見出し画像

量子力学の、一年生カリキュラム

先日ツイッターで、どこかの大学の新四年生さんが「量子力学の初級コースをもし自分が受け持つならこんなカリキュラムでやりたい」と綴っていました。

来年、大学院入試を受けて、学びを続ける予定だそうです。

彼による、新一年生向けの講義予定表、なかなか興味深いものでした。ごくオーソドックスなものだったからです。おそらくご本人も、だいたいこんな風に習ってきたのだろうと思わせる、そういう並びでした。

私は私で、前から同じようなことを、ひとり空想していました。

もし私が相対論を、量子力学を、確率論を、ほか何でもいいけれどとにかく新一年生のために講義するとしたら、どんな風に教えていくだろうと。

前にこんなのを書きました。いわゆるフーリエ級数について。

どんな複雑怪奇な波形も、必ず周期波の組み合わせに分解できるという理論ですが、私はこれの証明を、さんすうで行いました。

いわゆる「二進法」の原理を使えば、後は連立方程式に帰着するのです。

この証明法は、私のオリジナルです。とある本にあった、直観的かつ正確な証明法に感銘を受けて、自分ならもっと簡明に同じことが語れる!と思って語ってみたものです。

ここからが本日の本題です。この世のあらゆるものを、二進法は著述できます。コンピュータという閉じた宇宙は、まさにこの二進法で回っているのですし。ということは、二進法とそのまま対応関係にあるところの、波の組み合わせによっても、この世のすべては記述できるわけです。

古典物理学では、波で語られるものと、粒で語られるものの二つがあります。電磁波とか重力波とかの、いわゆる遠隔作用を司るもの(「場」といいます)は波で記述され、電子とか気体分子とかは粒として記述されます。アナログ波とデジタル値が共存している、そんな世界です。

しかし20世紀に入るとともに、こうした「波うつ場」と「飛びかう粒子」の二つで考える姿勢が揺らいでいきました。アインシュタインが1905年に、こんな大胆なことを言い出したのです。「光は粒子であると同時に波でもある」 この論文を読んで、奴は気が狂ったのだと言う方までいたそうです。

その後、この前代未聞の仮説は、実験で確認され、彼はノーベル賞を授けられました。よく誤解されるのですが相対論ではなく、この「光量子説」で授与されたのです。そのくらい提唱当初は大胆、無鉄砲、前衛の極みだったことがうかがえます。

粒子であり、波でもある… この不思議な現象は、二進法を波の組み合わせで表現するアイディアに、そのまま重なってきます。

大学に進むと、数学が「線形代数」と「微積分」の二本柱で編成されていることに気づくと思いますが、これはまさに「粒子」と「波」の関係に対応していると知ったら、面白がっていただけるかと思います。


…こんな風に、講義の第一回を始めてみたいですね。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?