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今(2023年)の中1は、どんな英語を習っているのか?

コロナ禍で日本中がパニックになっていた頃、小学校と中学校では、ひたひたと改革が進められていました。

2020年4月より、英語の授業が小5スタートになって、

2021年4月より、中1からの英語の授業が、全面改訂されたのです。

どんな風に変わったと思います?

想像がつくと思いますが、皆さんのほとんどは中1から英語の授業が始まっています。小5から学校で習ったという若い方もいらっしゃるでしょうが、それは授業ではなく「言語活動」です。授業ですと成績が付けられるのですが、あくまで活動なので優劣は付けられないできました。

今は違います。小3より「言語活動」の体裁で、英語のミニゲームをやらされて、小5より正規授業つまり成績がつくようになって、そして中1になだれ込むと、そういう仕組みになっています。

そういうわけで、今の中学校の英語教科書を閲覧すると、びっくりすると思います。地元の図書館にいけば、その土地の公立小学校と中学校の教科書が、誰でも目を通せるように棚に置いてあるので、手に取ってみてください。

私の暮らしている街の学校では、英語については小学校も中学校も同じ出版社からのものです。『New Horizon』(東京書籍)ですね。それに準じてここではこの教科書を取り上げて見ていきましょう。

ざっと目を通してみて、とても驚きました。第一に、英文がかなりこなれたものになっています。

私は各社の英語教科書を、昭和どころか明治までさかのぼって目を通してきました。平成に入って中学英語教科書が、どんどんおかしな英文まみれになっていく様に、なんともいえない気分になったことがあります。

しかし2021年度に改訂された、現行のものは、世代の断絶といっていいくらい、英文が改まっています。

このことを手放しで褒めたたえていいのだろうか…私の心は葛藤します。というのは、小5~小6の英語教科書については、見るも無残な英文でいっぱいだからです。

後の機会にそれについてはお話します。とにかく小5~小6については、いわゆる「日本人の英語」でいっぱいなのに、中1になるとそれがかなり改まっていることに、今更ながら驚き、そして戸惑うのです。

『New Horizon』中1編の、最初の本テキストを見てみましょう。

実際はカラー印刷です

これに私はがーんときました。「ごく普通の英語じゃん」と思われるでしょうが、私ががーんときたのはそのことではなくて、ごく普通の英語で始まることにがーんときたのです。

I like Japanese food. I love sushi.
I often drink green tea, too.

じっと見てみて、何か気づきませんか? 

「一般動詞」がいきなり使われているのです。

皆さんが学校で英語を習いだしたとき、習ったフレーズを思い出してみてください。「ハウディードゥ?」とか「ハロー」とか「アイ・アム・エマ」とかだったと思います。

ところが今の中1英語では、いきなり「アイ・ラヴ・スシ」とか「アイ・ライク・ジャパニーズ・フード」とか、つまり「love」とか「like」とかの動詞が、堂々と使われているのです。

これ、すごいなあと思います。

すでに小学校で Be動詞("I am Emma,")も一般動詞("I love sushi.")もなじんでいるので、昔みたいに「ディス・イズ・ジャパン」とか「ザット・イズ・トーキョー」とか、おそるおそる Be動詞に慣れさせていくという手順を、省いてしまっているのです。

その一方で、やはり微妙なぎこちなさは消せないでいますね。中学の3年間で慣れさせる英単語の数(というか語彙数)について、文部科学省から厳しい制限がかかっているのがわかります。一番易しい、同時に一番よく使う英単語を、とにかくこの女の子に💭の体裁で喋らせているのです。


続く


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