東大でドイツ語漬け?-TLP(トライリンガル・プログラム)を紹介!

文責 MasterEve

こんにちは、駒場祭が迫っていながら執筆に追われている企画代表ことMasterEveです。


突然ですが、私は入学時に第二外国語としてドイツ語を選び、このAセメスターからはTLP(トライリンガル・プログラム)に参加しています。

といっても東大生でなければ、TLPというものを聞いたことがない人が多いでしょう。

この記事ではTLPについて、私の経験とともに紹介していきます。
(「そもそも『Aセメスター』とは?」という人も読んでいけばわかります。)


目次

TLPとは?
・TLPの利点
・TLPの難点

TLPに参加する方法は?
・基本は入学時
・知られざる「編入」




TLPとは?

TLPとは簡単に言うと「日本語&英語は十分扱えることを前提に、第二外国語をいっぱいやってトライリンガルになろう!」というプログラムです。
2021年度現在、中国語、ドイツ語、フランス語、ロシア語、韓国朝鮮語、スペイン語の6言語で実施されています。
(ちなみに入学時に第二外国語で選べるのはここにイタリア語を加えた7言語です。TLP実施言語は2013年の発足以来徐々に増えているようなので、イタ語もそのうち実施されるでしょう。)

公式ホームページはこちら。
http://www.cgcs.c.u-tokyo.ac.jp/tlp/


さて、「いっぱいやる」とは具体的にどのくらいなのでしょうか。

ポイントは、「高密度」・「高頻度」です

まず高密度ですが、TLPの1クラスの人数は最大で20人です。そのためTLPは誰もが参加出来る訳ではなく、後述の方法で選抜されます。
ちなみに現在私が所属しているクラス(ドイツ語Aクラス)は、履修の関係で辞退する人がいたなどの事情もあり、学生はたった9人です。
少人数に絞ることにより発言や会話の機会が増えたり、先生に直接見てもらえる1人あたりの時間が長くなったります。その分外国語が定着しやすくなるということですね。(悪くいうとサボれない)

次に高頻度についてです。
TLP受講生は、普段のクラスでの必修科目に追加する形でTLP科目を受けるため、第二外国語の授業の数が大幅に増えます。細かい授業数は言語によって異なりますが、例としてドイツ語だと以下のようになります。
(画像は画像に紐づけたリンク先から引用)

画像1

※表の注
・週1コマに対して2単位です。
・Sセメスター/Aセメスター:それぞれ春学期(前期)/秋学期(後期)のこと。東大では2S(2年のSセメスター)のあとに進学選択が行われるため、TLPはそれまでの3期分行われます。
・一列・二列:いわゆる必修科目で、TLPに関係なくすべての1年生が受講するもの。


ご覧の通り、週に最大5コマも第二外国語の授業があるのです。これは二外漬けと言ってもいいでしょう。
ちなみに現在筆者は理系の1Aセメスターなので、ドイツ語の授業を週4コマ受けています。

以上のように高密度・高頻度で第二外国語をまなぶことで、4技能(読む、書く、聞く、話す)をみるみる上達させることができます。


・TLPの利点

TLPでは上記のとおり集中して第二外国語を学ぶことができこの時点で十分利点があるといえますが、まだまだ利点はあります。その例がこちら。

・TLP生限定の国際研修
言語によって詳細は異なりますが、TLP生のみ参加できる国際研修が長期休業中に行われたりします。この研修では実際に短期間海外に行き、本場で外国語を学ぶことができるのです(現在はオンラインで実施)。ちなみに単位もつきます。
筆者も来年の春休みのものに参加し、ドイツ語集中講座を受けたり、現地の学生と交流したりする予定です。

外国語検定の受験
これは筆者自身が授業内で聞いただけであるためドイツ語以外の情報はしらないのですが、少なくともドイツ語ではドイツの教育機関が実施している検定試験の受験が推奨されます。受験料は英検などよりももっと高いのですが、なんとその全額を大学側が負担してくれるのです。これは非常に受けるしかない。

・キャップ制対象外&優3割規定対象外
この辺りは履修についての細かい内容なので東大生以外には伝わりにくいですが、簡単にいうと進学選択で有利になります。特に、筆者が希望する工学部への進学では制度上かなり有利です。


・TLPの難点

当然ですが利点に対して難点もあります。

・負担が大きい
完全に高密度・高頻度の裏返しです。TLP用の授業だけで週に3コマの時間をとられ、かなりの時間を課題や自主学習にかける必要があります。(「東大 tlp」で調べると3番目に「東大 tlp 大変」が出てくるくらい大変です。)当然外国語以外の大学の勉強と並行して学ぶ必要ああるので、それなりの覚悟がないとやりきることは大変かもしれません。

・履修が被る
前述のとおり1週間のうち3コマがTLP科目で埋まってしまうので、ほかにとりたい科目があっても時間が被って履修できないことがあります。筆者個人としてはこれが盲点で、前セメスターから楽しみにしていた工学系のある科目をこの理由であきらめることになりました。


以上のとおり難点はあるものの、第二外国語をたくさん学びたい人にとって、TLPはこれ以上ない環境といえるでしょう。では、この環境に身を置くためにはどうしたらいいか、次でご紹介しましょう。


TLPに参加する方法は?

前述したとおり、TLPに参加するには条件が要ります。こちらではそれを詳しく解説していきます。
(筆者自身もその条件をクリアした身なので自慢のようになってしまいますが、あくまで客観的に書いているつもりです。ご容赦を。)


・基本は入学時

TLPに参加できるかどうかは基本的に入学時に決まります。申し込み方法は、合格発表直後の第二外国語選択の際に「TLP・〇〇語」と書くことです。

参加の可否は後のクラス分けで判明するのですが、その選考方法はズバリ入試の英語の点数です。というのも、「トライリンガル」とはそもそも「3か国語を操れる人」を指すので、英語ができないまま第二外国語を学んでもトライリンガルにはなれないからです。
点数の基準は、大学の資料では「上位一割程度」とされています。この一割というのは合格者のうちの一割であって、受験者全員の一割ではありません。なかなかに狭き門ですね。

ちなみにこちらの非公式の統計によって、各言語のTLP参加基準がある程度明らかになっているようです。
※東大英語の配点は120点です

https://twitter.com/todai_info/status/1387010651751469057?s=20


・知られざる「編入」

じゃあ入試のときに点が取れなかったら終わりなのかと思いきや、実はまだ「編入」という方法があります。

なんせ私はその編入して入った者のひとりなのです(冒頭で「Aセメスターから」と書いたので気づいた方も居たでしょう)。

編入に関しては情報がかなり少ないので以下は一部自分の経験や推測を含みますが、参考程度にお読みください。


チャンスは2回、1年の夏休みと春休みです。

しかしこちらの場合、入学時に比べて条件が厳しいです。

~編入するためには~
①前セメスターで、必修の英語で上位1割程度の成績をとる、かつ必修の第二外国語で「」(上位3割程度の成績)をとることで、「編入試験」の受験資格を得る
この告知が、前セメスターの成績発表が行われる1週間程前(夏休みであれば9月上旬)に行われます。

②「編入試験」を受け、合格する
時期はセメスター開始の2週間程前(夏休みであれば9月20日頃)です。
編入試験の合否は数日後にわかります。

受験資格だけでも、入学時と違って英語に加えて第二外国語の成績も求められます。厳しい。

そして、「編入試験」はなんと口頭試問です。私の場合はドイツ語ネイティブの先生方2人とzoomで会話をしました。おそらく他の言語も同様と思われます。

(ところでこのTLP編入制度ですが、学内でさえ知名度がかなり低いです。一応前期課程のお知らせページで告知はされているのですが、ほかの情報に埋もれがちなのかもしれませんね。もしこれから東大をめざし、入学した際は外国語をたくさん学びたいという方は、この記事によって事前にTLPのことだけでなく編入試験のことまでも知っていれば、かなり情報強者です。)


以上がTLPの紹介になります。学外にはあまり知られていない制度ですが、お分かりいただけたでしょうか?
これから東大を目指すという方、またいま東大の1年生で二外が楽しくなってきたという方、ぜひこの記事を参考にTLPを選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

本来はこの後自分語りパートとして自分のドイツ語学習の体験記を書くつもりでしたが、時間の関係でとりあえず今回はここまでとさせていただきます。もしかしたら駒場祭期間中に追記するかも?


ということで、ここまで読んでくださりありがとうございました!!

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