お誕生日おめでとう
先日は息子の12才の誕生日でした。
ちょうど私が息子くらいの頃は、毎日死にたいと思っていて。
というのも、クラスの女子全員から、理由もわからずに無視されていたのです。
学校に行くのがつらくてつらくて、でも、勉強が遅れるのが嫌で休むこともしたくなくて、親に心配もかけたくなくて、学校に行っては無言で１日を過ごし、ただ帰るだけ、という日々を過ごしていました。
毎日２階の自分の部屋の窓から下を眺めては「落ちたら死ねるかな」「失敗したら痛そうだな」「どうやったら楽に死ねるかな」そんなことばかり考えて。
でも、落ちたあとの処理とか、親に迷惑をかけるとか想像して、実行に移す勇気もなく、いろいろな死に方を調べて、行き着いた理想の死に方は「20才で老衰(きれい✕楽な死に方)」でした。(ちなみに次点は「お酒を飲んで外で寝て凍死」)
無茶言うな。
でも、当時はずっとそう思っていました。
生きていてもつらいし、大人になっても幸せになれるなんて思えなかった。長生きなんてしたくないし、若くきれいなまま死にたかった。
こんなにつらいのに、何のために生まれたんだろうと思っていました。
何のために生まれたのか。
動物や植物といった生物は、何のために生まれるのかと考えて、私が出した答えは「種の保存」でした。
みんな、ただ子孫を残すために、生まれて死んでいくんじゃないか。
だとしたら、私も生き物ならば、子孫を残すために生まれたのかもしれない。
そう気づいたときにふと、
「それなら私も、赤ちゃんを産んでみたい」
と思ったのです。
幸い私は女で、子供が産める。
生き物として生まれたからには「子供を産む」という体験をしてみたい。
それは、下を眺めてばかりの私に生まれた、小さな願いでした。
その後私は、20才で老衰することもなく、凍死することもなく、大人になりました。
死にたいと思ってから20数年の時を経て、私は赤ちゃんを授かりました。
初めての妊娠出産は、びっくりすることだらけで、生まれてからはもっとびっくりすることだらけで、五感で味わう体験も、喜怒哀楽の感情も、それまでの人生では得られなかったものでした。
「子供を産む」ことは、想像以上にすごいことだった。
息子の誕生日がくるたびに思うのです。
私の夢を叶えてくれてありがとう。
そしてあのとき「赤ちゃんを産んでみたい」と思った私に、ありがとう。
生きてきてくれて、ありがとう。
この気持ちが、時空を超えて、下を向いていたあの日の私に届いていたから、これまで生きてこられたんじゃないかと思っています。
お誕生日おめでとう。
いつも思い出させてくれて、ありがとう。
無条件の愛と祝福をこめて
それでは今日もごきげんな１日を
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