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【イタリア映画”Delitto D' amore~『ミラノの恋人』(邦題)】

イタリアへの造詣も深くない私であるが、「福岡日伊協会」という会に入っている。コロナ禍前は、イタリアにまつわる講演会やクリスマス会、映画上映会がなされていた。
コロナ禍であっても、状況が良ければ、主催のイタリア映画館鑑賞会は続いていて、私にもご案内がきた。
会員対象で無料で鑑賞させていただける。今までもご案内はあったが、1度も行ったことがなかった。
私、現実のイタリアという国にも行ったことがない。生きているうちに1度くらいは行けるかな?と思っていたし、まだその可能性は十分あるが、いつのことになるのかはわからない。だとすれば、映画を通じて見識を深め、教養を高めるか!(無料で見せていただけるのだし)どんな監督かどんな映画かどんな俳優さんかよくわからないけど。。
行ってみようと申し込んで行ったのが下記の映画。
日本ではDVDでは観ることが出来ないお宝映画だということが映画上映前の解説でわかる。

邦題「ミラノの恋人」、原題”Delitto D' amore" (1974年)
監督 ルイージ・コメンテーニ
主演 ジュリアーノ・ジェンマ ステファニア・サンドレッリ

Delitto という単語が”ミラノ”という地名ではないことはわかる。家に戻って、調べてみると、Delittoは「犯罪」ということで、原題は『愛の犯罪』ってこと。
内容は原題がぴったりで、何故「ミラノの恋人」なんぞ、甘ったるいタイトルにしたんだろうと映画を観た後、思う。
工場労働者の男女の恋愛が軸なのであるが、幸せ一杯の恋愛模様ではない。イタリアの貧困、強固な家父長制、イタリアの「北」の出身か、「南」の出身か、(例えば北のミラノ出身者と南のシシリア出身者の結婚は家族が大反対する)交際する相手側のイデオロギーの問題。イタリアはカトリックの国だと思っていたが、家族によっては、アナーキストの家庭の家族もあり、無信仰、結婚式は役場で形式的に!
が、一方敬虔な信仰ある家庭では、結婚式は教会で司祭にあげてもらいたい!
アナーキスト家族とカトリック信者画像の結婚式は、それぞれの"信条"から折り合いがつかないなど、なるほどステレオタイプのイメージてしかイタリアを見ていなかったと気づく。
また社会背景では、世界的に1970年代から工場が増え、有害な物質が発生する環境で労働に従事する工員の健康がむしばまれていくと言う問題、また工場から流される汚水で川が汚染されていくという問題などなど。
ひと組の男女の恋愛模様を巡って、実は貧困、公害、家父長制、男尊女卑、イデオロギーの相違他、社会問題がぎっしり詰め込まれている硬派な社会派の内容。大げささも装飾もなく描かれている1974年、48年前の映画は、非常にインパクトがある作品であった。
「愛の犯罪」という原題以外、タイトルはないだろうと思う。
(備忘録として)
#ミラノの恋人 #ルイジコメンテーニ #ジュリアーノジェンマ  
#ステファニアサンドレッリ #イタリア映画

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