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久々に新しい葉が出てきたのは

ガジュマルを育てている。

フォルムもストーリーもかわいいから。妖精が宿るなんて秘話はずるい。


買った当初は毎日新しい葉がどんどん生えてきて、これはすごい勢いで大きくなるのではってちょっと心配したくらい。

でもいっときすると成長が止まった。半年、いやそれ以上?ピタッと止まってしまい、枯れないようにだけ気をつけて、育てていた。


これが限界です、みたいな止まり方ではない気がして、これは根詰まりを起こしているかもしれない、と思った。調べてみたら、やはり鉢は定期的に大きくしてあげた方がよいらしい。


二回りくらい大きな鉢を買い、土を買い、よく晴れた気持ちの良い朝に植え替えをしてみた。

前の鉢からガジュマルを救出してみたら、鉢をそのまま形取ったような根の伸び方。精一杯伸びようとして、一番根を伸ばせる道をたどった軌跡に、「うう、ごめんよ」と思わず声が出る。

根を少し綺麗にして、大きい鉢に移動。土をかぶせて、水をたっぷりあげた。2週間くらいは様子を見てねというアドバイス通り、2週間は特に変化がなく、失敗もしてなさそうだけど、一度固まった根はもう伸びないのか、と少し悲しくもなっていた。


次の日。じっくりガジュマルを見ていたら、枝の先に新葉になりそうな青々とした存在を発見した。お、これは!と思ってからは、さすがの生命力。次の日には少し葉を開き始めていて、あっちの枝にもこっちの枝にも新葉の姿があった。久々の新葉の蒼さに心が躍った。この半年間のブランクなど誰もわからないほど、すぐにまたたくさんの葉をつけながら大きくなっていくんだろう。


こういう嬉しい出来事をすぐに何かに例えようとしてしまう癖がある。

ガジュマルを見つめながら思ったのは、人も年齢を重ねるごとに、あるいは経験を積むごとに、次第にその場が少し小さくなってきて、もっと羽を伸ばせるポテンシャルを持っているのに、そこで止まってしまうことがあるよな、ということ。現状維持でも全然よいのだけど、そこを少しでも窮屈に感じるならば、やはり今の自分を十分に受け止められるだけの広い器を用意して、そちらにひょいっと移動してみてもよいのではないか。そこで新しい栄養、刺激を得ながら、多少見た目が不恰好になったとしても、好きなだけ好きな方向に葉を伸ばしてみる。いつのまにか全体としてひとまわりもふたまわりも大きくなって、また根が詰まってきたら移動する。そんな調子で月日を過ごしてみるのは、結構楽しそうだ。


30代に突入したばかりの私もまだまだ心は蒼い。と信じたい。

なんかそんなことを綴っておきたくなった土曜日の午前。

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