見出し画像

トムとジェリー、大学図書館をゆく

いろいろ書物を借り出してはスキャンしています。アメリカの義姪から「それって著作権侵害じゃない?」と先日訊かれてしまいました。いいのいいの私はもともと書物を買い集める趣味はないし整理整頓が苦手だから本などというかさばる物体を金を出して揃えるなぞ粗大ごみをわざわざ銭を出して増やすのと同じ。文献なんて読めればいいと割り切っている。

iPadにどんどん放り込んでいく。何千冊ぶん入れようが重さは変わらない。持ち運びのできる書庫。何といっても後片付けの手間が完全に省けるのがよろしい。さらにはどのページにも好きなだけ書き込みできてしまう。難をいえばしおりにあたる機能が見当たらないことでしょうか。

大学図書館にこのところ通っていて、理工系図書が多いことも関係してか小説『薔薇の名前』のなかにある(あると思う)「本はたがいに会話している」ということばが脳裏をよぎりますね。私はiPadを使って、あの膨大な本のほんの一部でしかないけれど異なる本どうしをクロスレファレンスしているわけです。今検索してみましたが cross reference は「同一の書物や帳簿の中で、相互に関連する項目のどちらを引いても検索参照できるようになっていること」と定義されていました。「同一の」書物や帳簿についての行為のことであると。私はとうの昔にこの「同一の」枠を超えていることになります。

これは自分が上ってきた階段を自分自身でぶち壊してしまう怖さも伴います。ある素朴な閃きや、疑問ひとつで、すでに理解したと思っていたものが根こそぎ問い直されてしまうのですクロスレファレンス的に。ある本のなかに留まらず、あの膨大な書棚がドミノ倒しで崩壊していくように…と形容したら大げさでしょうか。ああいいなこの比喩、大友なにがしのまんが絵のようだわ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?