親子2

反抗期

お風呂に入っていたら、娘が扉を開けて、「私さっき『おとうさん』って言ったでしょう?」

「そうね、びっくりしたわ。」

娘は劇的に遅い反抗期。おとうさんが嫌い、わがまま三昧、自己中、えばってばかり、大嫌い。

普通は中学生から高校生にかけて父嫌いの時期がやってくるのだと思うのだけれど、我が家の娘は遅かった、もうとっくに成人しているのに今頃。

おとうさんと呼びたくないわとある日から「しょうじさん」と呼ぶようになった。

反抗期中ですから面と向かって呼ぶ機会もあまりないことと、「勝手にしやがれ!」とこちらもやけっぱちのおとうさん、どっちもどっちだと私は思うんだけれど、私にもおとうさんが嫌いな時期はあったから仕方ないかと放っておきました。

2か月が過ぎて、昨日の夜、食事をしながら「おとうさん」って言っていたので、まぁ何事も無かったかのようにやり過ごしていました。

わざわざ、入浴中の私に「さっき『おとうさん』って言ったでしょう?」

「そうね、びっくりしたわ。」

彼女の勤めている店に『おとうさん』と同じくらいの男性がやって来て、買うものを選びながら

実は先週に奥さんが亡くなったのだとぽつりぽつり話し出したそうで、

奥さんが住みたいというので一年前に鎌倉に越してきて、奥さんが病気になって先日亡くなってしまったって、

今日は嫁いでいる娘に何か送ってやろうかと・・・。

そんな話をどうして娘にしたのかわからないけれど、娘は「おとうさん」とその男性がダブったらしい。

我が家もママが鎌倉に住みたいと言ったから4年前にここに越してきたんだよね。ママが先に死んだら「おとうさん」はこんな風に悲しむんだろうな、さみしいから私に会いたいけれど嫁いでいたら、こんな風に何か送って繋いでおきたいと考えるのだろうなって、その男性が「おとうさん」に見えてきたらしい。

「だからさぁ、呼べるときに「おとうさん」って呼んでおいてあげるべきだと気づいた訳よ。」

「ふーん。そうなんだ、わかったよ、寒いから閉めて。」と扉を閉めてもらって、ニヤニヤしてしまいました。

そろそろ終わるのでしょうか、反抗期。

好日でしたよ。

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