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1980年代ベストアルバムランキング100-51

100位~

100. Talk Talk - Sprit of Eden (1988)

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最初に登場するのは1981年イギリスで結成されたバンドTalk Talkの4thアルバムだ。Talk Talkはデビュー時ではDuran Duranのようなニューロマンティックな音楽性であったが、徐々に独自のポストロック路線へと変わった。このバンドはその1stから順々に聴いた。1stはそんなに面白くなかったものだが、そのエレポップな路線から本格的に脱却を試みようとした3rdから彼らのオリジナリティに魅力を感じ始めた。そして本作の4thはロックバンドらしからぬトランペットからヴァイオリン、さらにはオーボエやコーラングレといった、様々な楽器から繰り出される音、音の響き、ヴォーカルの切ない雰囲気などただただその美しさに酔いしれた気分にさせてくれる名作である。

オススメ: 「Eden」

99. Quincy Jones - The Dude (1981)

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びっくりした。一曲目の「Ai No Corrida」が思いっきり聴いたことある曲だからだ。全く構えてないのにいきなり聴いたことあるサビが流れると何か嬉しくなっちゃうよね。さて本作はマイケルジャクソンのプロデューサーでもおなじみQuincy Jonesの作品。アルバム全体的に「Ai No Corrida」のようなポップソウル、ディスコでアレンジや演奏も流石と言わんべきハイクオリティ。まあマイケルジャクソンの1979年作「Off the Wall」が好きなら間違いなく合うだろうし、これが好きならマイケルジャクソンの作品も絶対好きになるだろう。

オススメ: 「Ai No Corrida」

98. Judas Priest - British Steel (1980)

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Judas Priestといえばメタルを主食として聴かない自分も知っているほど、「メタル」というジャンルの代表的バンドである。今作もキレッキレなメタルサウンドは流石ヴォーカル、ロブハルフォードというメタルゴッド率いるバンド、ちなみにメタルゴッドという愛称は今作の曲名に由来しているらしい。今作の良かったところはサビでひたすら「Breaking the Law!」と繰り返す「Breaking the Law」だったりシンガロングしてくれと言わんべき「United」や「Living After Midnight」のキャッチーなメロディなどメタルたらしめる硬派なカッコよさは健在なものの、案外ノリの良い曲が多くてそこが好きになった。

オススメ: 「Living After Midnight」

97. Scritti Politti - Cupid & Psyche 85 (1985)

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近年は、といってももう何年も80年代リバイバルが続いている気がする。最近ではThe WeekndやDua Lipaといった最先端のポップシーンを駆け抜けるアーティストからFickle FriendsやRoosevoltなどのインディーポップシーンでも80年代を彷彿させるポップが流行っている。Scritti Polittiを聴くなら後者のインディーポップファンに特に薦めたいところ。「Small Talk」や「Perfect Way」なんかはザ・80’sなポップであるし、どの曲も曲調やアレンジのクオリティがよく出来ていてかつ、ヴォーカルの中性的な声色は作風に合う。聴いていて楽しいシンセポップだ。

オススメ: 「Small Talk」

96. Red Hot Chilli Peppers - Mother's Milk (1989)

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ご存知アメリカの国民的バンドの4thアルバム。また今作からジョンフルシアンテとチャドスミスが加入している。これは良い作品だが、wikiによれば制作段階でプロデューサーと揉めていたらしい。だからといってかは分からないが、後半にそれまでの作風にそぐわない謎のインスト曲を挟んだり、後半はとっちらかった印象はあるというものの、それをカバーするほど前半のファンクメタルは1989年以前には感じない新しいロックの可能性を感じたし、カッコいい。Stevie Wonderの名曲「Higher Ground」を原曲の雰囲気に全く合わないオルタナロックにした生意気さも挑発的で良いし、ドラッグ中毒で亡くなった元ギタリストに捧げた「Knock Me Down」の哀愁ただようメロディ運びの流れも好き。名盤である。

オススメ: 「Knock Me Down」

95. Lisa Stansfield - Affection (1989)

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イギリスはランカシャー出身のポップアーティスト。10代からタレントとして活躍しているようで、早くからショービズの世界にいたからかは全く定かではないが、デビューアルバムとは思えない程洗練されたポップアルバムとなっている。現代で言ったらCarly Rae Jepsen好きに聴いてもらいたいところ。ポップの中でもクラブポップといったところでLisaのソウルフルな歌唱とビートがしっかりと作り上げられていて、きっと当時のクラブで流れまくったんだろうと思う。特筆すべき名曲は「Live Together」。6分とポップにしては珍しい長尺な曲ではあるが、シンセポップな作風にオーケストラの綺麗な音が流れ、Lisaのソウルフルな歌唱っぷりはロマンチックな雰囲気を演出していて6分でも全然飽きない。こんな順位だがマジで聴いて欲しい。

オススメ: 「Live Together」

94. Bauhaus – The Sky’s Gone Out (1982)

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80年代の名盤巡りをしていると、まず前半にぶち当たるのがあらゆるポストパンクの作品。実際のところポストパンクという定義がしっくりきてないので、そこまで多くの作品に魅力を感じなかったが、魅力を感じるバンドもいた。その一つがBauhausだ。イギリスのバンド、Bauhausはポストパンクの中でも妖しい激しさを備えていてそこが彼らがゴシックロックの先駆者と言われているところだと思う。Amazonのとあるレビューで、彼らはポストパンクの中でもハードロック的な音のカッコよさがあるといわれているがまさにその通りで、攻撃的な激しいグルーヴはハードロック的な大胆さがありつつも知的な振る舞いを見失っておらず、そういったアプローチに私は惹かれたんだと思う。特に「In the Night」は徐々にスピードアップし、ロックに魅せていく良い曲だ。

オススメ: 「In The Night」

93. The Smiths - The Smiths (1984)

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個人的80年代UK4大ロックバンドの一組。日本でも途轍もない人気のあるバンド。70年代後半から始まったパンクは怒りが込められていてそれが音楽にも顕著に出ていた。80年代が始まってパンクの流れを引き継ぎながらも独自のアイデンティティを含ませたポストパンク、ニューウェーブが台頭してきたが、The Smithのデビュー盤にはそれらとは全く似て異なる音楽のように聴こえる。退廃的かつ上品で耽美、さながら音楽はポップさを失わなず、ジョニーマーというギタリストによる美しい旋律などなど、デビュー盤にして無茶苦茶に存在感を示している。

オススメ: 「This Charming Man」「What Difference Does It Make?」

92. Dead Kennedys - Fresh Fruit for Rotting Vegetables (1980)

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アメリカのカリフォルニア出身のハードコアパンクバンド。これもまた80年代の音楽巡りをしていると様々なハードコアパンクの名盤に出会う。ハードコアパンクとはだいたい曲が1~2分。音質を犠牲にしている。ヴォーカルが叫び散らかしている。Dead Kennedysのデビュー盤も例外ではない。Sex Pistolsのジョニーロットンを彷彿させるシャウト、荒れた演奏の中で引き立つギターのカッコよさとか、それに「When Ya Get Drafted」のロカビリーっぽさ、「Let’s Lynch the Landlord」でサーフロックっぽくなったり、ちょいちょい他のジャンルが組み合わさって面白い。

オススメ: 「When Ya Get Drafted」

91. Depeche Mode - Black Celebration (1986)

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個人的80年代UK4大バンドその②。後々に残り二つのバンドが出るがこの4つのバンドはそれぞれの退廃的な雰囲気を持っているがその中に美しさがあって素晴らしい。その一組であるDepeche Modeは大まかにいうとシンセポップバンドであり、今作では特にゴシックロック的な儚い雰囲気が全体的にある。この時代の他のバンドと比べても圧倒的に作品の完成度は高く、バンドがスタジアム級の人気があるのも納得できるし、多くの人がこの作品を最高傑作に選ぶのも頷ける。ファンから見てこの作品はDepeche Mode入門にうってつけの作品らしいので聴いたことない方がいましたらこの作品から手を付けるのはどうだろうか。

オススメ: 「A Question of Lust」「Here is the House」

90位~

90. The Cure - Pornography (1982)

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個人的80年代4大ロックバンドその③。The Cureは前述したThe SmithsやDepeche Modeとは違うダーク、今作なんか特にゴシックロックに感情をむき出しにした音楽で前述の2組より吐き出したヴォーカルスタイルで、独特な声質がなんとも味わい深さがある。沈鬱で暗いメロディではあるが、確かに踊れるリズムがありノリやすい。そういった側面で万人ウケしなさそうだが当時の人々からカルト的人気が出そうだ。

オススメ: 「The Hanging Garden」

89. David Bowie - Let's Dance (1983)

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David Bowieの作品の中でもめちゃくちゃ売れたらしい。Chicのナイルロジャーズをプロデュースに迎え、非常にダンサブルな作品になっている。歌メロの良い曲も多いのだが、ナイルロジャーズとスティーヴィーレイヴォーンのギターの音が歯切れがよく気持ちよくグルーヴもまた良い。色々なスタイルを持ってきたDavid Bowieの器用さの高さ故、「Modern Love」や「Let’s Dance」等のこれまでのBowieらしからぬ超ポップのシングルでもレベルの高いダンスナンバーになってるし、「Criminal World」の途中のギターソロもしかり、しっかりロックしていてカッコいい名盤だ。

オススメ: 「Modern Love」「Criminal World」

88. Hüsker Dü - Zen Arcade (1984)

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Hüsker Düはアメリカのミネソタ州出身のパンクバンド。Wikiによればインディーシーンで最も重要なバンドの一つと見なされているらしい。まあ確かに今作、23曲70分のコンセプトアルバムをしかもインディーからパンクで、こんなもん出されたら「すげえ!」ってなりますわな。だいたいの曲が1~2分で3~4分が少し。パンクといえばイギリスのThe Clashのサンディニスタというアルバムもめちゃくちゃ長く、パンクの域を越えた実験的な名作であったが、一方Hüsker Düの今作はもうずっとパンク。これはこれでまた前者とは違うカッコよさがあっていい。自分の好きな曲は「Turn on the news」。まさにアメリカンなパンクロックで激熱。70分テンションの高い作品が聴きたい方がいましたらこの作品をどうぞ。

オススメ: 「Turn on the News」

87. Madonna - Like A Virgin (1984)

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ポップの女王、マドンナのセカンドアルバム。自分はこの作品がマドンナの80年代の作品で一番好き。といっても80年代の作品はどれも好き。今作を一番に貢献した要素はアルバムを聴く前から知っていた「Material Girl」や「Like A Virgin」の存在。なんとなく聴いていた曲をいざ真面目に聴くとこの2曲はキラーチューンで素晴らしい。他にも「Dress You Up」のアップテンポチューンだったり、「Shoo-Bee-Doo」の綺麗なバラードであったり、80年代リバイバルが憧れる理想的なポップ作品になっていると思う。思えばSky Ferreiraの2013年の「Night Time, My Time」はMadonnaのこういう世界観に影響を受けてんのかなと思う。

オススメ: 「Material Girl」「Like A Virgin」

86. Sonic Youth  - Daydream Nation (1988)

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80年代の米ロック界に欠かせないバンドですね。まあ個人的には今作以前はそこまでハマらなかった。ノイズロック界隈はそこまで通ってきたわけじゃないし詳しくは分からないけど、80年代の比較的新しいノイズロックをやっているバンドはノイズの中に可能性を見出そうとしているのがカッコいいと感じる。ハードなのにポップ。ノイジーなのにグルーヴがある。これまでのSonic Youthにはない成熟した感じが自分のアンテナに刺さりましたね。

オススメ: 「Teen Age Riot」

85. Dinosaur Jr. - You're Living All Over Me (1987)

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Dinosaur Jr.も先ほどのSonic Youthと同じようにノイズロックに分類されるバンド。この作品はセカンドアルバムにあたる。私はSonic Youthより歌メロがポップで気だるいヴォーカルの感じが好きなんでDinosaur Jr.の今作に軍配が上がりますね。ちょっと話はそれるけど、80年代のアングラロックをたどると、Nirvanaにいかに影響を与えたか何となく伝わる。Dinosaur Jr.のこのギターをかき鳴らしながら気だるいヴォーカルをのっけるとことかKurt Cobainやるじゃん!って思う。直接的な影響を与えたかはわからないけど。

オススメ: 「Kracked」

84. Bauhaus - Mask (1981)

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94位にもあげたイギリスのバンドBauhausのセカンドアルバム。なぜこっちが好きかって言うと自分はやっぱり比較的にポップに出来上がってるものが好きなんでね、Bauhausの今作はダンサブルな曲も多くノリやすい。ゴシックロックと分類されがちなこのバンドでも、今作においてはDavid Bowieその他、グラムロックっぽいグルーヴがあって楽しい。中でも「The Man With X-Ray Eyes」は曲の途中に「ワッハッハッハー」という謎の笑い声がちょいちょい挟んできて中毒性あってハマる。

オススメ: 「The Man with X-Ray Eyes」

83. Big Black - Atomizer (1986)

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Big Blackはアメリカのロックバンドで、メンバーに、NirvanaやPixiesなど著名バンドのレコーディングエンジニアを務めたスティーヴアルビニが所属していたバンド。Big Blackもノイズロックに分類されがちですが、どっちかっというとパンクロック要素が強く、かつ、ギターの金属的なキレキレの音などからインダストリアルロックっぽさも見受けられる。叫んでるかのような歌い方もカッコいいが、演奏のみでも十分頭を振れるグルーヴを聴かせてくれる。自分の好みに合わなかっただけかもしれないけど80年代前半のアメリカロックはイギリスに食われてるなと思ったけど、中盤から続々アメリカから面白いロックが出てきて、80年代は後半のほうが色々聴くのが楽しかったですね。

オススメ: 「Kerosene」「Strange Things」

82. Aerosmith - Pump (1989)

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70年代から活動している大御所ロックバンドの10thアルバム。80年代はバンド内に蔓延する薬物依存やギタリストのジョーペリーの脱退など、なかなか波乱万丈な生活を送っていたようだが、じきにジョーペリーの復帰、ヒップホップユニットRun-D.M.C.による「Walk This Way」のカバーにより低迷から抜け出して1987年の前作よりさらにパワーアップして出てきたのが今作。一曲目から気持ちがスカッとするアメリカンロック、「Love in an Elevator」や「Janie’s Got a Gun」などのキラーチューン、あと個人的に好きな「The Other Side」の曲構成といい、カッコいい曲がこの作品に沢山詰まっている。

オススメ: 「Love in an Elevator」「The Other Side」

81. Pet Shop Boys - Actually (1984)

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ロンドン結成のシンセポップバンドによるセカンドアルバム。Pet Shop Boysについて述べるとなおさら少ない語彙力がさらに頭を悩ませるといいますか、兎に角踊れるシンセポップ!ってくらいしか思いつかない笑 ヴォーカルのニール・テナントの透き通っていながら少し哀愁が通った声とポップな曲調は絶妙にマッチしていて、声がポップすぎるとまた明るくなりすぎて微妙~って思ってしまうかもしれない。あとは個人的にこういったシンセポップはいかにもヨーロッパの人が好きそうというイメージがあって、他にはRobynとかChristine and the Queensとか。冒頭3曲がかなり好き。

オススメ: 「What Have I Done to Deserve This?」

80位~

80. The Police - Zenyatta Mondatta (1980)

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ロンドンで結成されたバンドによるサードアルバム。The Policeといえばロックにレゲエの要素を加えてることで有名ですけども、当時の人からして「こんな新しいロックってあるんだ!って感動した人は多いんだろうなあ。ってのは置いといて、今作は個人的に前作のセカンドアルバムよりグルーヴに磨きがかかって、演奏を聴いているだけで楽しい。それに加えてスティングの鼻にかかった声はかなり独特で、この人の歌声かなり好き。後半にあたるB面は前半よりダークなテイストがありますが、A面の3曲目「When the World is Running Down, You Make the Best of What's Still Around」から続く3曲はどれもスピーディーながらカッコよい演奏でそこが個人的ハイライト。

オススメ: 「Canary in A Coalmine」

79. R.E.M. - Lifes Rich Pageant (1986)

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アメリカのジョージア州出身のバンドによる4thアルバム。この作品に触れる前に4thアルバム以前の作品を聴いてきたんだけど、「悪くはないけどそこまでツボにハマらない」という印象を抱いていたんだけど、このアルバムから、ガラッと印象が変わって、なんか楽曲が力強くなったなあと思った。R.E.M.は聴けば聴くほどオルタナロックというジャンルにしか思えないのですが、このジャンルで知性を感じる音楽、肝が据わった落ち着いた感じと熱いアメリカンロックを両立させるのってすごい難しそう。後世の色んなバンドに影響を与えたのもわかりますね。

オススメ: 「Just A Touch」

78. The Replacements - Sorry Ma, Forgot to Take Out the Trash (1981)

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アメリカのミネソタ州のロックバンドのThe Replacementsは中期ぐらいに名盤が多いバンドであるが、自分はデビュー盤のこの作品も気に入っている。彼らは後々のアメリカンなオルタナロックが評判ではあるが、デビューしたての時はハードコアなパンクをやっている。デビュー盤らしき青臭さの残っている初期衝動感、荒れていて落ち着きのないロックンロールだが、ほとんど1~2分程しかない曲の中でとことん良いメロディが詰まっている。後のカラッとしたアメリカンロックの芽がもう見えているのかもしれない。

オススメ: 「Otto」

77. Metallica - Ride the Lightning (1984)

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アメリカの大御所ヘヴィメタルバンド。メタリカ以前もメタルはちょいちょい手を出してたけど、メタリカを聴いてメタルのカッコよさにより惹かれたような気がする。セカンドアルバムにあたるこの作品は良い曲ぞろい。メタルを普段聴かない身からするとメタルと聞くと構えがちになるが、ちゃんと聴くとヘヴィネスなグルーヴに頭を振りたくなる。冒頭の「Fight Fire with Fire」のスラッシュメタルな曲調からバッチリ決めてるし、「Fade to Black」のドラマチックな展開はヘヴィな演奏なのに泣けてくる。「Creeping Death」で聴けるリフやギターソロはほんとに超カッコいい。

オススメ: 「Fade to Black」「Creeping Death」

76. Prince - Dirty Mind (1980)

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出ました80年代を代表する最高のアーティスト。出すもの出すもの名盤だらけ。音楽もすげえんだけど、どっからそのクリエイティビティが出てくるんだって不思議に思う。この作品はPrinceの80年代の最初の作品で、後の華々しいアルバムと比べると、やや地味なのかもしれないが、それでもお手本のような、ファンクなノリのシンセポップで踊れますね。しかもほぼ演奏やらプロデュースやらPrince自身が手掛け、他のアーティストなら最高傑作になりかねない出来ではあるが、後のPrinceはそれを超えてくるんですよね。

オススメ: 「Do It All Night」「Uptown」

75. Phil Collins - Face Value (1981)

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イギリスのバンドGenesisのヴォーカルによるソロ作品一作目。その後の作品はちょっとポップすぎて合わなかったが、この作品は個人的に塩梅が良いポップロックです。「Behind the Lines」という曲はGenesis時代からの曲をセルフカバーしているが、原曲が壮大なアレンジを施している一方で、こちらの作品ではファンクっぽい感じにしている。バンドとは違う試みをしてみたかったんだろうなと思う。「In the Air Tonight」にてしっとりと歌っているところから、ドラムを大胆に入れるところや、「I Missed Again」では豪華なホーンアレンジ、「You Know What I Mean」ではオーケストラをバックに美しいバラードを歌っていたり、ビートルズの曲「Tomorrow Never Knows」を割と原曲に沿ってカバーしたりと、バラエティ豊富で素晴らしいアレンジが多いし、作風がポップなため非常に聴きやすい優れどころの多い名盤だ。

オススメ: 「In the Air Tonight」

74. The Jesus and Mary Chain - Psychocandy (1985)

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イギリスのロックバンドによるデビューアルバム。そのノイズとロックを掛け合わせた音楽性はその後の数多のロックバンドに影響を与えまくったと。Wikiのページにも書かれているように、音割れまくっているノイズだけど、メロディがポップで聴きやすい!ってのに当時からしたら画期的なものだったんだろう。聴いていると、「ギターの見せ場作ってるみたいだけど音割れてるよ?」って思うんだが、そこがいい!スイカに塩かけたら逆に美味くなるみたいな固定概念をぶち壊されて楽しさを見出せるのも音楽の魅力ですね。

オススメ: 「The Hardest Walk」「In A Hole」

73. Pixies - Doolittle (1989)

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Pixiesとはアメリカはボストンのバンドで、この作品は80年代ベストみたいな企画の常連なほど評判の高い名盤。Pixiesを初めて聴いたとき、世の中作り手が自由気ままに作った作品に溢れているけど、Pixiesもその手のパターンにあるんだけど、あくまでも音楽はオルタナロックを基幹としてるなと思う。ある曲では叫びながら歌っていたり、ある曲ではパンクが如く荒れた速い演奏をしていたり、ある曲ではギターをかき鳴らしながらポップなメロディを歌っていたり。色々な表情を見せるけど根幹にはオルタナロックとしての一本の筋があって、そのアルバム全体でブレないところが聴きやすさに貢献してるなと思った。

オススメ: 「Debaser」「Crackity Jones」

72. Iron Maiden - Powerslave (1984)

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Iron Maidenはイングランド出身のヘヴィメタルバンドで80年初頭のNWOBHMというムーブメント代表格の一組として有名で、このムーブメントは調べるとイギリスからヘヴィメタルバンドがかますぜ!って感じのようですね、wikiによるとこのムーブメントの影響で、ロックフェスに軒並みメタルバンドが出てくるようになったよう。このIron Maidenというバンドの80年代のオリジナルアルバムを全部聴いたけど、これといった駄作は無く、どれも高水準の作品を出している。中でもこのPowerslaveはかなりカッコよかった。どの曲も捨て曲無くてラスト曲15分と長い曲もあるが演奏が良いので飽きずに聴ける。Iron Maidenは、メタルバンドの中でも特にベースの音がうるさくて素晴らしい。

オススメ: 「Aces High」

71. Nick Cave & The Bad Seeds - The Firstborn is Dead (1985)

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Nick Caveを中心に結成されたオーストラリアのバンドによるセカンドアルバム。2020年代今なお傑作を出し続けているバンドの今作はおどろおどろしいブルースロック。今すぐに噛みついてきそうな獰猛な狼のようなヴォーカルやどっから影響を受けたんですかとツッコミたくなるダーク色の強いブルース。ただでさえ渋い音楽性のTom Waitsをもっとドロドロにした感じ。こんな表現では伝わりにくいけどふつーにカッコいい。他の作品ではなかなか見られない緊張感。初期から我が道をゆく!って感じのバンドだったんですねえ。

オススメ: 「Train Long-Suffering」

70位~

70. Pet Shop Boys - Please (1986)

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81位でも紹介したバンドのデビューアルバム。正直言うと、エレポップは良曲は好きだけど、サウンドの軽さからそこまで好きになれない曲やバンドも多かったりするけど、PSBはデビューから完成されていて感銘を受ける。最初期からこんなアリーナ規模のシンセポップでほんと単純にすごいなあと思う。お気に入りは「I Want a Lover」。サビの哀愁あふれる感じも好きだし、曲中に出てくるホーンが良い味出してて良い。10代の時とかに出会ってたらPSBしか聴かない時期が出来ただろうなあ。

オススメ: 「Violence」「I Want a Lover」

69. Mekons - Fear and Whiskey (1985)

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Mekonsはイギリスのポストパンクバンドで今作は4作目にあたる。ポストパンクとはいっても、カントリー要素があってそのオリジナル性が今回は気に入った。ポストパンクとカントリーの互いの良いとこを引き出してて、楽器の演奏からカントリーみを感じながらポストパンクらしきアップテンポな曲が続き聴いているのが楽しい。そんでヴォーカルはブリティッシュなんで歌い回しはXTCやFranz Ferdinandみたいなヘロヘロした感じ。ポストパンクは実際はそこまで興味が出なかったけど、こういった多種性に溢れたバンドをいくつか見つけたのは良い成果。

オススメ:「Flitcraft」「Country」

68. Public Enemy - Yo! Bum Rush the Show (1987)

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ここで初登場のヒップホップ。ヒップホップの歴史は70年代から始まったようだが、80年代後半からいよいよ世界的に有名な人やグループが出てきますね。まず色々手を出して聴いてみたんだけど、悪くはないけど素晴らしい!ってほどでもない音楽ばっかではあった。そんな中でようやく見つけた個人的名盤。Public EnemyはChuck DっていうメインMCにFlavor FlavというMCと盛り上げ役にTerminator XというDJにBomb Squadという裏方のプロデュースグループで構成されている。(なんか漏れてたらすみません)。サンプリングを駆使して使われるアグレッシブなビートと、低音を効かせてキレのあるラップを聴かせるChuck Dなどオラオラと責めてくるようなトラックに惹かれましたね。

オススメ: 「Rightstarter (Message to Black Man)

67. INXS - Kick (1987)

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オーストラリアのロックバンド。今作は6作目にあたる。80年代といえばヘヴィメタルやハードロックなどが勢いを増してきてそれらはいわゆるヘッドバンキング的な縦ノリな音楽であるが、ファンクロックを鳴らすINXSはロックでもあるし、ダンスミュージックでもあると思う。軽快なカッティングギターの音を聴くとthe 1975に通じるところが見つかるし、「Meditate」って曲なんかは、一定のリズムのドラムの音に韻を踏みながら繰り返されることのない歌詞をひたすら歌うとこはヒップホップの影響を感じる。一方で「The Loved One」は骨太なブルースロックを聴かせるし、幅広いジャンルを網羅している作品だ。ポップで踊れる作品として有名ながら聴いてみるとしっかりとした演奏や様々な曲調の曲など絶大な支持を受けている作品だと納得できる。

オススメ: 「Mediate」「Never Tear Up Apart」「Calling All Nations」

66. R.E.M. - Document

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79位にあげた「Life Rich Pageant」からようやくR.E.M.の魅力に気が付いたが、今作はこれの次作に当たる作品。捨て曲という概念の無い作品で、どの曲もカッコ良い。一曲目の「Finest Working」のイントロ一秒目から名盤の予感がする。R.E.M.はまだ全作品ちゃんと聴けてないのでわからないが、今作はかなり明るいトーンなのかもしれない。「It's the End of the World As We Know It (And I Feel Fine)」は、早口で歌うヴォーカルや爽快なアメリカンロックを聴いていると踊れる要素を見つけられる。今作はなんか「ドン」という音でドラムから始まる曲が多く、骨太な演奏のイントロを聴いていると、気持ちの良いアメリカンロックを聴いているんだ!って感じるね。R.E.M.を聴く前はもうちょい堅苦しい印象はあったけど、いざ聴いてみるとオルタナロックの中でもごちゃごちゃ感がなく、芯が通ってて聴きやすい作品だなとわかった。

オススメ:「It's the End of the World As We Know It (And I Feel Fine)」

65. Talking Heads - Stop Making Sense (1984)

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Talking Headsはアメリカのニューヨークで結成されたバンド。油断してたらイギリスのバンドって言ってしまいそうになる。今作はそんな彼らのライブアルバム。数あるライブアルバムの中でも特段評判の高い作品で半ば伝説みたいなもののように扱われていると感じる。冒頭の一曲目は衝撃的でラジカセ一つとギターを抱えたヴォーカル、David Byrneが登場して「Psycho Killer」を歌うんだが、その姿はまさにカリスマそのもの。カッコ良すぎる。ちなみにSpotifyでこの曲だけ驚異の2億回再生。(笑)二曲目、三曲目と進むたびに、ベーシスト、ドラマー、ギタリストが一人ひとり現れるんだけどこんなシンプルなことやってるのに何でこんなカッコいいんだろうって思ってしまう。徐々にヒートアップしていくライブだが個人的にハイライトは「Life During Wartime」。David Byrneの暴走具合が音源だけ聴いてても分かる。ちなみにこの曲の映像はThe 1975の「It’s not living (if it’s not with you)」のMVの元ネタの一つになっている。

オススメ: 「Psycho Killer」

64. Death - Scream Bloody Gore (1987)

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アメリカはフロリダ州結成のデスメタルバンド。デスメタルというジャンルはこのバンドから取られたという諸説もあるらしい。まあ正直デスメタルって具体的にどんなの?って感じで未だに分からないが、このデビューアルバムはスラッシュメタルみたいなもんだと思う。つまり従来のヘヴィメタルよりスピード感がある音楽。このバンドみたいなヘヴィメタルの中でももっと暗黒な感じの作品を幾つか聴いてみたけどそこまでハマらなかった。なのに、この作品を気に入ったのはヴォーカルの声がカッコいいこと。常にデスヴォイスで吠えてるのにどこか安定しているように感じる。それにあんま複雑な展開が少ないシンプルな構成が聴きやすさに貢献してるのかな~って思うね。このバンドは後世のバンドに多大な影響を与えたらしいけど、この作品からはひしひしと伝わるカリスマ感があるので影響を与えたってのは何となくわかる。

オススメ: 「Torn to Pieces」

63. Julee Cruise - Floating into the Night (1989)

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アメリカのアイオワ州で生まれた歌手、そして女優のデビューアルバム。どうやらこの人は映画監督David Lynchの映画でもおなじみな人として有名らしく、この作品の2曲目の「Falling」はテレビドラマシリーズ、「Twin Peaks」でも使われたとか。でもそんな情報を知らなくともこの作品はドリームポップとしてクオリティが滅茶苦茶高い作品になっている。このアルバムの凄い良いとこってドリームポップ特有の浮遊感にジャズ要素を足したとこだと思う。一曲目の「Floating」のイントロのサックスの音を聴くだけでアルバムへの期待感が出てくる。ドリームポップの浮遊感とジャズのリラックス効果が相乗効果で魅力を増してるし、他の曲ではアンビエントっぽい所もあって、別の方面から癒される。ほんとに良い作品。

オススメ: 「Remember」「Rockin’ Back Inside My Heart」

62. Megadeth -  Killing is My Business….and Business is Good! (1985)

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スラッシュメタルBIG4の一組と言われているカリフォルニア州結成のメタルバンド。初期の3作はタイトルに三点リーダーを毎回使っているが、個人的には遊助の「あの・・こんなんできましたケド。」を彷彿させる。あっちは二点リーダーだけど。んなことは置いといて、冒頭一曲目の「Last Rites/ Loved to Deth」のイントロのピアノから何か始まるぞという予感を感じる。他のBIG4のMetallicaやAnthrax、Slayerとはまた違った魅力があって、個人的に歌モノとしてはMegadethが一番親しみやすいかな~。「Rattlehead」はギターリフも面白いし、途中ピロピロとギターを鳴らしてるのが面白い。そして後から知ったが、ドラマーがジャズあがりらしい。それ知ってから聴いてみると一曲目は確かに何か妙にずれてるような気もしなくもないが、かえってそこが面白いのかなと思う。

オススメ: 「Rattlehead」

61. Janet Jackson - Control (1986)

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アメリカ出身のシンガーソングライター。兄はマイケルジャクソン。今作は三作目の作品に当たる。それまでの二作品がセールス的に失敗したそうで、そこでプリンス周辺のThe Timeというバンドのジャム&ルイスというプロデュースコンビに作品をプロデュースしてもらうことに。なおこの作品がバカ売れしたことでこのコンビの名前もあっという間に広がったらしい。兄のマイケルのようにクインシー・ジョーンズに頼らなかったのはジャクソン一家の重圧から避けたかったのかね、知らんけど。
中身はR&B寄りのポップで、色んな曲のパーカッションの音とかリズムとか聴いているといかにも80’sポップという感じ。曲、アレンジなどアルバム全体的にかなり仕上がっていて、これは売れるべくして売れた作品だなと思う。

オススメ: 「He Doesn’t Know I’m Alive」

60位~

60. Bob Dylan - Infidels (1983)

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70年代末から始まったキリスト教三部作が評判が悪かったが、今作は三部作終了後初の作品となる。それで今作はDire Straitsというバンドのマークノップラーって人がプロデューサーだったんだけど、このDire Straitsは個人的に好きな音を鳴らすバンドでね、Bob Dylanの今作が気に入ったのも結果マークノップラーが関わったからだと思う。と言っても、ノップラーは自身のバンドのツアーで途中から離れてBob Dylanが最終的に仕上げたそうだけど。この作品のBob Dylanの声を聴いていると広大な土地の広さのあるアメリカの風景が見えてくる。曲調もポップなブルースロックで聴きやすいし、Bob Dylanも素直にロックしてる。改めて言うとこの空気感はノップラーによる良い仕事だなあと思う。まあBob Dylanと製作途中のものを置いてツアーにいっちゃう判断したのは悪いとこだったんかなあ。ラストのDon’t Fall Apart on Me Tonightはまじで素晴らしいロックバラード。

オススメ: 「Don’t Fall Apart on Me Tonight」

59. The Housemartins - London 0 Hull 4 (1986)

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イギリスのバンドによるデビューアルバム。Fatboy Slimのノーマンクックも所属していた。音楽的には軽快なギターポップといったところで、いわゆるネオアコらしい。(個人的にネオアコって言葉がピンとこないから自主的に使わない)。ヴォーカルの声がThe Smithsのモリッシーに結構そっくりであり、つまりはクセがあって好き嫌い別れそうではあるが、先述したようにポップなサウンドでかなり聴きやすいと個人的に思う。ギターが常にシャカシャカしていて、バックコーラスはいかにもブリティッシュらしい感じで親しみやすく、日本人ウケもあると思うんだけどあまり人気無い感じかな?まあ2枚しかアルバム出してないからしょうがないかもしれないけど。

オススメ: 「Sitting on a Fence」「We’re Not Deep」

58. Slick Rick - The Great Adventures of Slick Rick (1988)

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イギリスのロンドンで生まれ、アメリカのニューヨークで育ったラッパーによるデビューアルバム。私もロンドンで生まれてニューヨークで生活してみたいよ。冗談はさておいて、80年後半から続々とヒップホップの名盤が目に付くのだがそれらは自分が追っている範囲では結構オラオラ系が多い印象であった。その中でこの作品はオラオラとは違った方面で面白かった。彼のラップスタイルはストーリーラップとして有名らしく、曲を聴いてると確かに声色を変えて裏声にして女性っぽさを出してたり、しょちゅう声色を変えてフロウにユーモアさがある。そこら辺は聴きやすいし、トラックのほうも結構しゃれてて「Teenage Love」なんかは今でいったらBlood Orangeがドラムマシーンを使って作ってそうなビートである。ヒップホップは普段聴かないけどChance the Rapperは好きだよみたいな人に勧めたい一枚だ。

オススメ: 「Teenage Love」「Teacher, Teacher」

57. Prince - Lovesexy (1988)

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ジャケもヤバいし、色んな曲を一曲として全部まとめて、曲を選んで聴けない何ともリスナー泣かせで有名な作品である。内容的には流石全盛期の勢いを感じるレベルの高いポップ色の強いファンク。
5分過ぎに始まる「Alphabet St.」という曲はいかにもプリンスって感じのファンク。途中で挟んでくる女性のラップが滅茶苦茶カッコいい。その次の「Glam Slam」という曲は当時の時代を感じる80’s風のポップロックで、アレンジなんかは彼の作品「1999」っぽさも感じる。プリンス流のポップで、ロックで、ファンクな作品で充実したアルバムなんだけどでもやっぱ本音を言うと、曲は分けてほしかったかな笑

56. George Michael - Faith (1987)

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イングランド出身、そして元Wham!として有名のジョージマイケルによる1stアルバム。WikiによればWham!の音楽性の批判の声に疲れて解散させたという背景があるらしいけど、きっとこのアルバムにはそんな批評にぎゃふんと言わせてやろうという気持ちもあったんだろうな。冒頭の「Faith」からいきなり超いい曲の軽快なダンスポップ。声をちょっと抑えめに歌ってるところとかヴォーカリストとしての技術の高さが見える。「Hard Day」はエレクトロファンクだし、「Look at Your Hands」はホーンセクションやピアノソロが映えたセクシーなロックポップでカッコいいし、作曲アレンジやジョージマイケル本人の歌唱力の高さが存分に発揮されたまさに完璧なファーストアルバム。極めつけはプロデュースはジョージマイケル自分自身。やっぱ批判の声に一泡吹かせようという気合があったんじゃないの。

オススメ: 「Faith」「Father Figure」「Look at Your Hands」

55. Run-D.M.C. - Raising Hell (1986)

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ニューヨーク出身のヒップホップグループ。アパレル関係でもロゴをよく見かけるとして有名。Run- D.M.C.は私が80年代で初めて触れるヒップホップになったけど、1st, 2ndは音がスカスカな感じで「オールドスクールってこういうもんかな~」って思ってたんだけど、3rdにあたる今作は何か化けてたね。その背景にプロデューサーの名前に数ある名作を手掛けた「リックルービン」という文字が。Run D.M.C.といえばロックとラップを融合した先駆けとして有名だけど、実際聴いてみると、アメトークに使われていることで有名のThe Knackの「My Sharona」をサンプリングした「It’s Tricky」は確かにヒップホップでもあるし、オールドスクールな「ラップロック」と言われても納得できる。それになんといってもこの作品はAerosmithの「Walk this Way」のカバー。サンプリングに使ったんじゃなくてカバーとは。これにはプロデューサーのリックルービンが関わっていて、メンバーは当初はAerosmithとコラボすることや丸々カバーすることに嫌気あったみたいだけど、それを賛成してるメンバーとリックルービン一緒に説得、なんとか世に出したわけだけど、それが功を奏して大成功。ラップとロックが融合した歴史的なシーンである。バンド自身もすげえけど、プロデューサーとして偉大すぎる仕事をこなしたリックルービンもグッジョブ。

オススメ:「It's Tricky」「Walk This Way」

54. AC/DC - Back in Black (1980)

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オーストラリア出身のハードロックバンド。初代ヴォーカリスト、ボンスコットの死から新ヴォーカルにブライアンジョンソンが加わって初となる作品。お手本のようなロックンロール。シンプルなギターリフ、暑苦しいグルーヴや、ヒネリや複雑さなど感じない縦ノリ重視のハードロック。新ヴォーカルのブライアンウィルソンの甲高い声は最初こそ抵抗感を感じるものの、何度も聴いているとこのバンドサウンドにはこの声じゃないと!って思えてしまう。旧ヴォーカルの死から約5か月にリリースされたこの作品は、奇跡的に新ヴォーカルとバンドの息が合い、世界中の人々に愛される歴史に残るものとなり、まさにこれはロックの神に愛されたんじゃないか?とクサいことも言いたくなる。

オススメ: 「Shoot to Thrill」「Givin’ The Dog a Bone」 

53. Nine Inch Nails - Pretty Hate Machine (1989)

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アメリカのオハイオ州で結成されたロックバンドのデビューアルバム。NINの作品はまだまだ聴けてないのが多いが、おそらく一番ポップな作品であろう。多分全盛期に比べると、音が軽いとか言われそうな気もする。それでもカミソリのようにキレキレなインダストリアルロックにのってシャウトしまくるトレンドレズナーはカッコいいし、それに加えて「Head Like a Hole」みたいなキャッチーなメロディであると、ただただ首を縦に振りたくなる程ノリノリになりたくもなる。「Down In It」はもはやヒップホップみたいなことしてるし、従来のロックスタイルとは新鮮なスタイルをとっていて、89年にリリースされたこの作品は90年代に向けて新たな幕開けを告げるものとなっていたかもしれない。

オススメ: 「Head Like a Hole」「Sin」

52. Whitney Houston - Whitney Houston (1985)

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アメリカを代表する歌姫によるデビューアルバム。邦題は「そよ風の贈りもの」だそう。多分三日後に忘れてそう。ホイットニーといえば、「I Will Always Love You」のイメージが強くて、この作品もスローバラードが多いソウル系な感じかなと思ったら、だいぶイメージと違う作品であった。冒頭の「You Give Good Love」こそムーディーなソウルバラードであるが、その次の「Thinking about You」「Someone For Me」とご機嫌なアップテンポが続いてきて、予想と反するポップス作品であることに気付く。「How Will I Know」に至ってはCarly Rae Jepsenが歌ってそうなポップナンバーで滅茶苦茶好きな曲調だし、「Take Good Care of My Heart」はお洒落なR&Bポップで素晴らしい。何より特筆すべきはホイットニーの歌唱力の高さ。歌が上手すぎる人の声を聴けるだけってのも十分魅力的。デビューアルバムとは思えない程、アレンジなど完成度が高いのでまあこれは売れて当然だって思う。

オススメ: 「How Will I Know」「Take Good Care of My Heart」

51. Dire Straits - Love Over Gold (1982)

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イギリスのロンドン結成のロックバンドによる4作目のアルバム。ヴォーカル、マークノップラーは60位のBob Dylanの作品でプロデュースを務めた人。実際マークノップラー自身もボブディランみたいな歌い方してる人で、そんな歌声の人がプログレをやっているのが面白い。プログレと言っても、RushとかPink Floydみたいなのと違って、もっとアートポップでジャズに近い。ピアノやエレキギターなどの各楽器の響きを変に壊すことなく、一つ一つを丁寧に鳴らしていてその美しい旋律がリスナーの心を浄化させる心地の良い気分にさせる。演奏しかないパート、インストゥルメンタルも良いが、歌詞ありの歌っているところも良く、ポップで聴きやすい。なんだか聴いているとアメリカのバンドって勘違いしそうな人達。

オススメ: 「Telegraph Road」

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#洋楽  #音楽 #1980s #1980年代ベスト

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