まきもの

ザーザーと真っ黒いフライパンの上で流れる小さな種たち。少しずつ熱を帯びていくフライパン。あまりに熱いものだからポンっと脱出を試みる。が抜け出せない。いつの間にか閉ざされている天井。同志達もポンっポンっと力を合わせ脱出を試みるが、天井は一向に開く気配がない。
声を揃え拡声器で放つ「本音」、届く耳には「建前」と。
心を無にし溢れる屈託のない「笑顔」は「嘲笑」に。
助けたいという善意100%搾りたての「アドバイス」は「上から目線」に。

そっちがその気ならこっちも考えがある。
幾千の窓を閉め、鍵をかけよう。栄養満点彩満載のお弁当を作り、雨降る中和紙の傘を差しながらピクニック。丘の上から見える景色はさぞ美しかろう。見上げるものは澄み渡った天井のみ。下に広がる数多の小さき家たちを数えている暇なんて私にはない。頭上に広がる無限とも思える星々を繋げるのには邪魔だ。

時間を作って映画を観よう。私の大好きな、殺し屋と少女の物語。キャラメル派だが、偶には塩もいい。
私の中で静かに、だが確かに燃える青い炎で爆ける僕らは一体何味だろうか。
さあ、上映時間が迫る。

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