100回見た<4/20以降発送>

「マスクを買えていることは言わない方が良いよ。なぜならば、まだまだ買えない人がいて、その中で恨みを買えば君はきっと転売だなんだと言いがかりをつけられるかもしれないから」
とは、わたしのことを心配してくれた友だちの言葉だった。
この状況じゃそういうこともあろうな、とわたしはそれ以降は買えたというようなことを書かなくなった。

今月私の手元には使い捨てマスクが300枚ばかりやってくる。これらはどこへ行くか?医療や介護、子どもの福祉で働いている友人知人の元へ行く。
これらはどこからきたのか?すべてインターネットで55円/枚を上限に買い集めてきたものだ。もう少し高いものだと簡単に手に入る。
それでも、毎日の業務で使う人にとっては、マスク以外にもアルコール消毒やなんやら必要経費が積み重なっており、上限をつけねば金銭的な負担は天井知らずになる。
中でも時折放出されるサージカルマスクは65円/枚でも確保を頼まれる。医療現場に降りてくるはずのサージカルマスクが楽天市場では買える。なんなら50枚5000円~の値がついているものなら、容易に手に入る。しかし現場には予算がある。購入を手伝っている相手はみな、自分の財布でマスクを買っている。だから上限価格を超えるマスクは見送る。
わたしの肌感覚だけで言えば、医療にも介護にもその他福祉の場にも新しくマスクなんて全然降りてきていない。ソースを出せと言われても困る。現実マスクはインターネットを介して購入され、ネコポスで送り出されていく。
ほんの三か月前まで50枚350円で投げ売られていたマスクの姿はどこにもない。

で、どうやってマスクを手に入れているの?
マスクの販売情報を流しているアカウントをフォローする、マスクの入荷が頻繁で価格が高すぎないウェブショップの通知を片っ端から貼っていき、どのショップでも1クリックないし2クリックで購入できるようにあらかじめログインを済ませておく。時間がきたらヨーイドン。これだけだ。
これだけだ、と簡単に書いたけれども、自由度の高い在宅仕事を続けている人間だからできることであって、そこにすでに不平等が生じていることにストレスと、自分はズルをしているという根拠のない罪悪感がある。こんなことが起こるより前から在宅でしていた仕事だというのに。

最近では50円/枚のマスクを見つけると、「安いな」と感じるようになった。世界中でマスクの需要が高まり、原料が高騰してこの値段になったというマスク。これまでがきっと安すぎたのだろうとは思う。では今の本当の適正価格っていくらくらいなんだろう。

最初にマスクを集められないかと打診してきたのはエンタメ業界の仕事相手だった。エンタメなんでも屋さんをしているとこういう相談も入る。その一件目については、もともと抱えていた仕事が忙しく協力できそうにないとお断りした。
2月に入った頃、まだ中止の決まっていない各公演でマスクを客に渡さねば入れられないという事情があった。あの頃はまだコロナなんて大げさなという雰囲気もあり、一応しぶしぶポーズとしてという態度を隠さない制作さんもいた。
その後ポロポロとそういう相談が入るようになった。最初は個装のものが欲しいというオーダーは、次の連絡では何でも良いからたくさん用意して欲しいというお願いに変わった。

「マスクは以前よりも手に入りやすくなった」
「ドラッグストアが朝一番で販売するのをやめて仕事帰りに買えた」
最近はそんな声がTLに散見されるようになった。でも今一番激務である医療や、感染に敏感でいねばならない介護や福祉の現場にはマスクは届いていない。

ところで、お前んちのマスクはどうしてるの?と疑問については、うちでは洗い替えのできるウレタンマスクを使っている。親子そろっての花粉症でも息のしやすいマスクを探して買ったピッタマスクと、2月の段階でいろんな雲行きがおかしいぞと感じたときに買った黒やグレーのウレタンマスク。3回が上限と言われているウレタンマスクの手洗い回数をなるべく優しく洗うことで10回まで延命する。延命できているのかは分からない。このウレタンマスクが感染を防ぐのかもわからない。ただ薄い色のウレタンはすぐに黄変するから、なるべく色の濃いものを選んだ方が良い。

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この記事は、少し前に書いたまま放置していたのだけど、マスク販売情報を提供した医療の人のご家族のnoteで、この手のマスクが闇マスクという呼ばれており、こうなるともうわたしは闇マスク商人(ギャラは楽天ポイントです)やなと面白くなってきて公開したんですけど、本物の闇マスク街角で50枚1万円らしいので本物には勝てねえなって思った。


2020年の冬の生ハムを買います。