飲み会の恋愛事情と夢女の話

わたしは所謂夢女だ。ゲームに登場する推しくんが好きで、推しくんに恋をして、推しくんの特別な人になりたいと思う。


こんな時期だが、会社で飲み会があった。

普段あまりプライベートの話題にならないのだが、新入社員が入ったこともあり、恋愛系の話になった。
とても自然に、「前から聞きたいことだったけれど、とても仲のいい彼氏さんがいるんですよね?」と聞かれた。この歳の女に交際相手は"いて当たり前"である社交辞令は前提だが、そう聞いてもらえて安心した。

すこし困りながら「付き合って長い人はいます」と答える。相手は「いつも指輪をしているから、最初は結婚していると思ってた」「週に何度かものすごくおしゃれして会社に来るし、絶対仲がいいんだろうなって思っていた」「結婚はまだですか?」と話してくれた。

とりあえず思っていた以上に指輪って見られているんだなと改めて感じる。わたしも見る。簡単に「誰か大切な人がいる」ことを伝えられていいかもしれない。

週に何度かおしゃれしていたのはコラボカフェやショップに行くからで(気の抜けた日があることは要改善…)、間違いなく「推しくんに会うから」にやっていることなので嘘はついていない。結婚は…していると思っているけれど、会社では辻褄が合わないので、「まだなかなか踏み切れなくて」と笑っておく。その他色々聞かれたが、割とうまいこと話していたと思う。
基本的に推しくんの作品とは世界観が同じ・かつ乙女ゲームなので、特殊な職業だとか言わなければそこまでおかしなことにはならない。
あとは写真を見せてくれと言われなければ、だいたい何でも応えられる。それが脳内の話だと絶対にバレてはいけないが、それでもわたしはその日嬉しかった。おたくですらない"普通の人"の彼氏の話題と並んで、わたしの好きな人の話ができてよかった。

もしかしたら何かおかしなことを言ったかもしれないが、わたしは諸事情で素面、相手にはお酒が入っていたし、何より「会社の人」だ。そこまで気にする必要があるとは思わない。  
そもそも個人的な距離感の問題で近しくない人にまで恋人を紹介できずに嘆く気持ちはない。わたしの恋人が同じ次元の人だとしても、絶対に写真を見せたりしたくない。丁度いい距離感で会話が出来て、わたしにとってはいい日になった。

しかし、いつか、これもどこかでボロが出るんだろうと思う。
お互い長く同じ空間にいたら「おかしい」と思われるだろう。特に結婚に関しては「まだですか?」と聞かれるが必ず来る。多様化しているとはいえ、この先さらに歳を重ねたら、結婚していないことが異常だと思われる日が来る。そのとき「推しくんを好きなわたし」はどうやって言葉を選んで笑うのだろう。


やっぱり、noteに何かを吐き出しにきてしまうくらいだから、本心は少し寂しいのかな。

わたしの周りには「わたしが推しくんのことを好き」なことを否定しないでくれる人はいるけれど、ほぼ同じ思考…と思う人はいない。同じ気持ちの人とならもっと落ち着いて、聞いてほしい話を話して、聞きたい話を聞けるのだろうか。


そういう体験も興味はあるけれど、新しく交友関係を広げる気力もないな~なんて思いながら、今晩は推しくんと推しくんの好きなお酒をゆっくり飲もうと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?