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高血圧

7月に入り、大雨が降ったかと思えば暑い日が続いております。
みなさんは、夏バテなんかしてませんか?

高血圧症とは

高血圧症は、血圧が高すぎる状態が続く病気です。血圧とは、心臓から送り出された血液が動脈の血管壁の内側を押す力です。
高血圧症をそのままにしていると、心筋梗塞や脳卒中、腎臓病といった重大な病気を招きます。しかし、高血圧という状態だけでは自覚症状に乏しく、イライラ、ほてりなどが感じられますが、一般に、病気であると認識することがなかなかできません。
高血圧症が「サイレント・キラー(沈黙の殺し屋)」と呼ばれる所以です。
ただし、ほとんどの高血圧症は、生活習慣を見直すことで改善できます。
日本では、今4300万人の方が高血圧であると言われています。
その内、3100万人ぐらいの方が血圧コントロールができていません。
つまりちゃんとした血圧の目標値に入ってないということです。
 

高血圧症とはどんな病気?

高血圧症とは、医療機関で計測したときに、上の血圧が140mmHg以上、下の血圧が90mmHg以上になる病気です(mmHgは、日本語では「ミリメートル水銀柱」〔または「水銀柱ミリメートル」〕と読みます)。
 
血管がしなやかで柔軟なときは、血圧は上下とも基準値以下に収まりますが、動脈硬化などで血行が悪くなると、それをカバーしようと、心臓が血液を、よりたくさん強い力で全身に送ろうとするため、血圧が上がります。こうしたことが常態となったのが高血圧症です。
なお、「血圧が140mmHgの値である」というのは、水銀柱を140ミリメートル(14センチメートル)押し上げる力が血管にかかっている、ということです。水銀の重さは水の13.6倍なので、水なら約1.9メートル押し上げることになります。それだけの強い力が血管にかかっているのです。全身のすべての血管に血液の圧力がかかっていますが、通常、血圧と言えば上腕の動脈の圧力を意味し、上腕で測定します。

「上の血圧」「下の血圧」とは何か

「上の血圧」とは、心臓が収縮し、その力で血液が全身に送り出されるとき、動脈の血管壁の内側にかかる血液の圧力です。収縮期血圧とも呼ばれます。この収縮期、血圧は最も高くなります。
一方、「下の血圧」とは、逆に心臓が拡張したときの、動脈の血管壁の内側にかかる圧力です。拡張期血圧とも呼ばれます。拡張期は最も血圧が下がります。
下の血圧が示す危険信号
動脈硬化によって細い動脈(末梢の血管)が硬くなったり詰まったりすると、下の血圧が上がります。

高血圧を改善するメリット

健康日本21というデータで
上の血圧が約4mmHg下がると脳卒中で亡くなる方が年1万人、
狭心症心筋梗塞で亡くなる方は年5000人減るということがわかっています。
平均4mmhg下がるというのは、例えば上の血圧144mmhgの人が140mmhgになるということです。

高血圧症から起こる合併症

高血圧症からは、以下のような、さまざまな重大な合併症が起こります。どれも動脈硬化が原因です。

動脈硬化

常に血圧の高い、張りつめた状態に置かれると、そのストレスから、動脈は次第に厚く、硬くなり、血管の内径が狭くなります。その結果、血液が流れにくくなり、全身の細胞に充分な酸素や栄養分が送れなくなります。こうして、さまざまな臓器に合併症を起こしてしまうのです。

狭心症・心筋梗塞

心臓の冠動脈(心筋に酸素や栄養分を送る血管)が、狭くなったり(狭心症)、詰まったり(心筋梗塞)して、胸に痛みや圧迫感を覚えます。
脳卒中(脳出血・脳梗塞・くも膜下出血)
脳の血管から出血したり(脳出血)、血管が詰まったり(脳梗塞)、脳をおおう膜の下部で出血したり(くも膜下出血)します。

大動脈瘤

心臓から血液を送り出す太い動脈(大動脈)に、コレステロールなどが溜まったコブができます。コブが破裂すると大出血し、命にかかわります。
腎硬化症、慢性腎臓病
硬くなって縮んだり(腎硬化症)、尿にタンパク質が出続けるようになったり(慢性腎臓病)して、腎臓の代謝機能が低下します。これらが進むと、腎臓が機能しなくなる腎不全に陥ります。

心不全

高い血圧にうち勝とうと無理をすることで心臓が肥大し、機能不全を起こします。

眼底出血

眼の奥の毛細血管が詰まり、出血します。失明に繋がる恐れがあります。
 

遺伝的な要因

高血圧症には、遺伝的な側面があります。例えば、両親ともに高血圧症である子どもは約50%が、両親のどちらかが高血圧症の場合は約30%が高血圧症になる、という報告があります。ただし、遺伝と言っても、高血圧の遺伝子があるのではなく、体質が遺伝するようです。また、食習慣のような生活習慣が親子で似ていることも影響すると言われています。

 

 原因から見た高血圧症のタイプ


原因の観点から高血圧症を分類すると、以下の二つに分かれます。

①本態性高血圧症


遺伝的な体質と生活習慣から生じているとは思われますが、原因をこれとはっきり確定できないものです。高血圧症の約9割は、この本態性高血圧症です。
高血圧症治療薬もこの為沢山あり、薬を選択する上で、内科医の先生の腕の見せ所です。

②二次性高血圧症


血圧上昇の原因となる病気が、はっきりしているものです。原因として最も多いのが腎臓の病気(腎性高血圧)、次いでホルモンの異常(内分泌性高血圧)です。服用している薬が高血圧を誘発しているケースも、高齢者などによく見られます。血圧を上げる薬としては、甘草[かんぞう]の成分を含む漢方薬や、ステロイド、非ステロイド消炎鎮痛剤などが知られています。
改善対策10か条
高血圧症の改善対策は、生活習慣の見直しに尽きます。以下に、10の対策を示します。
①塩分は控えめにしよう
1日の摂取量は6グラム未満を目標にしましょう。
②野菜や果物を豊富にとろう
③コレステロールや飽和脂肪酸を摂り過ぎないようにしよう
④お酒を飲み過ぎないようにしよう
⑤タバコはやめよう
⑥適度な運動をしよう
⑦肥満を解消しよう
⑧ストレスを溜めず、充分な睡眠をとろう
⑨急激な温度差に気をつけよう
⑩便秘にならないようにしよう
また、喜怒哀楽があるのが、人生の醍醐味ですが、難しい事ですが、歳を取ったらなるべく通常は、穏やかな気持ちで過ごす事も、大事です。

【高血圧の治療薬について】


1.カルシウム拮抗薬
動脈の血管壁にカルシウムイオンが多く流れ込んでしまうと、血管が収縮してしまうため、高血圧を招きやすくなります。そうした働きを抑える作用を持つ。
アダラート、アムロジピン、ノルバスク、など
カルシウム拮抗薬は、国内で最も多く使われている降圧剤とも言われている。

2.ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)
血圧が上がってしまう理由の1つに、血圧を上昇させるホルモン「アンジオテンシン」の影響があります。アンジオテンシンの産生を抑える。
レニベース、タナトリルなど。
副作用として空咳です。
古くから使われていることから、処方されやすい降圧剤の1つです。高齢者に向けて誤嚥予防の目的で処方されるケースもあります。
 
3.ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)
血圧を上げるホルモン「アンジオテンシン」の作用を邪魔することで血圧を下げる作用を持つ薬です。
ミカルディス、アジルバ、ニューロタン、オルメテックなど。
比較的副作用の少ないところです。
ミカルディスの場合、薬価は105.20円とやや高い。一日1回の服用。

4.利尿剤
利尿剤は、腎臓に働きかけて水分の排泄を促すことで血圧を下げる作用を持つ薬です。
アルダクトン、ラシックスなど。
利尿剤も、古くから治療に使われているもので、高血圧だけでなく、むくみなどの症状にも使われます。夜の服用は睡眠の妨げになるため、朝に服用する。

5.α1(アルファワン)遮断薬
自律神経に作用し、α1(アルファワン)受容体を遮断して血管の収縮を抑えることで血圧を下げてくれる。
代表的なものとして、カルデナリン、バソメットなどがあります。
腎障害の合併症を持つ患者さんであっても、使用できる。

6.β(ベータ)遮断薬
自律神経に働きかけてβ(ベータ)受容体を遮断して血管の収縮を防ぐ作用を持つ薬です。
主な製品として、テノーミンや、メインテートなどがあります。
頻脈、虚血性心疾患の合併症がある人も服用できるのが特徴的です。

7.中枢性交感神経抑制薬
自律神経に作用し、末梢血管の収縮を抑制する降圧剤があります。上述したような降圧剤が使用できない場合や、いくつかの降圧剤を併用しても血圧のコントロールができない場合に選択されています。
カタプレス、ワイテンス、アルドメットなど。
アルドメットは妊娠高血圧に使用されており、妊娠中でも服用できるという特徴があります。
降圧剤服用にあたって
降圧薬は一生飲み続けなければいけないもの?
「降圧薬を始めたら、一生やめられないと聞いたので飲みたくないです」というお話をよくいただきます。
それは誤解であり、高血圧の原因となっている生活習慣を修正することにより、お薬をやめることは可能です。
むしろ、お薬の開始を先延ばしして、血管の状態を悪くしてしまうと、薬に頼らざるをえなくなってしまいます。早めにお薬を開始して、安全かつ動脈硬化を進行させない血圧に調節しておきつつ、減量、運動、減塩などの対策を行えば、お薬を減量したり、やめたりすることが出来るようになります。

中野さんの解説を動画で↓(コンブリオTV)


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