樹海で見つけたベンチャーで働く価値
この前、誕生日を迎えた。
28回目。
意外と30歳が楽しみだったりする。
毎年恒例の、夫からの誕生日旅行のプレゼント。
今回は素敵なホテルと、樹海ハイキングを
企画してくれていた。
初めての樹海ハイキング。
正直とても楽しかった。
ハイキングのガイドさんがすごく良い方で。
歩きながら知識が深まったし、
なにより、「樹海」に対する何となくの
怖いイメージが変わったのが面白かった。
私の目で見た樹海は、
奇跡の積み重ねのような土地で
(富士山噴火の溶岩でできた森で、
土がないのに木が生えている、すご!)
空気が澄んでいて、青々していて、
とっても綺麗だった。
しかも富士風穴という洞窟があって
夏でも気温は0〜3度ぐらい。
かなりひんやりしていて、
手はあっという間に悴んでしまう。
かつては天然の冷蔵庫として
使われていたそうで、
生活の拠点でもあり、何と明治天皇も
来訪したことがあるほど、
産業の中心だったこともあるらしい。
28年間積み重なった思い込みが
一つ壊れたのが、良い体験だった。
ちなみに、日本に樹海は一つしかなく、
青木ヶ原樹海のことを略して「樹海」と
呼ぶのだそう。これも初めて知った。
本題はハイキングの後の雑談。
風穴の話で盛り上がっていた時に、
ガイドのお姉さんがこんなことを言っていた。
「いやぁ、昔の人はすごいですよね。
この洞窟に入ってみようと思って、
暮らしが豊かになったわけですからね〜」
「今じゃ何でも整っているから、
あえて暗闇に入ろうだなんて思わないですよね」
また、お姉さんは長年自然系のアクティビティの
ガイドをしてきたらしい。
都会が合わなくて田舎で今後も暮らしたい、
と話していた。
都会は整いすぎていて、何でもあって、
逆にちょっと疲れちゃうらしい。
それを聞いて夫がひとこと。
「田舎は不便かもしれないですが、
不便だから工夫の余地が生まれますよね」
なるほど。
組織に対する気づきを得た瞬間だった。
私はいわゆるベンチャー企業に
勤めており、創業からまだ10年未満。
何にも整ってない。
カオス状態。
それでも私はこの会社に5、6年勤めていて
とてもやりがいを感じられている。
何も整ってないのに、だ。
なぜだろうと思っていたが、
私はきっと「その世界の中の初めての人」
という当事者になることが好きなのかもと気づいた。
例えば、スマホを享受すると何も感じないが
いざ自分で作れと言われると、
かなり難しいし、死ぬほど壁にぶつかりまくる。
こんな感じ。
人類で月に到達して人はすでにいるが、
私の会社ではまだ前人未踏の領域が
たくさんあって「自分で動かす」という
レア体験が積めるのが、何とも言えない面白さ。
もちろん、代償もある。
ほぼ一回で成功しない。
でも、
だからこそ、成長できる。
夫の言った
「不便だから工夫の余地がありますね」
ということなのだと思う。
世の中では当たり前のことを、
第一発見者、当事者として生きていける喜び。
そこを面白いと思うか、思わないか。
ここに、共に組織を作っていく
味わいや価値のようなものがあるのだと
気づくことができた。
樹海が思わぬ気づきをくれた、
素敵な誕生日旅行。
こんなふうに、日々の気づきを
これからも大切にしたいなと、
胸に刻もうと思う。
来年はどんな誕生日旅行になるのだろう。