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笑うには悲しすぎる

昨夜、本をスキャンしていました。数年前にAMAZONで購入した、安物のデジカメ式スキャンを使っています。

そのうち本格的なのを買って、文字もすべてOCR読み取りして、検索可能なデータとして収集したいと思っていますがお金を使うことに妙な罪悪感を抱える性格なので買わないまま、今のものを使っています。

それはいいとして、スキャン作業ってけっこう退屈です。画像映りをチェックしながらも、手作業はごくルーティーンだから、精神的にけっこう辛い。それでイヤホンで、昔のお笑い番組を聴きながら作業しています。

定番ものです。ビートたけしの若い頃の番組が、YouTubeにいっぱいあるのでそれを順に聴いています。

「北野ファンクラブ」という深夜番組が平成頭にあったようですね。1991年2月14日から1996年3月23日まで、とデータにはあります。

かなり前からこれのアップ動画、たまに視聴してきました。

昨日も、くだんの作業を続けながらいくつかイヤホンで聴いていました。

私の中で不快さのほうが、笑いを上回ってきているのを感じます。


黒澤明監督の希望で、御殿場の彼の別荘に招かれて、NHK衛星用の対談を収録したときのお話は、これまで何度も楽しませていただきましたが、今回聞くと、ひとの悪口をどうしてこうテレビで公然と語れるのだろうこのひとはと少しばかり眉をひそめている自分がいるのに気づきました。

それからオリンピック誘致についても、時代を感じる笑いでした。「オリンピックを自分とこの国に招くと、何兆円も入ってくるんだよな。すると中国でやったりしたら、今後5000年は働かなくて遊べるよな、あそこの物価ああいう風だし」

西暦2000年に北京オリンピックを!と運動していた頃のかな。すると1993年ぐらいでしょうかこの放送は。

図体のでかい後進国として、中国を語っていますたけちゃん。

ほかにもひとの悪口というか、毒舌と本音トークさく裂。深夜番組なんだから別にいいじゃないかな企画で、ときおりピーッの音が入るメタな仕掛けが当時うけたんだろうなって感じる。


ずっと後の2008年になって、ある歌手(女性)が「羊水って35歳になると腐っちゃうんだって」とラジオで発言して、これで叩かれたことがあります。


YouTubeはこの頃もうあったのかな? ツイッターは稼働していなかったと思います。(今検索したら2005年からですねようつべ。つぶやき網は2006年からで、日本で広まったのは2008年よりもう少し後になってからだったような)

当時ある著名小説家が「たけしが昔、深夜番組で『ババア死ね』とか『こーまん』とか連呼していたときは誰も何もいわなかったのに、今は駄目なのかよ」と。

この羊水発言は、個人でのファイル共有ソフト(YouTubeではなく)を介して広く知られたと理解しています。

やがて YouTube がそういうものに取って代わって、深夜だから解放区なんだという考え方を過去のものとする装置として働いたのです。


北野ファンクラブの動画に笑えなくなっている今の自分を、告白いたします。

今の彼はどう思うのかな。


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