都市と芸術の交差点から生まれる可能性

都市とは、仕事と生活が両立した空間である。

都市とは、行政や経済の仕組みや機能だけでなく、市民の賑いから成る場でもある。

芸術とは、商品だけでなく、一人一人の作品である。

芸術とは、美術館や博物館にあるものだけでなく、一人一人の表現や振る舞いや遊びでもある。

都市を機能や仕組みから見るのか、市民の賑いから見るのか、視点によって都市と芸術の交差点は変わってくる。

都市の機能や仕組みから見ると、芸術は美術館や博物館の中に閉じ込められてしまう。これは、機械のようにシステム設計された世界だ。そして、決められた制約の中で変化のない安定した世界だ。この世界にいると、効率性と速さや権威が価値として見られ易い。誰もが分かる共通の指針だからだ。これは、規律やルールや数字に人を当てはめて行く行為だ。ただ・・行き過ぎてしまうと、人間性が失われる。声なき声をかき消してしまう。人間の人権や生命が蔑ろにされてしまう。それはとても悲しいことだ。

この世界では、芸術とは都市に人間性を取り戻す行為である。声なき声を届かせる行為でもある。人権や生命の大事さを伝える行為でもある。一滴の涙から生まれる訴えでもあり、希望でもある。

都市の市民の賑いから見ると、芸術は、都市全体に内包されている。これは人と人とが相互連携、相互存在していく開かれた世界だ。そして、絶えず揺らいで流れていく変化した世界だ。この世界にいると、独自性やヒューマニティーが価値として見られ易い。誰もが関心を持つ矛先だからだ。ただ・・行き過ぎてしまうと自由や欲望の奴隷となってしまう。目立つことや注目されることを第一に行動してしまう。大切な存在や繋がりに気付けなく、孤立感を感じてしまう。それはとても悲しいことだ。

この世界では、芸術とは、真善美を取り戻す行為である。自分自身のエゴに気付き、セルフに戻って行く行為でもある。人と人を繋ぐ架け橋でもある。一つ一つ削ぎ落としていく行為でもある。普通の人に戻っていく行為でもある。何者でない自分を受け入れていく行為でもある。自分自身の本来の姿に戻っていく行為でもある。









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