に出てたのでまあ出番ないわな。開幕ゴメス出てきた瞬間にあまりにシン・ゴジラを意識したデザインで笑っちゃいました。
ウルトラマンの神永同化前の顔の話も忘れてはいけません。あれはAタイプでしたよね間違いなく。着ぐるみ改造の件といいウルトラマンのスーツの移り変わりといい、製作陣おじさんだなーと思わせるポイントですね。その他ザラブもメフィラスも人型をしている以外は全く生物に見えないような外見をしていて、この時代のCGだからできる『異星人感』がよく表れていたと思います。着ぐるみだと人間が入る分だけの太さ・厚みが必要になっちゃいますからね。この辺は今作のザラブなんかがわかりやすい。

・ストーリー
ウルトラマンが変身者と同化する経緯も、初代では誤って殺してしまった贖罪として命を分け与えるという、ある意味でハナから人間の味方、ないし人間の命に価値を感じている様な描かれ方でしたが、対してシンでは自己犠牲の精神を不思議に思った傍観者が興味本位で…というウルトラマンの異星人としての異質さを強調されたものになってました。今作の魅力はそんな異星人が人間の『群れとその文化』に触れる事で人間の価値を見出し、感情に変化が訪れていく…という一連の流れです。
ラストのゼットン戦までのストーリーの繋がり、負けると知っていながらも突っ込むところ。あそこがとても良かった。他でもそうですがヒーロー作品を観るたびに『ヒーローをヒーローたらしめるのは力ではなく精神性である』というのを思い知らされます。勇気と無謀は違いますが私はこの考えが大好きだし、ヒーローに憧れる1番の理由です。余談ですがアメスパ2のエンディングではボロボロに泣きました。為せばなる 為さねばならぬ 何事も

「人間の無力さ」がザラブ星人とのやりとりあたりから強調されたところがありましたが、この辺についても発見があり、シン・ゴジラでは戦わなければならない状況だったからこそ強くあった人間達ですが、今回はウルトラマンというヒーローが助けてくれるので自分たちで頑張らなくていい、といった描かれ方でした。この作品間の対比もなかなか面白いですよね。ゴジラでも本気でリアルを描いたつもりだったんでしょうけど、個人的にはこっちの方が画面の中の現代ニッポン人に感情移入しやすかったです。

ラストではそんな無力な人間たちがウルトラマンからもらった『希望』を武器に、自分たちにできることを必死で取り組んでゼットンに勝利する。王道で良いですよね。ぐんぐんカットでは勇気と希望と幼年期の思い出、空想と浪漫が混ざり合ってちょっと泣きました。ゼットンの倒し方もペンシルロケットなんていうビックリドッキリメカを使わず、できることを最大限やってみて、さらにウルトラマンの力を掛け合わせて一か八か、と言うもので説得力があり非常に好印象です。『もうあいつ1人でいいんじゃないかな』はウルトラシリーズにはつきものな問題。ここに具体的に踏み込んでこそ今回のシン・ウルトラマンです。例えば人類の祈りが通じウルトラマンが超パワーアップ、強化したスペシウム光線でゼットン破壊して大勝利だったら評価は違っていたんではないでしょうか(それはそれで観たい気もするが)。

そして締め。最後まで諦めなかったウルトラマンと人間たちに敬意を表しゾフィーが地球を破壊しない選択をする、という優しい展開。神永に命を預ける選択はウルトラマン自身が他ならぬ神永から学んだ自己犠牲の精神であり、異星人にも愛情が理解できたことを示しています。ウルトラマンは優しさと力が両方備わっている、最高のヒーローなのです。やっぱり神永は初代オマージュで記憶がすっぽり抜けてたりするのかな。


『誰かの感想』を見てあ〜それそれ!ってなる前に自分でなにを思ったかちゃんとアウトプットしようと思い急いで書き出したこのnoteですが、結局画面から得られた情報を並べただけになってしまいました。自分の能力の低さに気付かされ嘆くことになる訳ですが、この辺も含みで友人と感想会を開くときのネタにしようかと思います。あなたもシン・ウルトラマンを観てレッツトライ。

ガボラの倒し方とか巨大フジ隊員とかウルトラマンの色とか、他にもいろいろあるんですが、キリないし早くパンフレット読みたいのでこの辺で。

おわり

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