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くも猫 ふわふわ日記 猫の島

同じ町内の戸馳島をぶらぶらした。はるか昔、中学生時代に戸馳島には何人か友人が居た。戸馳島は橋が架かるまでは、小さな渡し船で九州本土とつながり、その船はいつも満員で自転車にカバンを持った学生が乗り、港まで行き来していた。わずか数分の時間を渡し船は何度も行き来した。その当時の思い出がふいに、脳裏によみがえり、車でおぼろげながら当時の友人の家を探して回った。(見つからなかった) 途中、港の防波堤の向こうの小さな島を発見。鳥居があるので何らかの神が祀ってあるのだろう。

カメラを向かい、防波堤の突端に行くと、わらわら猫が飛び出してきた。それも大人の猫ばかり、いろいろな柄が入り交じり、警戒しながらも距離を縮めて来た。港には結構な数の漁船がつながれてあり、横に小さなプレハブの事務所がある。どうやら漁協の事務所らしい。雑草と網と、ひっくり返った廃船のくすんだ景色に軽トラ1台。車に積んだ、緊急用の猫の餌を紙の皿に盛りつけ、地面に置く。警戒していた猫どもは「コイツ、そんなに悪い奴ではないらしい」と感付き、僕の足元に一気に寄ってきてカリカリを食べ始めた。野良猫の割にはみんなふっくり、体格もよく、病気の猫は居ない。漁協のじいさんが餌を与えているのか…それにしても恐ろしい勢いでカリカリを食べている。

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草むらから、またどんどん出て来る。合計10匹以上!カメラを構えるとさすがに警戒するから、最初だけシャッターを切る。ふと、ちょっと控えめな猫が居る。よく見ると片手がない。ケガではなく、生まれつきらしい。

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この子にもカリカリ皿一枚。みんな喧嘩せずに分け合い食べる。他にも足を引きづる子もいたが、まぁ元気になれと又1枚。こいつらは、その後も訪れる度に廃船の下からでてくる。みんな毛つやもいいから、時々でいいだろう。この島も人工減でこのままいくと、人間より猫の数が多くなるのだろうか。人間が居なくなれば当然、猫も減るだろう。

向かいの小さな鳥居は猫の神ではないだろうけど、何の神が気になるところ。古い神社ほどいわれがあり、不思議な何かの神を祀るのだと期待したい。最近、民俗学柳田国男氏の本を面白く読んでいて、今更ながら昔のいわれに関心がある。

「猫で地域おこし」の話題も多いけど、まだまだ発展途上なのだろう。熊本では上天草氏の離島「湯島」が猫の島で有名だ。数年前に上陸した時、港にはたくさんの猫の集団が居た。島の小道をまわると猫がいたが、天気のせいもあるのか島中、猫の糞の匂いあちこちでした。民家の近くだが、誰も糞の処理をしていないのか。集まる猫にも目ヤニ、皮膚病など、病気伝染病の猫が結構いた。これでは頭をなでてやるわけにはいかぬ。うちの猫にも伝染する可能性が高い。病気はすぐ家猫に感染する。当時は島民もたまたま「猫の島」で有名になったので、そこまで猫が好きな人は居なかったのか、いきなりの地域興しに整理がつかなかったのだろうか。猫の島には猫好きが故に、猫の病気の問題もあるし、猫嫌いの住人とのあつれきもある。その間にはさまり調整役の人が居ないと、ちゃんとした猫の島にはならない。今は、地域おこし協力隊の人が専従で島に来たと言う事で期待が出来る。あわよくばで喫茶店を開いたり、絵にかいたような地域興しで猫の島は進化しない気がする。失敗すれば猫が主役ではなく、猫は集客のダシにしかならないのだ。

戸馳島の猫どもはこれでいいよな、と思う。おっさんがたまには来て餌やるからさ。おっさんは、まずお前らが元気そうなのが嬉しいのだ。向かいの島は、勝手におっさんが猫神様の島にする。

後で上天草市の最新の市政便りを読んだ。去年、原因不明の伝染病で島の猫が100匹前後、亡くなったそうだ。今はワクチンの注射やボランティアのサポートで猫の島の健康は維持できているとの事。これの事も地域興し協力隊の担当さんが頑張っている結果のようだ。島なのですぐに病院に連れて行くこともできず、大変だったのだろうな。猫もよく頑張った!

#猫の島 #猫神

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