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ほんのしょうかい:ニコラス·G·カー『ネット·バカ』〈『思想の科学研究会 年報 Ars Longa Vita Brevis』より〉

ニコラス·G·カー『ネット·バカ』(青土社)
 もはや、ネットの利便性を疑う人はいないでしょう。しかし、著者はネットがもたらす利便性ゆえに、私たち現代人は馬鹿になったとします。ネットを、外部記憶装置として、時には思考演算装置として使う現代。ウィキペディアでの浅い情報でわかったつもりになり、それ以上に調べる必要も、考える必要も感じていない。長い文章を「読むこと」ましてや「書くこと」も出来なくなっているとの指摘です。タイトルやコピーのうたい文句に、大袈裟なものを感じて読み始めましたが、具体的な数字を上げながら出される指摘に、多くの部分が私自身にも当てはまるのを自覚してゾッとしました。この本は、自覚なき「単純化」や「思考の放棄」が、知らず知らずのうちに蔓延っているという現実を突きつけます。さらにはネット中毒の現代人にとって「オフラインで過ごす」ことを、もはや難しいと著者は指摘します。 コロナ禍で、ネットでの情報共有がさらに加速化しているのが現状です。クラシカルな意味での「読むこと」「書くこと」「思考すること」の必要性が突きつけられています。(橘正博)



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