変人

 大学で卒論の中間発表をした。他の同期は、新鮮な質問が学生や教授達から投げかけられ、それに対する応答もどれも新鮮なものだった。
 そしてルーレットで負け続きな僕の出番は最後だった。

 僕は教育現場や家庭内で、非常に抽象的な言語や概念が乱用されていて、それらの言語に使用の限界の線引きを引くのが本研究の目的であると言った。
 好きな教授は僕の発表を終始笑顔で笑いながら愉快に聴いてくれた。僕は十分だった。
 
 でも、誰も何も質問してくれなかった。

 これに傷ついた僕について僕は深く考えなくてはいけない気がする。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?