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花岡悟に泣かされる

花岡さん、花岡悟。朝ドラ「虎に翼」を見ている方にしかわからない名前ですが、私はこの人にもう3回も泣かされている。

一度目は、花岡さんが梅子さんを前に「こんなはずじゃなかったのに…本当の自分は…」と胸の内を吐露する場面。梅子さんに、「どれも本当の自分よ。でも、あなたが思う本当の自分がいるなら、大切に」と言われ、一筋の涙が頬を伝う花岡。

ああ、なんて純粋な魂の人だと思ってしまいましたよ、私は。(この涙は台本にはなく、演じる岩田さん自身が涙を抑えられなかったそうです…)

二度目は、花岡さんが寅子さんに岡山についてきてほしいのをグッとこらえてレストランでの食事を終えたあと、噴水の前で佇む場面。このあと、二人は握手をするのですが、この手の握り方の弱弱しきことよ。

どんな思いを、言葉をのみこんだのだろうと… その繊細さに涙が出ましたよ。

そして三度目。噴水前での別れから1年が経ち、寅子や轟と再会した花岡さん。怒りや憤りでいっぱいのよね&轟に呼び出され、「責任を負う勇気がないだけだろ」とよねに一蹴される花岡。この瞬間、彼は何を思っただろう。最後、轟に「正しい道に進むと誓うよ。ごめんな」と、繊細な糸で幾重にも編んだかのような眼差しを向ける花岡。

よねが言うように、彼は「勇気がない」のかもしれません。ですが、彼が出した結論、彼が選んだ生き方も、きっと間違いではなくて。純粋で、繊細な彼が精いっぱい考えて出した答えだと思うのです。


このドラマは人物の描き方が本当に素晴らしくて、主人公の寅子はじめ、魅力的な人ばかり出てきます。
ですが、私を最も泣かせるのは、なぜか花岡悟という、優しくて弱くて強い、不器用でずるくてまっすぐな彼だというところが、なぜなんだろう…?誰か教えて?? と思う今日この頃です。