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【小説】仔猫ぶーちょの生活-14 ノーライフ ノーフリーダム

先日ぶーちょが来て五か月目を迎えた。ということはぶーちょは生後半年弱の仔猫になったということだ。

最近ぶーちょはケージで寝ていない。深夜眠くなったら男の飼い主のベッドで寝ている。

ぶーちょはまず、ケージの中の水入れが気に入らない、フード入れが気に入らない、とケージに入っていない日中でもひっくり返し始めた。
そして、午後はたっぷり寝て、夜も就寝直前まで寝ている。

ケージに連れて行こうとすると、ぶーちょはあらゆる手を使って抵抗する。就寝時間間際になって真夜中のランニングを始め、飼い主が捕まえようとすると、するりと鰻のように手から逃れ、跳躍力も一段と高くなったぶーちょは、押入れの最上段に逃げ込むのだ。

どうにかこうにか捕まえてケージに入れると、水入れ、フード入れを両手を使ってごとごと動かすのだ。ひっくり返されては大変なので、飼い主たちは起きて入れ物を始末する。

それで、絶対にケージでは寝ません、という意志を表明する。それどころか、縞尾と一緒に外出し、夜の冒険に行きたいということもほのめかす。

ケージは、今ではぶーちょ専用のトイレと化した。

ぶーちょが自分の待遇について、いろいろ改善したいと思っているのは知っていた。でも飼い主たちは飼い主の特権でそれを阻止できると、思っていた。

このぶーちょの計画に賛同したのかどうか、縞尾も、夜になると猫ドアの開閉を頻繁に要求するようになった。早くぶーちょをケージに入れろと主張し、飼い主たちを困らせるのだ。早く入れれば入れたで、ぶーちょの手ごわい抵抗が待っているというのに。

縞尾はそれを知っている。知っていて、ぶーちょと一緒に飼い主たちが根負けするのを待っている。二十四時間猫ドアが解放されるのを待っている。

とんでもない!


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