成年後見人の家族への情報開示

家族への財産状況の開示について

被後見人の家族は、後見人がどのようなことをして、現在の財産状況はどうなのかを把握しておきたいということもあります。
自分の親などの家族についてまったく分からないというのも不安だと思います。
また、被後見人の家族とは、後見事務を円滑に行うためにも、連携を取っていたほうがよいこともあります。
そこで、後見人の裁量で、後見事務の状況を開示することは問題ありません。
今回の長男のように、利害関係のある第三者は裁判所の記録を閲覧謄写の請求をすることができ、裁判所は相当と認めるときには情報を開示することになります。
あとは、裁判所に判断を委ねることになります。

https://shingu-kouken.com/%E8%A2%AB%E5%BE%8C%E8%A6%8B%E4%BA%BA%E3%81%AE%E5%AE%B6%E6%97%8F%E3%81%B8%E3%81%AE%E6%83%85%E5%A0%B1%E9%96%8B%E7%A4%BA/

というように成年後見人の財産状況について家族であっても開示する義務がありません。
成年後見人が開示してくれない場合は、裁判所での記録を請求することになります。

どのような場合に開示されるのか

これについて、村田斉志最高裁判所事務総局家庭局長が、実践成年後見No.68のP.31において、次のように述べられています。
「…一定の範囲の親族は、成年後見人等の解任の申立権があるわけですが、そういった方々から、記録の閲覧の申請があった場合には、そういうものもある種有効なチェックであると受け止めて、不当な目的で行われた濫用的な申請でなければ、可能な範囲で裁判官が記録の閲覧を許可するという運用が行われているところもあるようです。」
このような裁判所の運用について親族に説明することも必要ですね。

https://ameblo.jp/maminomura/entry-12267382115.html

とあるように、単に知りたいからではなく、成年後見人等の解任の申し立て権者があるため、記録の閲覧により、成年後見人の不正問題もあるので、
裁判所の裁量で開示されることがあるようです。

参考 姉の成年後見人、財産の説明せず

成年後見人はご本人の生活の維持や財産管理を職務としており、その他のことに関しては裁量の範囲での対応となります。親族に財産の状況について説明しても職務に反することはなさそうですが、あくまで成年後見人の判断です。

 成年後見人は親族等の申し立てにより、家庭裁判所が選任します。成年後見人は定期的に報告を家庭裁判所に提出することで被成年後見人の財産状況に関するチェックを受けています。

 成年後見人に聞くだけでは分からない時、家庭裁判所にその定期報告書の閲覧、謄写を請求し、認められれば書面で財産状況を確認する方法があります。ただし、閲覧・謄写が認められるかどうかは家庭裁判所の判断次第です。

 不正の目的でなければ基本的に認められるようです。閲覧・謄写が認められるケースとして、成年後見人の解任申し立てができる親族等によるチェックの場合などがあり、あなたも含まれます。

https://tanosenior.jp/end-of-life-planning/20240426

裁判所が後見人等に意見照会を行う場合がある

親族が、後見記録の開示を求めて閲覧謄写申請をした場合、開示に関しての基準等。
親族が「当事者」か「利害関係を疎明した第三者」かによってちがってくる(家事事件手続法第47条)。

「当事者」 (申立人・参加人)
原則:許可
例外:不許可事由がある場合に不許可

「利害関係を疎明した第三者」
相当と認める場合に限り許可以上をふまえた上で、
「本人の親族から記録の謄写請求があった場合には,記録の謄写請求の対象となる事件がどういう事件なのかに応じて,当該親族が「当事者」と「利害関係を疎明した第三者」のいずれに該当するかを判断した上,前述の家事法47 条の要件に照らして,事案に応じた個別判断を行っていくということになる。また,許可するか否かの判断に際して,後見人等に意見照会を行う場合もあり,その場合は,後見人等の意見も考慮した上で判断を行っている。」

記録の閲覧謄写を求める親族は、ほとんどが「利害関係を疎明した第三者」ですが、裁判所がどういう場合に相当と認めて許可するか、結局は事案に応じて個別に判断する。

裁判所が後見人等に意見照会を行う場合、親族がいきなり裁判所に記録の閲覧謄写を請求するのではなく、事前に後見人とやりとりをしたうえで請求することが多いことから、後見人は裁判所に経緯等を説明し、意見を述べることになります。

https://www.koken-osaka.com/news/2020/05/11/6941/


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?