~目指せゾーラの里編~
……そろそろ本筋を進めなければならない。つまりメインストーリーだ。
イワロックを愛で、廃墟を探訪し、竜の姿を追いかけることも楽しいがハイラルを救うことも大切である。
よし、メインを進めようと思い立った自分は、ハイラル平原端、ワゴ・カタ祠近くのリバーサイド馬宿から愛馬に乗り、マップ未解放の土地へと足を踏み入れるのであった。
まずは塔を目指して
しばらく街道沿いに馬を走らせ、橋を渡ったらもうそこは未踏の地。足場の悪い湿原だ。マップを開いて見ても、黒々とした闇が広がっているばかりである。
未解放の土地を歩くのは……心細いよ! 愛馬の嘶きだけが心の慰めだ。
まぁ全く手探りで探索しているわけでもない。目の前にあった祠をさくりと攻略してから、辺りを見渡してみた。
広がっている湿原に、遠くに見える山々。そして、オレンジに光る高い建造物、お馴染みのシーカータワーだ。
塔を登ってマップを解放するべきだろうと考えていたら、水辺にたむろっていたリザルフォスに襲われた。槍を持つ相手だ、数は2体。手持ちの武器でなんなくいなした。
そしてつと思う。「これから先、もっと敵の数や危険が増えるのではないか?」
乗ってきた馬から降りて、ここからは徒歩で行くことにした。途中で襲われ、その結果、愛馬が亡くなりでもしたら、自分はかなりショックを受けてしまうからな。
塔を目指し、湿原をぺちゃぺちゃ歩いている内に、島にたどり着いた。
どうやら数島固まっているようだ。その合間で新たな食材を見つけた。
ゴーゴーハスの実、調理すると動作が素早くなる効果が得られる植物だ。
たくさん見つけられたので全部ポーチに突っ込み、先を急ぐ。
遠目に、敵の立派な骨造りの拠点を入れながら、なるべく戦闘は避けて進む。
そんな行動をしていたら、水の中から声をかけられた。「そこのハイリア人さーん!」と言った具合に。
声に近づいてみると、こちらを呼び止めた相手は確かに水の中にいた。
……ゾーラ人の、女性だ、初めて見た!
赤い体色の彼女は自らを『トオン』と名乗り、ここから先にあるダルブル橋で、ゾーラ族の『シド王子』に会って欲しいと願ってきた。
合点承知だぜ! と心の中で返事をして、道なりに駆けていく。雨が降ってきた。
シーカーストーンの天気予報も、長い雨の予報を告げてくれていた。
橋も気になるが、優先したいのは塔だった。雨で岸壁は滑って滑ってとても登れないので、仕方なく岩の合間を歩いていくのだが、雨の影響を避けたいのは敵も同じのようで、ボコブリンやモリブリン、リザルフォスとよく出くわした。
戦う内に、集中力と武器と食料が減ってきた。ふぅと一息吐いて、せめて塔まではと頑張って進む。
塔の周りには敵以外にも色々あった。巨大生物の肋骨かと思われる湾曲した骨が、地面から等間隔につきだしていたり、空中を自在に歩く敵、『アイスウィズローブ』が我が物顔で跋扈していたりとだ。
敵に見つからないように物陰に隠れたりと苦労したが、なんとか塔にはたどり着けた。
雨が降っていたが、塔の素材は滑らない材質で作られているようで、登るのは簡単なものだった。
そして、いつも通りマップを解放! これで件のダルブル橋の位置も分かった。塔頂上には、「目が覚めたらここにいた。下に行って王子と合流したいが、この高さから目下の川へ飛び込むのは躊躇する」と立ち往生しているゾーラ族もいた。彼に幸運が訪れることを祈りつつ、ダルブル橋に急ぐ。
時刻は夜。天気は雨。現実世界で自分がこの状況に置かれたら、とっとと家に帰って風呂に入りたい気持ちになるが、リンクはどんな時刻天気状況であろうと最高のパフォーマンスを発揮してくれている。やはり超人かこの男……。
そんなこと考えつつ歩いていたら、橋の飾りの上に人影。あれが『シド王子』に違いない。近づいたらイベントなりなんなりが始まるのだろう。でもいま夜だし雨だし、スクショ映えのため時間をずらそうかと考えていたが、良いことを思いついたのでそのまま向かうことにした。
そして想像通り、始まるイベント。快活な好青年は自らを『シド王子』と名乗り、ゾーラ族とハイラルを救うため、道の終点にあるゾーラの里まで来て欲しいと言った。
スクショを一枚、ぱしゃりろ。
……思いついた『良いこと』はうまく作用した。
いや、なんてことはない、赤く発光しているファイアロッドを背中に装備してみただけなのだ。それがうまく光源として働き、王子を照らし、夜でも写真写りばっちりにさせてくれた。
さて、話を本題に戻そう。
これから先、里を目指す長い、いやほんと洒落にならないほど長い旅が始まったのであった。
里への道のりは辛いよ
ゾーラ川沿いにある道を走っていく。王子は爽やかに「里までたどり着くのは、人の身では大変だろうが……」ということを言っていたが、まじで大変だった。
①敵の数が多いよ
リザルフォス中心に、完全武装の敵が道で待ちかまえている。中には、雨の時には効果を抜群に発動する電気属性を操る者もいた。エレキキース(名前合ってるかな?)や、電気の矢を放ってくる敵がそうだ。
電気属性というのは、濡れた対象に当たると電気を拡散させるという力を持っているので、長雨に晒されているリンクに対して効果は抜群だ。
②道が長いよ
川沿いから森に移動し、時には狭い峡谷を抜けて、一山越えて、橋も通って……と、バラエティ豊かな道。景色は楽しめるが、やはり長い。集中力が切れてくる。何度かリアルで休憩を挟みながら進んだ。
苦労したこともあったが、楽しい発見もたくさんあった。
それは……
魔物の意外な生態について知れたことである。
これ以外にも、岸壁を削り、くぼみを掘って作った食料庫を守っているボコブリンの姿も、見つけることができた。
魔物は、全てガノンの手先だ。赤い月が来る度に復活する怪物。
だが、完全なる傀儡という訳ではなく、魔物達は自らの意志で生き、生活を行っているようだ。
命令がままに戦う人形ではなく、意志をもつ相手と戦っている。こういった発見をする度に自分は不思議な気持ちになるのであった。
戦闘の苦労と発見の喜びを重ねている内に、ゾーラの里にたどり着いていた。長く感じたが、嫌なことではなかった。道中何度もシド王子が励ましてくれたおかげもあると思う。
里の中に駆け込みたい気持ちもあったが、それは抑え、里の門番っぽいゾーラ族に話しかけてみることにした。
意外な反応を見せられた。どうやらリンクを知っている人物らしい。
ゾーラ族って長生きだなぁと思いつつ里の中へ。中心部に見えた祠を開放し、攻略した。これでいつでも里にワープ出来るようになった。
そして里を散策。カカリコ村よりは小規模な印象を受ける。
雑貨屋さんで珍しいお魚を見たり、その奥の加工場を見たり、宿屋でリンクを特徴的なあだ名で呼ぶゾーラ族に出会ったり、電気の矢を触ろうと挑戦を重ねている老ゾーラ族を見たりしてから、王子が待っているという王の間へと向かった。
王との再会 蘇れ記憶
リンクのことをゾーラ族の王は知っていた。彼は長くを生き、100年前を知る生き字引だったのだ。
彼は、リンクが厄災が引き起こした破壊から生き延びていたのを喜んでくれたが、その記憶と退魔の剣が失われていたことをいたく悲しんだ。
……100年前に命を落とした愛娘、ミファーを忘れていたことも。
それでも王はリンクに里を、ひいてはハイラルを救って欲しいと説く。
王の説明によれば、ゾーラ族に与えられた『神獣ヴァ・ルッタ』が突如暴走し、無限に水を噴き出し始めたのだとか。このままでは、ゾーラの里が誇る貯水庫が決壊し、ハイラルが大洪水に見舞われてしまうと。
懸命に話し続ける王は、リンクに王家秘蔵の鎧まで与えてくれた。着れば、ゾーラ族と同じ様に滝を登れるようになる優れた品だ。
これと電気の矢を使い、神獣を鎮めてほしいのだという。
話の展開の早さに、「なにがなにやら分からない」といった態度をとっているリンクに対し、当然怒りの感情を見せるものもいた。老ゾーラ、マンタのような印象を受ける顔をした緑色の男性、ムズリである。
彼は「ハイリア人は信用できない」、「その鎧はミファー様手ずからの物であり、婚姻する相手に贈られるはずの……」といい、王の間から退出してしまう。
ムズリがいなければ、神獣を鎮めるために必要な、電気の矢の有りどころが分からない。シド王子が説得に向かったので、リンクと自分も後を追う。
里の広場、優しげなゾーラ族の女性の像が建つ場所に、ムズリとシド王子はいた。
王子は語る、「ミファー姉さんの想い人こそリンクだったのだゾ!」と語句強めに。その証拠に手製の鎧がぴったりなのだからと。ムズリはそれを頑なに認めようとはしないが……。
両者のやりとりから、リンクの眼差しは女性像の方へ向く。彼の視界は明滅し、やがて……鮮やかな過去の記憶へと飛んだ。
在りし日。暴走の気配などない神獣の上で、穏やかに語り合う二人。リンクの傷を癒しているのが、ゾーラ族の姫君『ミファー』だった。
二人は近づきつつある戦いの日を前にして、思いを話し合い、再会の約束を交わす……それが叶えられることはなかったのだが。
追憶から戻り、「ミファーのことを思い出した」と言うリンク。喜ぶ王子に対し、ムズリは未だ訝しげな様子だったが、それでも思うところがあったのか、電気の矢の有るところを教えてくれた。
恐ろしい獣人ライネルの巣くう『雷獣山』に、望みの物はあると。
さて、勇んで出発したいところだったが、少し準備が必要だと感じ、自分は里を見て回ったり、フララットちゃんというゾーラ族女性から"例"のクエストを受けたりしていた。カカリコ村に戻って、いつの間にか復活させていた妖精の泉のお世話になり(そのこと、カカリコ村編では書ききれずカットしたの)、服の強化を済ませたりなんかもしていた。
そして、雷獣山に向かったのである。
誰もが考え、挑んだとのこと
「トワプリの頃から思っていたけど、ゾーラ族って美形多いよな……」なんてこと考えつつ、雨で濡れる山を登る。
歩いていると、針葉樹が生えているのが見えた。根元に注視すると、特徴的な形の矢が刺さっていた。ムズリが言っていた電気の矢だ。
そんなものがあるなら当然、撃ち手もいるわけで……。
山の頂上に、「ここは我の土地である」とでも言わんばかりの顔で、獣人ライネルが雄々しく立っていた。馬の下半身に、獅子の頭、筋肉隆々とした人の胴体を持った、獣人というよりは魔人とでも言い表したい異形である。
リンクはそんな獣人を見て岩影にとっさに隠れたが、自分の気持ちは違った。
……戦うつもり満々だったのである! そのために服の強化をしたり、武器を揃えたり、能力値を向上するお料理を作りまくっていたのだ!
いざ、ライネル討伐! 実は本当は倒す必要ないけどなぁ!
──激闘は10分以上続いた。なんといっても所見の敵だ、まずは相手の攻撃パターンを読むのにも時間がかかる。敵の一撃をもろに受け、何度もゲームオーバーになった。それでも、自分は再トライしてライネルに挑む。
……端から見れば、何回も倒されては倒されて、一方的に殴られてはゲームオーバーになっているだけだが、コントローラーを握っている自分は途方もなく楽しかった、楽しかったのだ。
次第に、相手が次に何をしてくるのかが読めてくる。
いま、リンクはとてもライネルに近づいているから、相手は手に持った短剣で切り払ってくるだろうとか、その四つ足で大きく後ろに飛んだから、三連続で火炎弾をこちらにぶつけてくるぞとか、分かるようになってくる。
これだよ、ゲームの醍醐味ってこれだ! いや、ゲームに限らず、人生の醍醐味とも言えるかもしれない。
『分からなかったことが、分かるようになる』
これが、楽しいんだ。
気がつくと自分は夢中になって画面に食いついていた。指も勝手に動いて、なめらかにリンクを操作していた。
そして、勝っていた。
最終的には武器も全部壊してしまい、撮影用ライトに使ってたファイアロッド(炎を生み出す武器だけど、殴りに使うと弱いし、すぐ壊れちゃう)まで敵に叩きつけるという激闘っぷりだったが、自分は勝利したのだ。
あまりにも無我夢中で、写真を撮るのさえ忘れていた。
フララットちゃんが欲しがっていたライネルの写真だけは、戦闘前に撮ってセーブしていた。
自分に与えられた報酬は、達成感と、ライネルが使っていた短剣(と言っても、人間が扱うには大きいくらいだ)、盾、弓。そして少しばかりの電気の矢だった。
それを抱え自分は──
また寄り道に繰り出したのだった。だってほら、武器の補充もしないといけないし……ヴァ・ルッタ戦は最高のコンディションで迎えたいし……。
次回、???編に続く。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?