第3回 うつの治療をする(前編)
本連載では、うつ病の経過に応じて必要な情報をお伝えしていきたいと思います。うつ病に悩んでいる方やご家族、周囲でサポートをする人たちに、ご自身の状況に沿った情報を一つでも見つけていただけたら嬉しいです。
第2回は主人公の橋本さんが、医療機関を受診して診断を受けて、会社を休職するための手続きを行うお話でした。
今回は治療初期の体調や感情の変化、休職中の会社との連絡についてのお話です。
主人公のプロフィール
橋本さん(45歳)
居住地:東京都
家族構成:妻(43歳)、長男(15歳)、長女(13歳)
※本ストーリーは、うつ病から社会復帰をされた方々へのインタビューをもとに作成しています。橋本さんはインタビュー内容をもとに設定した架空の人物です。
うつの症状が悪化する
医師や人事の人からは「とにかく休んでください」と言われたものの、何をどう休んでいいのかわからず、戸惑う橋本さん。
ごろごろとベッドに臥せっている日々が続いたり、急に不安になって復帰したときのために、会社に行くときと同じような時間に起きて、活動をしようとスーツを着て駅まで歩いてみたり、ちぐはぐな行動をとることも多くなりました。
何もする気が起こらなくて、何日もお風呂に入らなかったり、スマホの電源をオフして誰とも接触しない日もあったりしました。
また治療が始まって薬が処方され、どんどんよくなると思っていましたが、逆にどんどん調子が悪くなっていきました。
不安を覚えた橋本さんは、次の診察は2週間後なのに3日後に診察を受けるなど、治らないことへの焦りを感じていました。
行くたびに薬も増え、そのこともさらに橋本さんを不安にさせました。そして次第に電車に乗ることがつらくなり、クリニックに通うことも大きな負担になっていました。
「何とか病院に行かないと」という思いから、歩いてクリニックに行ったこともありましたが、道を間違えて迷子になってしまい、もう二度と家に帰れないのではないかという恐怖を覚えました。
そんなことから、ついに外出できなくなってしまいました。
会社へ定期連絡をする
ずっと家にいることが多くなり、社会とのつながりが絶たれた橋本さんは「もう自分はダメだ」と思うようになりました。
ひと月ごとのメールでの会社への定期連絡は、妻にしてもらっていました。というのも、こんな状態の自分を会社の人に見られたくなかったからです。
家にいてもいろんな音がうるさく感じたり、部屋の明かりを消して寝室にこもったりしました。
以前、厳しく当たっていた部下を思い出し、自分が間違っていたのかもしれないと後悔したり、妻や2人の子供に対してもこんな状態で申し訳ない気持ちでいっぱいです。
妻は「大丈夫だよ」と励ましてくれますが、「大丈夫なわけがないじゃないか」と自分を責めていました。
お役立ち情報
治療の初期は、体調が安定せず、どのように過ごしたらいいかが難しいと思います。
診察の場で緊張したり、考えがまとまらなかったりして、お医者さんに聞きたいことやお話したいことを、うまく伝えられないことがあると思います。
診察時にお医者さんに伝えたいことを整理したり、お医者さんとより良いコミュニケーションをするための工夫などについて紹介されています。
精神科の受診を考えている方へ
ご本人の治療の経過に沿って、ご家族がサポートするときのポイントについての記事です。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次回は、第3回 うつの治療をする(後編)です。4月3日(金)の夜に配信をいたします。
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