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石神井公園池で釣りをした思い出

(写真はお借りしました)

実家は石神井公園から自転車で10分くらい離れたところにある。およそ20年前、小学生の頃は時間の使い方が不思議で、放課後15時から石神井公園に集まって暗くなるまで2時間だけ釣りをするなんて素っ頓狂な真似もできた。誰が言い出したか思い出せないが、1990年代の末期にも関わらず今思えば昭和の子供みたいな遊びしてたなと思う。

釣りと言っても近くの釣り道具屋(?駄菓子も売っていたから何屋だったのかは無くなった今となってはわからない)で1mくらいの細い棒の先に2m程の釣り糸が巻き付けられ、ウキと釣り針が先端に付いている出来合いの釣竿を500円くらいで購入。餌は練り餌かアカムシの2種類。小学5年生とはいえ虫嫌いだった自分も友人もアカムシという選択肢を真っ先に除去。パックに入った練り餌を購入し、石神井公園池の縁で釣りがスタート。

練り餌はボソボソして何が入ってるのかよくわからなくて臭い。その謎の乾燥したペースト状の何かを指で摘んでこねると指の湿気か脂がまとわりついて固くなる。それを球状に整えて釣竿の針の先に刺すと完成。練り餌の大きさにはこだわりがあり、小さすぎると水に沈めても溶けて無くなってしまう。逆に大きすぎても釣り針の支持に耐えられず落ちてしまう。何度か上げ下げしても無くならない小指の先くらいのサイズを見つけ出すのに最初は苦労した。また、こねくり回した指に臭いが付くのが嫌だったがそれでもアカムシよりはマシ。

練り餌のついた釣り針を垂らし、じっとウキを見つめているとやがてウキが不自然に上下し始める。そうなると魚が食いついた証拠。タイミングも何もわからない素人なのでウキが沈んだと見るとすぐに釣竿を持ち上げる。

大抵は気のせいだったり波立った池の表面の動きにウキが飲まれただけだったり、池底やゴミに引っかかってるだけで針ごと持っていかれたりとロクな結果は得られない。それでもたまに魚が食いついて釣れる時があり、そういう時は友人たちと皆一様に喜びを分かち合った。釣り堀では無く、なおかつ小学生の集まりなので2時間粘っても2〜3匹しか釣れなかったと思う。それでも夢中になっていた時期は当時すでに実家にあったニンテンドウ64もゲームボーイのことも忘れてほぼ毎日釣りに出かけていた気がする。

1カ月くらいは平日も土日も釣りに出張っていた時期があったと思うが、日が落ちて寒くなったからかいつの間にか行かなくなり、実家の自転車置き場に立てかけてあった釣竿も気がついたら捨てられていた。夢中だった時期は本当に一瞬だったんだと思う。翌年は受験や何やらで忙しく、行く機会は無かった。

もう練り餌の臭いがどんなだったのかも何という名前の友達と一緒に遊んだのかも覚えていないし大人になってからも釣りに行った経験などほぼ無いに等しい。「釣り」と聞くと石神井公園で釣りをした小学生の思い出が急に蘇るが鮮明なところは思い出せないので走馬灯の様に一瞬で消えていく。

自分語りでした。

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