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就職がゴールじゃない~障害と共に生きる①~

さて、久しぶりの投稿になります。ちょっと重いかなと考え、悩みました。でも、そふとナ鬼嫁 家で起こっていることがどなたかの参考になればと思い投稿します。

今回の主役は、長女・ノン(以下ノン)です。
ノンは夏に就職先から内々定を頂き、就職先の面接(一般企業の面接とさほど変わりません)を乗り越え11月に正式な「内定」を頂きました。

想像してみて下さい。
あなたのお子さんや大切な方が学校で1番に就職が確定したと聞いたら。
嬉しいですよね? 
喜びを分かち合いたいと思いませんか?
会う人会う人に、嬉しいことを言いたい気持ちになりませんか?
ノンには、「嬉しい」いう感情がほとんどどありません。それどころか…


長女・ノンのプロフィール

  • 2004年生まれ

  • 特別支援学校高等部3年生

  • 自閉症スペクトラム・軽度知的障害

  • おとなしい性格で、全てを抱え込みます

プロフィールに関しては、「長女・ノンの障害が分かるまで①」にて書いています。
良かったら、見てみて下さいね!

ノンの通う高等部

ノンの通う「県立特別支援学校高等学園」の事を少しだけ紹介します。
特別支援学校と言うと、小・中・高が一緒になっている所と高等部だけの学校があります。
ノンは、高等部のみの学校で就職率が高く卒業後のフォローも評判の学校です。

コース分けがされている

ノンの通う高等部は、コース分けがされていて以下の3つになります。

  • 職業専門コース:一般就労を目指しており、原則2年間は寄宿舎生活。

  • 作業コース:一般就労または福祉的就労を目指している。

  • 生活コース:福祉的就労や家庭生活への適応能力の育成を目指している。

また学校では、国・数・社・理・英・音・体・等の学習と共に作業コースに分かれて日々社会生活で必要な技能を習得します。

1年生は各作業コースを2週間ずつ体験し、どの様な職業に就きたいのか本人・保護者・学校の3者で話し合い3学期にどの作業コースにするか決めます。2年生に上がる前に作業コースが決定し、2年生・3年生の2年間は決定した作業コースで日々就労に向け学習をします。

実際に、コースで作成した作品(窯業・工芸・木工・被覆)や野菜などは文化祭の時に販売されています。本当に、どの作品や野菜もクオリティが高くて毎回驚かされています。

年間通して実習がある

「職業専門コース」と「作業コース」は、一般就労もしくは福祉的就労を目指しているので年間を通して実習が組まれます。
実習日数や、実習箇所は生徒によって異なります。

  • 1年生:就労支援施設

  • 2年生:将来的に就きたい職業や本人に適していると思われる職種への実 習 

  • 3年生:進路を決め、決めた進路に向けた実習。実習先が、就職先になる事もあります。また、専門学校に進学する生徒もいます。

※注意:あくまでも、ノンが通う学校の紹介です。すべての学校が同じではありません。

ノン希望企業からの内々定通知

コロナ禍で実習受け入れ先が中々見つからない中、学校の先生方のおかげで
7月に実習を行うことが決まりました。
実習が決まったことに関して、ノンは実習が決まってよかったと笑顔で前向きな様子。

看護学生時代、実習は苦痛でしかなかった私にとっては意外な反応でした。しかし、ノンの前向きな気持ちに嬉しくなりました。

内々定通知があって間もなく、企業の方から学校まで足を運んでくださり雇用契約内容について説明がありました。
ノンはこの時、文化祭の練習も始まっておらず漠然と説明を聞いていたように思います。

全ての行事が学校生活最後

そうなんです。
ノンは、高等部3年生。高等部生活最後の1年なんです。
この前生まれたと思ったら、いつの間にか高等部生になって。言い出すとキリがありません。
感慨深いですねぇ(*^-^*)
そして今思えば、ノンの心の不調が見え始めた文化祭にさかのぼります。

文化祭

4月から沢山の行事に参加し、コロナ禍で我慢もいっぱいしてきたノン世代。高等部最後から2番目の行事が「文化祭」でした。文化祭の練習が始まったのが、本番の2週間前。(本当に今の子は時間に追われている感じがしますね)

ノンのような発達障害のある方にとって、行事そのものが非日常でプレッシャーを感じる。また記憶する事が苦手な方は、少しずつ長い年月をかけて練習しないと覚えることが出来ないことがあります。

それでも子供たち全員で力を合わせ、先生たちの協力を得ながら自分たちの出し物の構成を考え実践していきます。

頑張り過ぎて、波がくる子もいます。ノンも、その中の一人でした。
情緒はジェットコースター。
元々、細身の体格がガリガリになりました。
それだけ、葛藤があるのでしょう。私たち親は、見守る事しかできません。

本番当日。
出し物の演劇を号泣しながら観たのは何を隠そう、旦那様。
色んなことが走馬灯のように思い浮かんだそうです。
2歳で初めて参加した、保育園のお遊戯会。
ノンが、ハッキリした言葉を発したのは保育園でのお遊戯会でした。
「ぞうさん」って大きな声で言ってくれました。
言葉が出た事に嬉しくて興奮している私の横で、号泣しているのはもちろん旦那様。

小さくてほっぺが落ちそうで、お気に入りの人形片手におしゃぶりをくわえていたノンは立派な女性になりました。
楽しいことも苦しいことも泣きながら、笑いながら乗り越えた18年。
文化祭では、立派な演技を見せてくれました。

文化祭が終わって見えた変化

文化祭を終えて、学校から一緒に帰る道中
ノン「あぁあと残すは卒業式だけ」
とポツンと言うのです。
ホッとしたのかと思いましたが、今までにない複雑な表情をしていました。
疲れかな?と思いユックリ休養するよう声をかけました。

この時、気付いてあげてればよかった。
この頃、ノンの心は悲鳴を上げていたのかもしれません。
朝起きが苦手になりました。
ノンの口からは「卒業」という言葉が頻回に出ます。
気付けなかった…

突然朝の起床が難しくなった

それまでは、こちらから声をかけなくても目覚ましのアラームで起きてきていました。ところが、寄宿舎でも自宅でも突然朝起きが難しくなりました。朝おこしに行くと、辛そうにしていますが体を起こしリビングまで来たらソファーにダイブ。

疲れだけじゃない

疲れだけじゃないと感じたのは、朝起きが難しくなって2ヶ月弱経過しても一向に元に戻らない。それどころか、表情も落ち自宅にいる時は殆ど横になっている。何かがおかしい。でも、何かと言われても分からない。

ノン自身は、自分の変化などに気が付いていません。これがノンの特性。はたから見ても体調悪いよね?と言う感じなのに本人気付かない。また、言いたくてもどのように言って良いか言葉が出ない事も多く本当は気付いていたけど表現方法が分からなかった可能性も考えられます。

ジェットコースター並みの情緒

元々、情緒不安定な時はジェットコースターですが今回は違いました。
何と言うか…
ジェットコースター過ぎる!!!機嫌がよいと思った瞬間、不機嫌。突然泣き出す。帰りたいと電話があって夜に何度迎えに行っただろうか。

就職内定

情緒不安定が続く中、就職内定通知が到着。
本人は、ほっとしたようすでした。私と旦那はバンザイして喜びあいました。
しかし、ノンの表情は雲がかかったように感じました。

私は、内定をもらって喜ばないノンが不思議でたまりません。それどころか、「あまり言わないで」と。
彼女の意向をしっかり受け止め、私たち夫婦の喜びは心の中だけに…

就職だけがゴールではありません

この言葉。もちろん、障害のあるお子さんの育児をしている方もそうでない方も同じだと思います。しかし、今回ノンに起きた出来事を通して改めて障害と共に生きる苦しさを目の当たりにしました。彼女に私たち夫婦がしてあげられる事は何なのか今も模索中です。また、このお話は続きがあります。進行形ですので時間はかかりますが、更新していく予定です。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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