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企業経営入門:スタートアップに必要な経営力

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上場・未上場に拘わらず、成長が期待される事業/スタートアップを中心としたビジネス関連の面白いnoteをまとめます
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#ファイナンス

なぜSmartHRはユニコーンになれたのか

TAKA(@Murakami_Japan)です。今日は日本のスタートアップ・エコシステムにとっても、自分自身にとっても記録すべき日だと思いましたので、突然ですが筆をとりたいと思います。 本日、私自身も2018年から経営に伴走させていただき、2019年からは株主としても支援させて貰っているSmartHRが資金調達のリリースを発表しました。これまで何度も資金調達のリリースは見てきましたが、今回はいつもとは少し異なる感情も芽生えています。 それはSmartHRがユニコーンの仲間

【新体制】事業成長を先回りする経営体制の進化が会社を飛躍させる〜SmartHR〜

本日、私も社外取締役を務めるSmartHRが大きな発表を行いました。それについて書いてみたいと思います。まずは徒然なる文書をお許しください。 私と玉木さんと森さん玉木さんが2018年にCFOに就任された直後あたりから、私もアドバイザーを務めせていただき、もう5年以上になるのかと感慨深い発表がありました。玉木さんがnoteで書いておられる転換点となるシリーズCにてリード投資を務めさせていただき、私にとっても大きな転換点となったように思います。 玉木さんがCFOとして初のEQ

【考察】ビジョナルは成長戦略の転換点、「大M&A時代」が到来する

村上誠典です。さて、ビジョナルの業績が素晴らしく好調です。先日2023年7月期の通期決算発表を行い、同時にプライム市場への市場変更を行う予定である旨を発表しました。時価総額も3,000億円程度と上場時の初値水準を維持しています。 今回はグロース市場で最も時価総額が高く、日本のVCエコシステムから誕生したスタートアップとして、メルカリ(約5,000億円)、SHIFT(約5,000億円)、マネーフォワード(約2,500億円)、ANYCOLOR(約2,200億円)、カバー(約1,

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【解説】10月スタート!新しいIPOプロセスが与えるスタートアップへのインパクト

来月(2023年10月)からIPOプロセスが新しくなることをご存じでしょうか。かなりテクニカルだし、正直あまり注目されていないと思いますので、知らない方も多いかもしれません。しかし、大きく日本のIPO、そして日本のスタートアップ・エコシステムをアップデートするキッカケになる可能性を秘めています。今日は、そんな「新しいIPOプロセス」について解説してみたいと思います。 事前に言っておくと、今回18,000文字を超える大作になっています。ただ、難しい話をできる限り簡単に書いたつ

スタートアップが社会インフラを創る〜ファイナンス戦略の新潮流〜

本日、アイ・グリッド・ソリューションズ(「当社」)が30億円の資金調達を発表しました。金額だけ見れば一時期のスタートアップ・バブル時代の調達額からすると、それほど珍しいものではありません。2023年上半期でも30億円以上調達したスタートアップは14社あります。 目下、スタートアップ五か年計画が遂行される中、過去5年間と比較して「進化」した形でスタートアップの経営も事業もファイアンス戦略もアップデートしていくことが大事だと感じています。この5年間でも当方が関わってきたスタート

キャッシュフローは企業の大動脈である

TAKA(@Murakami_Japan)です。今日はお金のお話。ビジネスマンが経営者になると気が付く、そして世の専門書でも散々言われる、「キャッシュフローが大事」という企業経営に関するお金。 結論から言えば、その通りキャッシュフローは極めて大事、ある意味最も大事と言っても良いかもしれません。 しかし実際はその大事さほど、その重要性を理解していないビジネスマンも多いように感じます。今日はどうしてキャッシュフローが大事なのか、その点について書いてみたいと思います。 キャッ

「非財務情報」を意識した事業計画こそ、その実効性を高める

TAKA(@Murakami_Japan)です。今日は企業経営に触れると必ず向き合わなければいけない「事業計画」について少し書いてみたいと思います。さて、良い事業計画ってどういうものだと思いますか? そしてイマイチな事業計画には何が足りないと思いますか? 会社が作る事業計画が果たす役割は様々事業計画を最初に作るのはどういう時でしょうか。人によって様々かもしれません。まだ何もない構想段階から、ある程度の事業イメージを作るために簡単な事業計画を作る人もいるでしょう。その際は、当

リスクオフ局面でも成長性を加速する「掛け算」の経営

TAKA(@Murakami_Japan)です。資本市場はコロナ、半導体不足でもリスクオンを続けていましたが、目下の金利上昇、ウクライナという世界のマクロイベントに対しては脆く、一気にリスクオフ局面に入ってきました。そんな時だからこそ、事業のファンダメンタルズを成長させることができるかが重要になってきます。短期的な市場からの評価はもちろんのこと、リスクオフ局面を抜けた後に大きな差となってくるからです。 日本からも徐々にユニコーン企業が生まれてくる素地が整ってきました。ユニコ

株式市場の調整がもたらすスタートアップへの影響

TAKA(@Murakami_Japan)です。米国の利上げによる長期金利動向を背景に、米国でハイテク株の株価調整が始まり、日本でも昨年11月以降新興企業の株価調整が一気に進みました。株式市場ですから、一定のボラティリティがあることは前提ですし、それ自体は長い目で見れば目新しいことではないでしょう。ただ、株式市場の動向がスタートアップへどのような影響をもたらすかはまた別問題です。単なるボラティリティに留まらない可能性があります。今日は2022年を占う意味でも、昨年末からの調整

【徹底解説】コーポレートガバナンスとは何か?(基礎編)

TAKA(@Murakami_Japan)です。私、職業柄、たまたまなんですが2003年からコーポレート・ガバナンス("CG")をそのものをテーマにしたり、その考えに基づいて仕事をしたりし続けてきました。丁度、米国で意識が高まり始めた頃と重なります。今も、コーポレート・ガバナンスに直接関与していますし、それを考える立場にもいると自覚しています。 ただ、この18年間、常にぼんやりと感じ続けてきたことがあります。「コーポレート・ガバナンス」って一体何なんだと言うことです。おいお

ライフネット生命の"Re-IPO":海外募集による新株発行及び株式売出

TAKA(@Murakami_Japan)です。 ライフネット生命といえば、2006年、金融危機前の好景気の中で創業され、金融危機と東日本大震災などを潜り抜け5年半足らずで上場した、昨今マザーズへ上場した企業からすると、マザーズ上場企業の老舗企業です。会社名こそ、B2C企業でありテレビCMもされており、一定の認知を獲得していることからもよく知られた存在かもしれませんが、上場後から今日に至るまでのストーリーは一般にはあまり知られていません。 この度、2012年の上場以降、最

BASE:上場、コロナ、そして大型ファイナンス

TAKA(@Murakami_Japan)です。最近、マザーズ上場企業の大型ファイナンスが増えてきている。一連のトレンドについては、どこかで触れたいと思うが、今日発表されたBASEの資金調達について筆を取ってみたい。 ほんの1年足らずで、上場、コロナ、そしてこの大型ファイナンスの実行である。ホップ・ステップ・ジャンプ、という言葉がまさにフィットするように事業面でも資本政策面でも一気にステージを引き上げることに成功している。 今回私が注目したのは、大きく3点ある。それぞれの

ユーザベース:再成長に向けて、海外募集による新株発行

TAKA(@Murakami_Japan)です。最近、立て続けにマザーズ市場で海外募集によるオファリングが出てきていますので、簡単に概要のまとめとポイントを記載しておきたいと思います。図表は全てユーザベースが発表している公開情報から抜粋しておりますので、詳細は会社コーポレートサイトにてご確認ください。 最後まで読んでいただけると分かりますが、本件はマザーズ市場でも珍しい「海外募集のみ」による新株発行を通じた資金調達になります。なぜ、今なのか、なぜこのフォーマットで資金調達を