信念を持ってやり続けることの重要性
降りしきる雨の中、場を包む穏やかなムード。そして爽やかな話手の口調と笑顔。
長靴にジーパン姿のヤッホーブルーイング井出社長は、聴衆の前で話し始めた。首から下げたネームタグには「てんちょ」の文字。何ともユーモアなニックネーム。そのニックネームも、ご本人の人柄を投影しているように感じた。
トークは”てんちょ”の自己紹介から始まる。ご経歴の詳細は「エン転職」のサイトにまとまっていたので省くが、とにかく「てんちょ」も私と同じように、ご自身のキャリアに悩まれた20代を過ごした上、紆余曲折の末にヤッホーブルーイングに入られたようだ。ヤッホーへの入社エピソードもとても興味深いものであった。
無職の時代にバイク旅で自分と向き合うことで、「人が好き」「自然が好き」という価値に気付いたとおっしゃる井出さん。その心に忠実に一貫してキャリアを歩んでこられたようにお話を聞いていて感じた。
印象的だったのは、チームビルディングに徹底的に取り組まれていた時の「朝礼」に関するお話。「朝礼」を始められた頃は、会社の売り上げも低迷していたこともあり、チームのムードも悪く、井出さんがメンバーに声を掛けられても、皆「何もありません。」の一言だけだったようだ。
楽天市場に出店する事業者を育てる「楽天大学」にも通われていた井出さん。そこでチームビルディングについて学ばれ、「自分がやりたいのはこれだ!」と認識し、社内のメンバーから白い目で見られながらも、ただひたむきにそのマインドセットをチームにインストールする努力をされ続けた。その心は、「人が好き」というご自身の信念(Core Value)から来ているようであった。
チームの変革には数年を要したとおっしゃった井出さん。「朝礼」もお通夜状態がしばらく続いていたが、それでもチームの力を信じ続け、メンバーに語り続けられたことで、そのうち1人、また1人と、少しずつ発言してくれるメンバーが増えていったそうだ。次第にメンバーも意見を「アウトプットする」ことに慣れ、新たなアイデアの芽が生まれ、それがチームのカラーを作っていくことに繋がっていったようだ。
現在のチームのことを「日本版ティール組織」ともおっしゃっていた井出さん。全員がフラットに繋がり、率直に意見を出し合い、そして議論する。このセッションの前日は来年度の方針に関する会議だったそうだが、会議は朝(恐らく9時)にスタートし、1時間半の井出さんのプレゼンテーションの後は、ずっと夕方(17時半ごろ)まで質疑応答の時間だったとのこと。井出さんのメンバーとの向き合い方もすごいが、メンバーも徹底的に社長と議論している姿を想像すると、とんでもないが、とても理想的な組織だなと感じた。ここまでチームが変えることができたので、井出さんは「自分は何のために仕事をしているのか?」に確信を持ってお話しができるのだろうと感じた。
ブランド作りにも感じる信念
ヤッホーブルーイングといえば、「よなよなエール」にも代表されるキャッチーなネーミングだ。トークの中でも代表ブランドでもある「水曜日のネコ」「インドの青鬼」のエピソードをお聞きした。
ブランドのネーミングをされる際に意識をされていたのは、「どういう名前だと他者ブランドと差別化できるか?」といったことではなく、「このビールを、どういう人に届けたいか?」ということ。
「水曜日のネコ」は、若いキャリア女性に届けることを目的に開発されたビールだったよう。1人あたり2時間にも及ぶインタビュー調査を行い、徹底的にターゲットとなる層の趣味・嗜好を汲み上げて作り上げられたそう。老若男女に嫌われないモノを開発するよりも、むしろ好きな人だけに飲んでもらうことを信念に、この名前を付けられたようだ。
このように徹底的にこだわることで、徐々にファンを増やし、愛されるブランド作りを実施されていることに感銘を受けた。
私自身への応用
果たしてこのお話を聞いて、私は自身のセルフブランディングにどう生かしていけるだろうか?
まずは、「自分のスキ」に忠実に生きることだろうか。
私なら、「旅が好き」「コーヒーが好き」「チャレンジしている自分が好き」などだろうか。
これらを大切にし、私というブランドを育んでいきたい。
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