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【韓国論文】韓国語で断るときの戦略を考える


1.日常会話で必要な意思表示

日本語に比べて、韓国語はストレートに意思表示をすると言われています。例えば、日本語ではやんわりと断るために表面的には断っていることが分からないような表現を使う人が多いでしょう。
そう考えた時に、韓国語で表現することが難しく感じたり、反対に断られた時に日本語で話している時よりも傷ついてしまうことが考えられます。
そうでなくても、もし韓国人と交流があれば、人間関係を友好に築くうえで頼みを断ることが必要な場面に遭遇するのは当たり前のことです。

今回は、韓国語教育として、韓国語で断る練習をどのように実施すればいいかを模索した論文を紹介します。

共有する論文:オ・ギョンスク「韓国語の拒絶の発話教育の方案-中級段階学習者を対象に」


2.断る練習をする

この論文は、教育現場での経験を土台に、韓国語学習者のための断るときの発話教育の具体的な教授法を議論しています。
特に、本格的に発話教育ができる中級段階の学習者に焦点を置いています。

断る時の表現を教えるうえで念頭に置くこととして、学習者へ新しい知識として、韓国語の話すことに関連した知識を提供することにとどまらず、すでに学習者が持っている知識に気づかせ、それらを韓国語学習に活用できるようすることがあります。
加えて、拒否を表現する時の難しさとして、相手の要求やリクエスト、提案、説得などを受け入れられないという意思表示することで、相手の体裁を傷つける可能性が大きい点が挙げられます。

上の2点を考慮して、教育目標として以下の2つが設定されました。

すでに学習者にある普遍的な知識や母国語での知識が、韓国語の言語文化にも有効だと教える

②学習者が持っている知識を韓国語の言語文化に合うように、適切に表現できるようにする

pp.183-184

一般的に何かを断るときには、まず、断ることを暗示させる段階があり、断ることを伝えた後にも、このことによって発生した混乱をおさめる段階があります。
論文では、これらを「最初の段階→本発話的段階→補充段階」としました。
授業では、はじめに、学習者に韓国語で断る方法を理解してもらい、練習段階として上の3段階の順に具体的な戦略と言葉の表現を練習します。
そして、様々なコミュニケーションの場面で練習段階の知識を適切に活用しながら練習してみます。

論文の筆者は、今回の研究の問題点として、上のように提示して授業方案の効果を客観的に検証できなかったことを挙げました。
これは発話能力の評価道具の不備にも直結するとし、今後の課題として、後続研究を通して客観的に検証された教育方法を模索しようとすると述べました。


3.戦略を立てる

韓国人が話すセリフをよく聞くと、曖昧な表現で断る場面に何度も出くわします。
一般的に、韓国は人間関係において上下関係を重視する文化なので、直接的に表現するよりは相手に配慮して衝突を避けようとする表現を好みます。
学習者にとって難しい部分は、NOを表現をするための単語や文法を知らなかったり、言い方によっては今後の人間関係に大きく影響するかもしれないためそもそもNOが言いづらかったりすることでしょう。

このように、学習者にとってはネイティブのように話すことができないために、どのように知っている単語と文法を効果的に使って伝えるかという戦略が必要になってきます。
今回の論文では、この戦略を学習者に伝えることを重要視した内容でした。
私が語学堂に通っていた時を振り返ってみると、初級クラスの時のスピーキング練習で友人からの誘いを断ってみる練習がありました。
練習なので隣の席のクラスメイトと冗談半分でやりましたが、まじめにやろうと思うとすごく難しかった記憶があります。
もちろん、まだ初級なので言えることも少ないのですが、言葉で表現することが「友人を誘ってみる」練習よりも難しくて何と言ったらいいのか悩みました。

外国語の練習は、母国語であまり意識させられなかった「どのように表現するか」をとことん考えさせられる作業でもあるのだと思います。

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論文

オ・ギョンスク「韓国語の拒絶の発話教育の方案-中級段階学習者を対象に」『西江人文論叢 』第30集、ソガン大学校人文科学研究所、2011年、pp.179-206

오경숙 「한국어 거절 화행 교육의 방안-중급 단계 학습자를 대상으로」『西江人文論叢 』第30輯 ,서강대학교 인문과학연구소,2011 ,  pp.179 - 206



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