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不動産価格とPOIの相関の調査


はじめに

こんにちは。今回は、非伝統的な指標に基づく不動産価格の算出をテーマに、GEOTRAの取り組みをご紹介します。

McKinsey&Companyが出版したレポートによれば、築年数や空き状況、地区の平均世帯年収などの、これまで用いられてきた伝統的な指標に加え、不動産に関連するあらゆるビッグデータを参照することで、より正確に不動産価格を予測できるようになりました。

これらのビッグデータは、「1km圏内のカフェの店舗数」や「建物内のエレベーターの稼働状況」、「周辺の飲食店の評価」など、多岐にわたります。こうした非伝統的な指標、とりわけ周辺施設に関するデータは、将来の不動産価値と約60%もの相関性を有します。

このように、対象となる不動産の特性に合わせて非伝統的な指標を取り込むことで、最適化された不動産投資やデータ・ドリブンなまちづくりを実現することができます。実際に、不動産アセットマネジメントにおいて、伝統的な指標と非伝統的な指標を掛け合わせた予測モデルの活用が進められています。

本記事では、不動産価格とPOIの相関を調査した結果をご紹介します。POI (Point of Interest)とは、「地図上の特定のポイント」を指し、飲食店や病院、小売店等、あらゆる目標物や施設がこれに含まれます。GEOTRAはPOIが不動産価格に影響を与えるという仮説に基づき、本調査を実施しました。以下では、調査の具体的な流れを見ていきます。

調査の流れ

1.公示地価の可視化

今回は東京都と宮城県の2地域を対象に、グルーピングしたメッシュに含まれる緯度経度ポイントの地価の平均を計算し、令和4年度の公示地価を可視化しました。赤い部分は地価が高いことを表しています。

図1:公示地価(東京都)、当社作成
図2:公示地価(宮城県)、当社作成

2.POIとの相関算出

次に、POIをグルーピングし、カテゴリ別のスポット数と公示地価との相関を求めました。その結果、店舗数が多いほど地価が高くなりやすいこと、特に東京都での相関関係が強いことがわかりました。

一方で、Travel and Transportation(交通・グラフ右端)に着目すると、宮城県の方が、相関が強いことが読み取れます。これは、東京都に比べて、宮城県の交通アクセシビリティの地域差が大きいことが原因であると考えられます。
Health and Medicine(医療・グラフ右から5番目)に関しても同様の考察ができます。
この調査結果をもとに、どういった施設が地価に影響を与えうるのかを把握することができます。

図3:R4公示地価とカテゴリ別スポット数との相関、当社作成

3.推定地価との比較

最後に、東京都と宮城県各地の地価を、説明変数をPOIスポット数として重回帰分析、最小二乗法等で推定し、その推定価格と公示価格を比較し、割安、あるいは割高な地域を可視化しました。

東京都の推定精度は0.634である一方で、宮城県の方が中間色を示すメッシュの割合が多く、推定精度が0.904と非常に高いです。
これは、スポットの種別が東京都では比較的均質であるところ、宮城県では地域差があることに由来すると考えることができます。

図4:公示地価-推定地価比較(東京都)、当社作成
図5:公示地価-推定地価比較(宮城県)、当社作成

まとめ

今回のPOIの切り口から調査を実施し、その過程で東京都と宮城県で都市の性質が異なることが視覚的にも、数値的にも示されました。

今後は多様な人流データを用いて、より具体的に人流と不動産価格の関係性を把握し、実際の事業に活用できることが期待されます。

最後に

ここまでご覧いただきありがとうございました。
本記事では、GEOTRAが行った不動産価格とPOIの相関を調査した結果について、ご紹介しました。
GEOTRAでは、独自の個人情報保護技術により、人々の動きや行動目的などが高粒度に可視化された人流データ、GEOTRA Activity Dataをご提供しています。更に人流データのご提供に留まらず位置情報データ全般に関する利活用促進のためのご支援を行っております。

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