〔記憶物語〕～海の中⑦～

また別の旅へ向く時ーー

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《おまえたち。
次に向かう旅の準備を始めないか？》

〈もうですか？還ってきてまだ浄化が不十分なところがありますので、今しばらくは休ませていただきたいのですが・・・〉

《おぉ、そうだった、そうであった。
おまえたちはまだ還って間もないのであった。もう少し、旅の疲れを癒しておかないとな》

〈そうですよ。
kayoもまた、あんな風になってしまっていますので・・〉

《また自分の殻に閉じこもってしまったのか。しょうがないな～。
地上世界で何かいらないものをつくって持って還ってきてしまったようだな》

〈はい、いつも何かかにか持って還ってくるものですから、ここに戻ったらあのようにしばらくは殻に籠ってしまって、なかなか出てきてはくれませんので〉

《う～む😑。困ったものだな。癒しの旅へと出ているのにも関わらず、その都度新しい傷を自分の中につけて還ってきなさる》

〈まだ当分は次の旅へは向き得ないと思います〉

《そうだな、、
もう少し様子をみるとするか》

〈そうしていただけると助かります。
お願いします〉

《わかった。kayoの状態が落ち着いたら、私のところへきてもらいたい》

〈わかりました。
そのようにしております〉

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カニさん、カニさん、なにしている？

還ってきたよ、遊ぼうよ！

「kayo、還ってきたの？
また殻の中に閉じこもっていたのかい？」

だって～、

つらいんだもん

苦しいんだもん

悲しいんだもん

二度と地上の世界になんか行きたくないんだもん😔

「またそんなことを言って～。還るたびにそんなことを言っていたらどうしようもないよ。
頑張って傷を癒そうとはしてこなかったのかい？」

癒そうとしたんだけど、辛い目にあっちゃって、持っていた傷の癒しはしてくるのを忘れちゃったの😒

「だからそれは、kayoの内側にあるものが姿を現して表に出ちゃったものだから。それに気づけたら古い傷は癒して還ってこれたかもしれないのに」

う～ん。わかってはいたんだけどね～

「こわかったのかい？」

なんでわかるの👀❓

「わかるよ～。kayoのことならなんでも。ずっとここで一緒に住んで暮らしているんだから」

そっかぁ～。バレバレなんだね

「そうさ、ばれちゃって仕方がないよ」

あはは🤣！！

確かにこわかったんだ～、自分の気持ちをみるのが…
こわくてこわくてしょうがなかったんだ！

みた方がいいのは知っていたんだけど、できるだけみないようにみないようにしてしまっていたんだよね

このままだったら癒されないで還ることになるなぁ～ともどこかで感じてはいたんだけどさ

どうしてもみる作業をするのがいやだったんだよね(^_^;)

どうしてかなぁ～？

地上で過ごしているときにはわからなかったんだけれど、自分の心の奥の古い傷に気がつくことが、おそろしくて耐えられなかったのかもしれないんだ

だからみるのを拒否していたかもしれないんだよね…

「そうだね、それはあるよね。ずっとそうやって心の中にしまって大事に持っているものがあったなら、何かの拍子にポコッと表に出てくることはあり得るからね」

うん。本当にそうなの

「それで？kayoがもう行くのがいやだって騒いでいる地上の世界は、そんなにひどいところなのかい？」

ううん！そんなことはないよ！

とっても美しい、素晴らしい景色が広がっているところなんだ！

本当に本当に、すごい景色と空気だったんだよね。

あの景色を見て、その場所の空気を吸ったら、とてもとてもすごくしあわせな気分になれちゃっていたんだ💗

ここからじゃあ見えない景色と空気を地上の世界に行って見てくることが出来て、感じられることが出来て、「最高！！」と思ったんだよ！

あの景色をちょっと見るだけでも、
「生きていて良かった～✨✨」って心からそう思えたんだ！

だから、地上の世界がひどいところってことは全然ないよ！
ただ、慣れるのにいつも時間はかかるけどね💦

またチャンスが来たら行きたいとは思っているよ！

「なんだぁ。kayoがあまりしょげているから、もう二度と行きたくない、すごくひどいところなのかと思ったよ」

あ～！そうだね！そうだよね。

うん、ごめんね！そんな風に感じさせるような話をしてしまって、、地上はそんなところではないから。

さっきはすねちゃって「二度と行きたくない」って言ったけどそんなことはないよ！

自分の心の中が表に現れちゃって、さっきみたいに感じてしまったところはあるけど、

出会った人たちも、みんながすごく素敵な人たちばかりでとても楽しかったんだぁ～🎵

楽しくて楽しくて笑い転げていたこともたくさんあったんだよね～😆❤️

「ぼくたち、kayoからもっとそういう話を聴きたいな。もっと聴かせて、地上でのおもしろい、楽しい話をさ！

どんなことが面白かったのか、

どんなことが楽しかったのか、

どんな出会いがあったのか、

もっと聴きたいよ！聴かせてよ！」

わかった～！話すよ。もっとそういう話をたくさんカニさん皆さんに話をしてあげるよ😊！

🦀🦀🦀

それからkayoは、地上でのたくさんの面白かったことや楽しかったこと、嬉しかったことなどをぼくたちに話してくれるようになっていった。

kayoは、ひとつの旅を終えて還ってきたら、しばらく自分の殻に閉じこもることがよくあったけれど、少しずつだけど、そういうことはしなくなっていった。