大したことじゃないんだろうけど

娘は飛行機のチケットとか新幹線の切符とか電車のICカードとか、乗り物関係のチケットやカードを持ちたがる。そして改札口で係の人に手渡したり、ピッと機械を通して改札を通ったりさせると、とても嬉しそうな、満足そうな表情をする。
最初のうちは「絶対に失くしたらいけないよ!」と何度も言い聞かせ、少しでも遊んだりすると取り上げていた。でも日々娘は成長していき、何回も言い聞かすことはなくなったので、最近は私の代わりにチケットやカードを持たせることが多くなった。

だったので今日も娘に「絶対に失くしたらいけないよ」と言い、JR系列のICカードを持たせて、私の代わりに改札口で機械にタッチさせていた。

娘と息子と3人で友達の所へ向かう最後の乗り継ぎのJRの中で、事件は起きた。
3人とも慣れない土地での乗り継ぎで疲れていた。今日は娘もカードで遊んだりもしたので取り上げようとしたが、娘の「もう遊ばないから!失くさないから!」と言う言葉を信じ、預けていた。
左手側が窓側の席に娘、通路側に私が座っていた。娘は左手にカードを持ちながら、太もものあたりに左手を置いて寝ていた。次の駅で目的地、というところで娘を起こした。起きた娘の左手の力が抜け、壁と椅子の隙間の手も入らないような所にカードが落ちる瞬間を見た。
私も油断していた。まさかここで落とすとは…。
すぐに座席の下を見たが落ちていない。急いで隙間に手を突っ込んでみたものの、手が入らない。取れない。見えない。
娘をその場に残し、車掌さんに手伝ってもらおうと車両を移動し探したが、見つからない。
アナウンスが鳴った。もう目的の駅に着いてしまう。
焦って焦って、腹が立って腹が立って、娘を叱り飛ばしてしまった。娘自身も寝ぼけていて何をしたかよくわかってなかったようだが、よくないことをしたというのは理解していたようだ。不安がって待っていた娘が泣きわめいた。泣きわめかれて、さらに腹が立って、また怒ってしまった。周りの乗客の人も何事かと駆けつけてくれた。
そうこうしているうちに目的地に着いてしまい、出発の合図が鳴った。ICカードは諦めてJRを飛び降りた。

降りた後も娘は泣き叫んでいた。「わーーーん!お母さんが怒ったぁ!」
泣き叫ばれてまた娘を怒ってしまった。


駅員さんに事情を説明し、落とし物の登録をし、お金を払い、改札を出た。
改札口付近で駅員さんに説明している最中も泣きわめいている娘を見かねて、駅員さんがシールをくださった。
改札を出てからも娘は「お母さんが怒ったー!!」と泣き叫んでいた。

娘をなだめすかして、友達と合流したときには機嫌も直り、日中は友達の子供と笑って遊んでいた。
でも寝る間際にまた「なんで今日は怒ったの!もういや!お母さんイヤ!」と泣き叫ばれた。



現金を出さないで済むよう姉にICカードを借りただけだ。姉は定期券としては使っていない。往復の電車代¥3,000をチャージしただけだ。
替えはすぐに用意できる。
誰かが命の危険に晒されたわけでもない。
大したことではない。

私が悪い。娘に預けた私が悪い。

だけど「せっかく借りてきたのに」「せっかくチャージしたのに」と労力を無駄にされた感じがし、しかも「失くさないと言っていたのに」と娘を責める気持ちもあり、こういうときは短時間で怒りがマックスになってしまう。怒りを抑えきれずに怒ってしまう。その怒りの矛先にいることが多いのが娘だ。娘が私に懐かないのの原因の1つにこういう所にあるのだと思う。

大したことではないのに。

どうしたらこういうとき怒らず冷静に判断し、行動できるのか。



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