小川小雨

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卵のお菓子

 全員が大阪の言葉を話せないのは偶然だった。浩子は千葉から、私は名古屋からそれぞれ一年前、祐介くんはつい三か月前に福岡から来た転校生だった。転校生同士という気安さはあったけれど、一緒にいれば、他の子たちと仲良くなりづらい。  自由研究の班分けのくじ引きで、偶々私たちが一緒になったのは、転校生三人には少々重荷だった。最初、浩子と私が「星のことを調べよう」、「町の歴史は?」とか、「つまらない」、「面白くない」だの言い合っていた。ふと、二人の視線が黙っている祐介くんにいった。

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