見出し画像

画廊の楽しみ方ーーなんで画廊に足を運ぶのか(35)

 三十二回で、アーティストは、ある程度、同じ画廊で発表すると書きました。三十四回では、画廊企画と、貸画廊の違いを少し説明しましたが、続きです。

 前は画廊の運営者の立場から説明しましたが、今回は、作家の視点から 分かる範囲で説明してみます。(細かいところは誤解もあると思います)

 美術を志すものが、大学卒業した後、作品を販売していきますが、いいものを作っていても、それを人に、社会に見せなければ、始まりません。
 アーティストというのは、基本的には個人業種でどこかに所属しているわけではありません。
(ただ、ある画廊やグループと専属契約していることもあります)
 だから、どこかで自分を宣伝していかないとならないわけです。

 卒業展、もしくは二科展などに出品していくわけですが、市場的な視点からすれば、ある意味、見本市みたいな要素もあります。そこに、可能性のある作品を生み出す作家を探しに来ている人もいるでしょう。
 二科展などのグループ展は、ギルドというか作家組合みたいなものが、会員の協力のもとで展示、見本市を開く、そういうものでしょう。その中から
世間や市場に認められるものが出てくるわけです。ただ、そこに会員として所属することは、緩さ、キツさの違いはあれ、ある種の派閥に属することにもなります。そこで一生懸命に頑張れば、どうにかなるというものでもないようです。
 結局は、作家としてどのように生きていくかということになります。

 自分を世間に導いてくれる一つの道が画廊ですが、画廊企画というのは、簡単に言えば、画廊がプロデユースする興行のようなもので、商売になる作家を呼んでくるわけです。この時は、経費からは基本的に、画廊持ちですが、絵が売れた際は、画廊と作家であらかじめ決めておいた比率で売り上げを分配します。

 貸画廊のシステムは、インディーズのバンドが、ライブハウスをお金を出して借りて、そこで演奏する、そんな感じです。ですから、会期中、お金を出してそこを借りるわけです。絵の売り上げは、画家が多くとっていると思います(それぞれの画廊における実際は、それぞれでしょうが)。
 この賃料というのは、調べてもらえばわかるでしょうが、そんなに安いものではなくて、一週間で五〇万は軽くかゝると思ってもらってもいいでしょう。
 絵はそう簡単に売れるものではないですから、その部分の経費をどこかで準備しながら、自分を宣伝していかないとならないという、そういう世界で彼らは生きています。

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?