つれづれつづり/011

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    それぞれ、おのおの、つれづれにつづります。

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平成初期、あたしは幼児

平成初期。  僕は平成5年に生まれた。辺鄙な田舎。夏は涼しく冬は厳しい土地だった。父親と母親との恋愛はかなりの大恋愛だったと母の語り口から想像に難くはなかった。父親はシャイなのでさも面倒臭そうにそれを語っていた。本当の所は当時の本人達にしかわからない。ただ確かなのはそんな恋愛も結婚生活が長く続くか否かには関係が無いと言う事だ。父と母は平成の前半で離婚する事になる。  先の投稿で、僕は母親に似た恋愛のスタイルをしていると書いた。それだけではなく、物事の判断や捉え方、行動様式

    • 平成元年、あたしはまだ糖

      平成元年。  僕はまだ糖だった。それと同時にタンパク質でもあった。僕はまだ自然の一部だった。父親と母親とそれぞれが摂取するであろう、米や小麦や上白糖や牛や豚や鳥だった。デオキシリボ核酸として生を受けるのは確か着床の2日前。誕生日から逆算すると――これは止めておこう。ひどく下世話だ。  平成元年。僕が生まれる5年前。僕が生まれたのは1993年の1月。ちょうどその夏には「夏の日の1993」がリリースされた(はずだ。多分)。脱いだらチャーミングなんて抜かす男に愛される女が哀れで

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