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【韓国論文】食べ物に関する語彙を食文化と一緒に覚えるには

1.おいしい韓国料理

ひとことに韓国料理と言っても、様々な料理があります。
焼いたり煮たり巻いたり、調理法も多様で、韓国料理に欠かせないキムチも数えきれないほどの種類があります。
この料理や食べ物に関した言葉は、韓国語学習者にとって覚えるのが大変なくらい膨大な数です。
今回は、このような語彙をどのように覚えたら効率的なのかを研究した論文を共有します。

ムン・クムヒョン(2012)「食べ物の語彙の分類基準を活用した韓国語の食べ物語彙教育」


2.カテゴリー分けして整理

この論文は、韓国語教育に合わせて韓国の食べ物に関する語彙の回分類基準を再確立し、語彙教育や文化教育に活用する方法を研究することが目的です。

体系的な基準で単語ごとに関連させて学習すれば、効果的に語彙を学べることが期待できます。
そのため、論文ではまず食べ物の名前を「食事」「おやつ」「デザート」に分けた後、「食事」に分類された単語をさらに「主食」「汁物」「おかず」に分けて、さらに「ごはん」の単語を「ごはん」「おかゆ」「麵」に分けるというようにして、各単語を整理しました。
この方法は、その食べ物の料理法を説明する時にも役立つ資料になります。

このように分けて整理した基準をもとにして、具体的な学習内容を次のように作りました。

➀韓国人の食事に関する学習内容
②食べ物の形の特徴によった学習内容
③食べ物の材料による学習内容
④料理の方法による学習内容
⑤食べ物の特徴や味による学習内容
⑥コンピューター検索プログラムを活用した学習内容

p.13-19


次に論文は、これに対する学習方法を韓国語のレベル別に示しました。
初級では、難易度が低く、日常でよく使う単語を中心に学び、中級、上級に行くほど難易度が高くなり、日常であまり使わない単語を学ぶようになります。

初級では、ビビンバやキムチなど学習者がよく知っている食べ物を例に図や写真を活用して、食べ物の名前や味などの表現を学習していきます。
中級になると、より詳しく食べ物の味や特徴を説明する練習をします。
例えば、同じ「汁物」に分類される「국」「탕」「 찌개」「전골」の違いを理解できるように説明することが必要です。
上級では、계란말이などのより複雑な構造をした料理の名前や特別な日に食べる잔치국수などを通して、これまでより深く学んでいくことを目標にしています。
また、郷土料理や伝統的料理を通じて韓国の食文化についても詳しく学習します。

実際に韓国語能力試験(TOPIK)にはどの程度、韓国の食べ物に関した問題が出題されているのでしょうか。
論文では、第7回から第22回までの過去問題を調査した結果、直接食べ物の単語を扱った問題は1問のみであったが、問題文や例示で食べ物に関する単語が登場する傾向が見られました。
ほかには、一般的な食べ物の例として김치や떡が登場し、食事に関する語彙よりもデザートに関する語彙が多く登場することが分かりました。

論文では最後に、結婚などで韓国に来て家庭を築いている女性の学習者のための食べ物や料理に関する語彙を教える学習計画を詳しく研究するという方向性を示しました。


3.文化的理解に役立つ資料になる

このような食べ物に関する言葉は、文化的要素が強く反映されているため日本語と対訳で理解するには限界があります。
たとえば、「 찌개」と「전골」は日本でいう鍋物としてひとくくりにできそうに見えます。
このように、さらっと対訳や完成写真を見ただけではピンと来づらいでしょう。
カテゴリー別に似ているものや異なるものを分類するのは、それぞれの食べ物の食事の立ち位置を把握でき、いくつかの語彙をまとめて覚えられるので、効率的に早く学習できることが期待できます。
しかし、韓国料理や関連する語彙は、韓国の生活に密着しています。
写真を見るよりも、実際に韓国人と食事したり自分でレシピ通りに作ってみながら、一緒に関連した語彙に触れるのが一番理想的です。
論文で提示された資料は、このような実際に体験しながらの学習の補助として活用できると、学習者のカルチャーショックや拒否感を減らしてあげられて、学習者の肯定的な学習の手助けになるのではないでしょうか。


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論文

ムン・クムヒョン(2012)「食べ物の語彙の分類基準を活用した韓国語の食べ物語彙教育」、『新しい国語教育』no91、韓国国語教育学会、pp.41-78
문금현(2012)「음식어휘장의 분류 기준을 활용한 한국어 음식 어휘 교육」 『새국어교육 』no.91, 한국국어교육학회, pp. 41-78


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