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なりたいもの

日差しの強い8月のある日、風が急に吹いてきて被っていた日傘が飛んでいってしまった。その日傘を目で追うと後ろを歩いていた男性が日傘を捕まえてくれた。思わず「すごい!」というと「なんかヒーローになった気分です」と照れながら応えたてくれた。もしかしたらこの男性は密かにヒーローになりたいかったのかもしれない。そう思ったらなりたかったものになれた瞬間に立ち会えたことが嬉しく感じた。

その瞬間、私がなりたいものってなんだっけ。と思い返し始めた。小さい頃なりたかったのは保育士。今、そのなりたかったものになれている。しかし満足しているかと言われたらそうではない。大人になってから興味を持ったのは服に携わること。高校生の頃に服作りを学んでからその気持ちは消えることなく今でもずっと服飾の道にどうにか進めないかと考えている。お金や学歴など現実問題、難しいこともわかっている。でもいざ経験できない年や時期が来た時に後悔することになるってこともわかっている。安定した刺激のない1年かどうなるかわからない刺激的な明日か、これは天秤にかけることではないと自分でもわかっている。

ただいつかくると思っているその時を待っているだけではダメで、若いという特権がある今だからこそ目の前にあるものを自分で掴みに行かないと。あの日、私の日傘を偶然捕まえてくれた男性のように能動的に。

スタートラインは自分で引くもの。

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