リゼ・ヘルエスタさんの「Little nightmares - リトルナイトメア -」プレイ配信への感想

 ゲームのプレイ動画というのも人によって様々なスタイルがあると思うのですが、主人公に感情移入しながらゲームそのもののギミックやクオリティを魅せるのは、リゼ・ヘルエスタさんがとても上手いと思っています(最推し故の贔屓もあるかもしれないですが)。
 ホラー的な要素はしっかり怖がりながら、パズル的な要素は適度に悩み、音楽やグラフィックなども味わいつつ進んでいく。そんな噛み締めたプレイがとても素敵だと思います。
 とはいえ、あまり多くの人のプレイ動画を見た訳では無いので、あまりアテにならないかもしれないですが。
 
 さて、先日続編も発売されたホラーアクションゲーム「Little nightmares - リトルナイトメア -」。今でもプレイ配信をしている方がいる、人気のゲームです。
 リゼ様はデビューしてから割と初期にプレイしていたのですが、僕がなかなかアーカイブを追えずにいて、この二日間ほどで一気に観てしまいました。
 初回配信は2019年6月25日。1回あたり1時間から1時間40分ほどのプレイ時間で、DLCも含めて7回に分けての配信になっています。
 主なストーリーは、モウと言う船の中で目覚めた、黄色のレインコートを着た少女「シックス」を操作して、暗闇の船からの脱出を目指すというもの。
 道すがら敵に襲われたり、死に至るギミックが隠されていたり、シックスに味方する妖精「ノーム」が出てきたり……。
 シックス自身も含めて、様々な謎を重ねながら、揺れる暗闇の中を進んでいき、最後には……。というゲームです。
 全体的にとてもよく出来たゲームで、グラフィックや各種のデザイン、ライティングなどの画面造り、音楽や効果音、物語の結末まで、いずれも手抜かりないゲームで、観ているだけでもかなり楽しめます。
 (恐らくわざと)操作感が難しいのも、ゲームの演出かもしれません。
 ちなみにDLCはシックスとは違う目線からモウという舞台とノームを描いた内容で、こちらも非常によく出来ています。
 
 リゼ様のプレイスタイルは、主人公にしっかりと感情移入をしながら、周囲に目を向けつつ、しっかりと進むというもの。
 このゲームであればシックスの目線で、船内の仕掛けや敵、ノームなどを見ながら暗闇を進んでいくというスタイル。
 グダらずにスムーズに進むテクニックがある一方で、しっかりと画面を魅せてくれます。
 驚いた時の悲鳴が少し大きいくらいで、プレイ中はBGMやSEの邪魔をしない程度の聞き取りやすい声量。頭の回転も早く、視聴者を飽きさせないように気を遣ってくれているのが解ります。
 なにより良いのは、感情移入の上手さで、心細い場面や恐ろしい敵との出会い、ノームとの交流など、常に全力でゲームに臨んでいるのが伝わってきます。
 そのゲームプレイのスタイルこそが、「リトルナイトメア」というゲームを楽しむ上で最大の弱点にもなるのですが。
 
 ここから先は、ゲームのネタバレ的な内容に触れていますので、ネタバレ回避したい方は閉じることをオススメします。

 主人公であるシックスという少女は、常に空腹感に苛まれながら活動しています。
 空腹感に対しては異常なほど従順で、小さな体に不釣り合いなほどの食べっぷり(?)です。
 干涸びたパンや分け与えられた生肉、生きたネズミや、食べ物を差し出したノームまで、凶暴な食欲で食い殺し、平然とその場を後にします。
 本編クリア後のコメント欄で「シックスは7つの大罪の6番目ではないか」というものが多数見られました。
 7大罪において6番目は「暴食」。イメージカラーは黄色も当てられる事があるそうです(pixiv百科事典のみの情報なので話半分程度ですが)。
 また、舞台となる巨大な船の名は「モウ」。綴りは「maw」で、そのまま「胃」という意味です。
 そんな船の中では乗り込んだ異形のゲストたちがただひたすら食事を続けている。
 モチーフとしては「暴食」は適当かもしれないですね。
 DLCを含めると尚更。
 
 リゼ様も、ゲーム開始時点では、シックスの空腹感を気遣ったり、勢いよく食べるのを微笑ましく見ていたりもしました。
 しかし、後半でゲストたちが異常に食べ続けているのを見たり、ネズミを食い殺した時には言葉を失っていました。
 感情移入しているからこその絶句で、熱中しているからこその反応なのですが。
 それでもしっかり切り替えて、先へ進んで行くのもとても素敵な所です。
 ゲーム的に難しいところも泣きそうな声で諦めず、進めると明るい声で喜ぶのもとてもかわいい。
 DLCでは苦手な水のフィールドでのプレイも順調に進め、手に汗握りながら見させてもらいました。
 DLCのラストではゲームクリア後の満足感とストーリーのラストの衝撃と切なさで絶妙な声色になっていたのもとても魅力的でした。
 合間合間ではゲーム内の音響の良さや画面造りについて触れたり、演出の良さや作り込みに感心したり、作り手へのリスペクトを常に意識するのも観ていて心地よいです。
 特にゲーム内での質感について触れていたのが印象的で、本当に主人公と同じ目線で臨んでいるのがとてもよく伝わりました。
 BGMの良さについては完全に同意です。
 そして本編ラストで「Little nightmares」と言うタイトルに気付き、息を呑むのにも作り手へのリスペクトを感じてとても素敵でした。
 
 配信スタイルや音声設備、周辺環境の違いもあるので、今とはすこし配信スタイルは異なりますが、今でも存分に楽しめるシリーズになっていると思います。
 Vtuberを取り巻く環境も変わって今は以前より遥かに忙しいだろうと思いますが、こうして初期の配信を見ると、これくらいゆとりを持った配信スタイルも良いよなぁ、と思ったりします。
 配信の魅力を全然伝えられていないと思うのですが、もし気になったなら、ぜひ観てみてください。
 とても素敵な配信です。
 
[Little nightmares]囚われた小人の少女と脱出する! #1[リゼ・ヘルエスタ/にじさんじ]
 
 余談ですが、このタイトルの付け方もいわゆるYouTuberっぽさを感じますね。

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