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オデッサ 観劇記録

登場人物は三人。 言語は二つ。 真実は一つ。
密室で繰り広げられる男と女と通訳の会話バトル。

ホリプロ『オデッサ』より引用

105分の舞台。
ずっと同じ場所で3人だけが演じ続けている。
会話の中だけで登場する人物はいたけれど、出演者3人が何人もの役を演じ分けるといったことは無く、
日本語は標準語と鹿児島弁の2通りでの表現があったけれど、ストーリーを進めるにあたって重要になっていたのは英語と日本語の2つの言語だったためこれも正しい。
まさにキャッチコピーのままの舞台だった。


・三谷作品のあれこれ

三谷作品の映画はそれなりに履修しているが、舞台は『日本の歴史』をLIVE配信で観劇したことがあるのみである。

2021年公演 『日本の歴史』 フライヤー

『日本の歴史』が三谷作品の中で映画も含めて1番好きな作品だ。しかし、今回の作品は『日本の歴史』とは全く違う。舞台に立つ役柄は3人しかいなければ、場面も時代も変わることは無い。

ホリプロ『オデッサ』GALLERYより 引用

写真の通り、この3人しか出てこないし、机が無くなったりなどの舞台転換も無い。強いて言えばプロジェクションのために後壁が多少前後するくらい。
だけど三谷作品はどの作品も共通して、観る人を楽しませ、ちょっと驚かす所がある気がする。
今回の『オデッサ』もそうだ。
詳しくは書かないが、意表を突くストーリーというのはやっぱり面白い。
それとやっぱり荻野清子さんの音楽も三谷作品には欠かせない。
『日本の歴史』で聴いたのと似たフレーズの楽曲を聴けたのが1番興奮した。ピアノだけじゃなく、オカリナ(多分)の演奏もあったのがまた良かった。
惜しくは観劇した席が下手の1番端だったがために荻野さんが見切れてしまったのだけど、最後のカーテンコールで挨拶に出てこられたためお顔を拝見することが出来た。荻野さんの格好含めて最高だった。

・キャスト

『オデッサ』は当て書きだそうだ。
次に観たい舞台やミュージカルを探す時、好きな俳優さんから探すことが多いのだけれど、今回はエマちゃん(宮澤エマ)が出ると知って観ることを決めた。ミュージカル『ウエイトレス』で観た以来注目してる、約3年振りの生エマちゃんだ。

2021年公演 『ウエイトレス』 フライヤー 引用

次いで言うと、柿澤さん(柿澤勇人)は『メリーポピンズ』でお見受けしている。

spice 2017/12/15 配信より 引用

迫田さん(迫田孝也)だけが初めてだけど、少し前にやっていたTBSドラマの『VIVANT』は観てた。

◆ ◆ ◆

今回の作品は、エマちゃん、柿澤さん、迫田さんの3人が同等に主役なのかと思ってたけど、今回1番の主役は柿澤さんだったように思う。
柿澤さんの役は英語と日本語の標準語と鹿児島弁の3言語を使い分ける必要があって、YouTubeにアップされていた舞台裏インタビューでも「鬼の三谷」といったコメントあったが観て納得。これを舞台でやるのは演者の力量、特に集中力が問われると思う。
以前、NHKの「ミュージカルTV(クラシックTV)」に出られていた際に柿澤さんは「台詞を覚えるのは早い方」と仰っていたけれど、台詞を覚えてから言葉に説得力を持たせるのにはかなり苦労したのではないだろうか。
三谷さんが「言語」をどう解釈して舞台に仕立てたのかはわからないけれど、
私は「言語」は「人格の一側面」を作ると考える。
新しい言葉は日々生み出されており、日本独自の言葉(例:いただきます)もある。きっとオデッサにしかない言葉だってあるだろう。
その中で言葉を使って人は考えを整理し、言葉を発してコミュニケーションをとる。
ここで一度、エマちゃんの話に移る。
元々、英語と日本語の両方が堪能である彼女は、出演者コメントで以下の発言をしていた。

日本語と英語を喋っている私は同一人物ですが2つの役を演じているかのような気持ちになりました。
それぞれの言語で私の喋り方や動作がすごく違うというのを改めて実感して、そこをどう統一させていくのかというのがすごく難しかったです。

宮澤エマ 出演者コメント

このコメントからも、言語は人格の一側面を作る性質があるように改めて感じる。
本番を観た限りでは、エマちゃんが「言語」に振り回されて役が変わってしまっているようには見えなかった、きちんと自分の中で折り合いがついた、もしくは練習していく中で統一出来たのだろう。
しかし「役」として、警部としての側面もあれば、母親としての側面、青年を子どもとして見る大人としての側面、旅行者を1人の日本人として尊敬する側面というように様々なキャラクターが見える素敵な役であった。
さて、話を柿澤さんに戻す。
そういう意味でも、柿澤さん演じる青年は英語・標準語・鹿児島弁の3言語を話し分ける必要があるにも関わらず、それを1つの役柄で統一しなくてはならなかったこの役はかなり難しいものだったと思う。
ここで今度は迫田さんの話になるが、彼は彼である意味1つの役柄で2つのキャラを演じていたのだが、それがまた良かった。これを言う時点で既にネタバレになってしまっているが、彼もまた良い演者だったことだけ書き記す。


最後に、、、

・レターセットを持っていけ!!!!

今まで演者さんにファンレターやプレゼントを贈ることが出来るって想像したこと無かった。
あれは昔々、出待ちとかが問題視されてなかった古の時代のものかと思ってた。
ずっと勝手にそう思ってた。
だけど、違った。
東京芸術劇場だけかはわからないけれど「ファンレター・プレゼントbox」と書かれた箱が出入り口の近くに置かれていたのに、今回の観劇で初めて気付いた。
今まで観劇の際は必ず双眼鏡を持ってきてはいたけれど、今後はレターセットも準備したいと思う。

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