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麒麟が来るを見て久しぶりにモノノ怪を見たらやっぱり面白かった話

※ただの感想日記な上にとっ散らかったので年末のお焚き上げです

麒麟が来るにて放映されたエピソードで「蘭奢待」が出てきました。

蘭奢待とは東大寺の宝物殿に保管されているとてもとても格調高い香木です。長い年月を経て樹液が香りを発するようになるいわゆる沈香の中でも歴史があり、最大のものである蘭奢待は時代時代で国の覇権を得た人物によって一部を切り取られ、所有されてきました。「麒麟が来る」で染谷将太演じる織田信長も浅井家朝倉家を制して蘭奢待の一部を切り取って自分の立場を自他ともに再認識したということです。

その蘭奢待で思い出したのが2007年にノイタミナ枠で放映された「モノノ怪」シリーズの1エピソード「鵺」。そも、モノノ怪シリーズとはかつて「怪談」として3エピソードが3話ずつ放映された中で最も人気が高かったエピソード「化猫」から派生したシリーズです。怪談と呼ぶにはキャラの造形や設定が非常に洗練されていて異色を放っていました。主人公である薬売り(cv櫻井孝宏)が妖怪の出現した場所に現れ、妖怪の「かたち」「まこと」「ことわり」を知って初めて抜ける妖刀を武器に妖怪を退治するというのが基本的なストーリー。よって、バッサバッサと妖怪を切り刻む話ではなく、どちらかというとたった一つの真実見抜くミステリちっくな話運びになるのです。

してこの「鵺」ですがあらすじはこう。

聞香の流派「笛小路流」の伝承者である瑠璃姫が流派を存続、再興せんと婿を募集したところ、複数の婿候補が募ってきてしまったため彼らを「組香」で決すこととした。集まったのは廻船問屋の半井、御所に勤める東侍の室町、公家の大澤盧房、そして薬売り(cv櫻井孝宏)。本来の婿候補である実尊寺が現れなかったために4人で行う組香の数合わせに薬売り(cv櫻井孝宏)も加えて婿決めの組香が行われる。組香が一通り終わり、ついに婿が決まるという前の休憩時間中になんと惨殺された実尊寺と瑠璃姫が発見される。実尊寺を殺したのは?瑠璃姫を殺したのは?彼らはいつ殺されたのか?笛小路家に隠される秘宝「東大寺」とは?果たしてこれらはモノノ怪の仕業なのか?

あーーーー今見てもめっちゃ面白い、まあこの「鵺」だけでなく全部面白いのですが。

一二を争うくらいに好きなのがこの「鵺」です。(同率で「のっぺらぼう」)

見る人によって姿を変える「鵺」が崩れかけたお屋敷に住み着いて人をおびき寄せて憑り殺し、死んだことに気付いていない死者が夜な夜な終わりなき組香を繰り返しているという、このモノノ怪シリーズの中では比較的怪談要素が強い本編。

鵺の見た目は終盤に出てくるワールドヒーローズのマッドマンかハイプリエステスのような仮面の怪物ですが、正体は己の自己承認欲求を高めるために「欄奈待」(蘭奢待がモチーフ)を騙って欲に塗れた人々をおびき寄せて殺す「ただの」香木です。しかし見る場所見る人によって姿を変えるため、ある者には童に、ある者には世話役の老婆に、ある者には仔犬に、そして瑠璃姫に…。

なお、作中で「東大寺」と呼ばれているのはこの「欄奈待」もモチーフになった蘭奢待も文字の中に「東大寺」が含まれているため、通り名としてそう呼ばれるからだそうです。


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