Netflixの未解決ミステリーをオススメするわけでは無いけどみんなに見てモヤモヤして欲しいという話

　Netflixのドキュメンタリーで最近ちらほら宣伝されるようになった「未解決ミステリー」というNetflixオリジナルドキュメンタリー。スタートレックディスカバリーを観終わった後に画面を放置したままにしてたら勝手に予告が始まって見たくもない予告を見せられていたのですが（Netflixユーザーあるあるだと思う）急に日本語が聞こえてきたので何かと思ったらそれが「未解決ミステリー」の「波にさらわれた魂」でした。その1エピソードから見始めてぶっ続けで観てしまったのが昨日の日曜日の昼から深夜にかけてのこと。久しぶりにハマったドキュメンタリーだったので紹介がてら特に気味が悪かった、胸にモヤモヤが残ったエピソードを紹介したいと思います。

番組のリンクはこちら

https://www.netflix.com/title/81026055?s=i&trkid=14170286

1．S1Ep1“ホテル屋上のミステリー”

遺された妻は今でも真実を探し求めている

32歳のレイ・リヴェラは結婚して新しい仕事も見つけ、新天地で生活を始めたばかりの未来ある青年だった。ある日の夕方、どこからか電話を受けた彼は急ぎ家を出たまま彼の車と共に行方不明となった…

シーズン1のエピソード1に最適な最もモヤモヤが残って謎ばかりでやりきれない思いが募る事件。一晩明けても帰ってこない夫の安否を案じた妻が警察に連絡し、家族や友人と共に市内を捜索したところ彼の車を偶然発見。さらにその駐車場の周囲を調べると隣接するホテルの低層棟の屋上に穴が開いているのを発見。もしやと思い、ホテルのコンシェルジュと共に普段は使われていないその穴のあいた部屋に入るとレイの遺体を発見。大まかな状況から見るとホテルの高層棟の屋上から飛び降りたレイが低層棟の屋上を突き破る勢いで落下し、転落死したように思われた。警察は早々に自殺と断定するも自殺だとすると説明がつかない状況証拠がいくつも出てくることが判明したため、納得のいかない遺族は独自に調査を始める……というのが事件発生からその後までの流れ

この事件、本当に訳のわからないことばかりでまず現場の様子から不自然な点が多く

・低層棟の屋上の穴が高層棟の屋上から遠すぎる。全力疾走して走り幅跳びしないと届かないくらい

・穴が小さすぎる。体を横にして衝突したのではなく、直立して低層棟の屋上をぶち抜いたと思われるが不自然すぎる。

・高所から落下したにも関わらず彼の遺品（携帯電話やメガネ）が無傷。まるで誰かが落下後にわざとらしく置いたかのよう。

・ホテルの屋上は施錠されていた。また、ロビーを通ったはずなのに従業員や客は誰も見ておらず監視カメラにも映っていない。裏口はあるがこちらも施錠されていた。

また、検死官は彼の死体は自殺とも他殺とも断定できない状態「未確定“undetermined ”」と判断しているのに警察は早々に自殺と断定し、捜査を打ち切ったのも謎。しかもその際に熱心に調査を進めていた刑事を左遷している。

このように何から何まで説明がつかないことだらけのこの事件だったがどうやら何か手がかりがあることが判明した。彼の新しい仕事は彼の親友が経営する金融コンサルで、彼はどうやらその中で触れてはいけない金の動きに関する情報を掴んでしまったのではないかというもの。しかし、15歳から親友だったはずの経営者の男はレイの死体発見直後からこの件に関して箝口令を全社員に発令、葬式に顔を出さないどころか一切連絡を取ってこないという始末…！

そしてなんと携帯の通話記録から、彼を呼び出した電話はその会社からかかってきていたことが判明！！！どう見たってクロじゃん！！

…ところが警察による捜査は終了しているため、その会社を捜査することは叶わず、遺族は気を揉んでいる状態である…見ていて彼らとシンクロしてしまうのだけどめちゃくちゃ悔しい！！この会社の社員の誰かに善意があればと思わざるを得ないところでこのエピソードは終了。まさに未解決ミステリーというお話。

2．S1Ep2“恐怖の館”

発見された遺体は非常に綺麗で血痕も指紋もなかった​

　タイトルはまるで幽霊屋敷でもあるかのようだけど実際は恐ろしい殺人事件があったという個人的に一番の胸糞悪いエピソード。

大西洋に面した穏やかで素敵なフランスの一都市ナント。伯爵家の末裔にあたるデュポン家の理想的な父親グザビエと美しい妻アニエス、美男美女揃いで知性も豊かな子供たち4人は社交的で友人も多く、完璧な家族だった。

ある月曜日の朝、対面の住民がデュポン家の窓のシャッターが下されたままになっており、扉には「郵便お断り」と貼ってあるのを不審に思い、2日後警察に相談した。警察は宅内を捜索したが布団やクローゼットが綺麗に片付けられているのを見て旅行に出かけているのだと判断。そこでは何も見つからず、不審な点も全く無かった。

数日後、一家の友人や親戚の元に不審な手紙が届く。それによると「グザビエ・デュポン・ド・リゴネスがアメリカで金融スパイとして働くことになったらデュポン家はアメリカに移住する。連絡されても返事を返せないから連絡するな」という明らかにおかしな怪文。だがグザビエを良く知る親しい友人ですら思った。

「あり得る」

唯一、妻アニエスの両親だけが「娘は何も連絡をよこさずに蒸発する質ではない」として警察に相談。何度か警察が無人の家宅を捜索するも何も出てこないまま10日が過ぎようとした時、ある刑事がテラスの下に違和感を覚え、掘ってみるとなんと妻と4人の子女、それに2匹の犬の死体を発見した。そう…

父親のグザビエの死体が無い。

その瞬間からグザビエは最有力容疑者候補として手配されることに。調査を進めていくと、順風満帆かのように見えた彼の事業は実際には火の車で借金も膨れ上がっていたことが分かった。事件の数ヶ月前に彼の父親が小さなアパートで孤独な死を遂げた。遺産と呼べるようなものは無く、「理想的な家庭の理想的な父親像」に執着するグザビエは自身のプライドと家族を天秤にかけ、虚飾を選んだのでは無いか？

事件後の彼の足取りは、それまで事件や己を隠し切っていたとは思えないくらい迂闊なものだった。自分の車を使い、クレジットの履歴も残し、宿泊したモーテルの監視カメラにもバッチリ写っていた。彼の行き先は彼が新婚の頃に住んでいた町だと思われた。これは彼の贖罪であり巡礼なのだと。道中のロクブリューヌシュルアルジャンで彼がライフルを持って姿を消したという目撃情報を受けて警察が付近一帯を捜索した。しかし彼は忽然と姿を消してしまった。彼は最初からわざと自殺志願者のように見せかけて、警察をかく乱することで逃亡する時間をたっぷりと稼いでいたのである。

こうしてナントの幸せな一家を蹂躙した殺人事件は迷宮入りとなってしまった…

怖いし気分悪いし最高にモヤるエピソードでした。

3．S2Ep2オスロの死

25年前の不審死が少しづつ紐解かれていく　

　1995年、当時のオスロの最高級ホテルに1人の女性が宿泊した。3日後、チェックイン時に彼女がクレジットカードの番号を記載してないためにスタッフが確認しに行くと突然部屋の中から銃声。驚いて警備スタッフと共に鍵を押し入ると、頭を銃で撃って死亡した女性の遺体があった。警察が彼女の死を遺族に伝えようとチェックイン時に宿泊カードに書いた住所に連絡すると、帰ってきたのは「そんな人間は住民にいない」という返事

さらに調べると彼女の身元を探ることのできるものが一切ないことが判明した。

・洋服のラベルは全て外されていた

・宿泊カードに書かれた住所、名前、電話番号、生年月日は全て架空のものだった

・当然身分証明書は持っていなかった

・指紋を世界中の警察に照合したが一致する指紋はなかった

これらの要因からこのジェニファー・フェルゲートという女性の身元は一切分からなくなった。1年間は遺体を保管していたが、新たな情報が何も無いため彼女は身元不明のまま埋葬された。

このエピソードはこの件を調査するジャーナリストが彼女の身元を探る話になるのだけどこのジャーナリストの行動力と執着が凄い！彼がこの事件を記事にし始めた96年から20年以上時々記事を書いては関係者や情報を探していたという。25年前の不審死なので目撃者も関係者も見つからないような状況の中で…

また、捜査の専門家と共に現場を再現して見たり、当時はDNA検査技術が無かったため、彼女を現代医学的に調査してみようということに、しかし採取された血液は廃棄され、遺体も墓の中…ならば

…25年前の遺体を掘り返して調査！

ものすごいコストを払って得られたものは彼女が1971年生でおそらくヨーロッパ人だということ。それは対価に見合った新事実ですかねえ！！？？

ちなみに元秘密工作員の男性によると、「服からラベルを除く」「身元を明かさないままチェックインする」などの理由から彼女は工作員、もしくは工作員としての訓練を受けた人物であるとのこと。うん、そうだね、ビックリだね。

不思議な事件ではあるけれど、それを追って、やれることは全部やろうとする追求者たちの執念を感じましたね。彼らの行為が報われますように。

4．終わりに

未解決ミステリー、これ以外にも同時多発UFO目撃事件や、失踪した家族、脱獄した死刑囚、など未解決でモヤモヤしたり事件の外の部分でで腹立たしい思いをするような話（13分の）など2シーズン全12話にわたって配信されているため、休日を丸一日潰すには相応しく、いやーな後の引き方をするので今紹介した3編以外もオススメです。なお、全て未解決なので絶対にスッキリしません。ご注意を。