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【意訳】リュック・タイマンスのStill Life(2002)

クリップソース: Still Life, 2002 – Palazzo Grassi

※英語の勉強のためにざっくりと翻訳された文章であり、誤訳や誤解が含まれている可能性が高い旨をご留意ください。
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Still Life, 2002

スティル・ライフ(静物画)はリュック・タイマンスの絵画の中で最も象徴的だが、とても身近なモチーフを扱っている。フルーツ、澄んだ水の入った瓶、背景がセザンヌの水彩画風に描かれた静物画である。
この作品が最初に展示されたのはカッセルで開催されたドクメンタ11(2002)で、そこには9/11に起きた悲劇を扱う作品が数多く展示された。
リュック・タイマンスの作品も大きな期待を集めたが、アートは現実を説明的に描くのではなく、現実をパースペクティブ(視点/ 絵画空間)の中に収めるものだと示すため、彼はそのテーマを踏み外した。

この作品は事件そのものに応答してはいないが、鑑賞者を審問的、神秘的、警戒的な態度へと変える。つまり作品のモチーフよりも、その扱い方こそが重要なのだ。かなり拡大して描かれた静物はほぼ見えない水平線の上に配置され、画面中央に浮かんでいるようだ。
その大きさはアメリカの都市、非現実、あるいはテロ行為の途方もなく大きな罪を表しているのだろうか?

フルーツは非写実的な描写でありながら、時間、空間、空気、空白、気配の奥からゆっくりと実体が現れてきたかのような存在感を帯びている。
爆発し崩れ落ちた2つのビルや、瓦礫の下に埋もれた遺体を見せることは重要ではない。この大惨事が起き、粉塵の雲が収まったあと、良し悪しの範疇を超えて残ったものが重要なのだ。

それは自然や人間の、何が起きても前進を続ける決意だ。再成長、内省、フルーツと水、物質と色、生まれ変わろうとする生命の密度。
静物(Still Life)はまた、そこでまだ生きている(Still, Life)ことも意味する。ならばこの絵画では、諸行無常が反転している。生命の儚さや脆弱さではなく、その抵抗力、回復力が示されているのだ。
ここに描かれているのは、人類の狂気に直面した人々に施された最初の食事なのかも知れない。

Still Life, 2002  oil on canvas  347,8 × 502,5 cm  Pinault Collection
Installation View at Palazzo Grassi, 2019 © Palazzo Grassi, Photography by Delfino Sisto Legnani e Marco Cappelletti.


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