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関係性の質(2)良いビジネスリレーション

 人と人の関係性はどんな形で始まるのでしょうか?皆さんが新しい集団や組織に入り、初めてそのメンバーの会合に参加する時のことをちょっと想像してみてください。人見知りとは無縁な人でも何かアイスブレイクがあった方がいいと思うのではないでしょうか。知らない人ばかりのグループの中では、何気ない会話をするにも躊躇や不安があります。

 最近読んだ文献に「フェイスブックの友達に家のペンキ塗りの手伝いを頼めるか?」という面白い質問がありました。ほとんどの人にとって「はい」と答えるのは難しいと思います。これは文字による会話だけの関係性がどんなものかを示唆しているように思います。

 ある職場に配属されたばかりの社員が仕事に慣れてチームの一員となっていくスピードは、大変わかりやすい関係性の質の指標です。これはチーム内でカジュアルな会話がされているか、ちょっとした協力が普段からどれくらい当たり前に行われているかということに大きく依存します。通常職場では仕事を分担して行う仕組みがあり、そのためのコミュニケーションが頻繁に行われますが、それが必ずしも仕事になれていない人を助けたり人を育てたりするわけではありません。

 誰でも不慣れな仕事をする時は、自ら必要な情報を読んだりまわりに質問したりしながら自分の頭に入れようとします。しかし組織内に暗黙的に共有されている知識をしっかり身に付けるにはチームメンバーの協力が不可欠です。

チームの一人一人が何気ないやりとりから本人の感情や思いを理解し、どこまでわかってきているのか?何をどう頼めるようになったか?といったことを感じ取る。
コミュニケーションに工夫がされ、やった仕事の良否がフィードバックされる。
本人のやれることが増え、相互の信頼が少しずつ積み上がっていく。

職場におけるビジネスリレーションはこのような過程で作られていきます。これによって職場は明るく生き生きとしたものになっていきます。

 良いビジネスリレーションは単に「仲が良い」とか「和気あいあい」というものとは異なったものです。仕事上の相手の立場を十分理解した上できちっと伝えるべきことを伝える一方、小さいことでも気軽に相談し親身になって話し合うという関係性です。その二つを通して「自分が相手を本当にわかっているのか?」「自分の思い込みはないのか?」「仕事の目的について誤解がないのか」といった根本的な気づきが生まれやすくなります。結果としてチームワークが大変よくなり効果的効率的な仕事ができるようになります。
 関係性の質は仕事の質を決める大きな要素なのです。

▶ 関係性の質(3)イノベーションと関係性
▶ 関係性の質(4)関係性の質を向上させるには