【韓国論文】日本語を学ぶ韓国人学生がよく間違える敬語
1.韓国語とよく似ていて、大きく異なる日本語
友人と話すときに使うタメ口や반말が外国語で使えるようになると、なんだかこなれた感じがしてきます。
しかし、やはり社会生活の中でいろんなネイティブとコミュニケーションをとっていこうと思うと、誰でも敬語を使う場面に必ず出会うでしょう。
ネイティブでも難しい敬語は、なおさら外国人にとっては難しいのですが、同じように敬語体系を持つ韓国語を母語にする韓国人学習者に注目して、敬語のどの部分を間違えてしまったり、理解に苦労するのかを調査した論文を見ていきます。
共有する論文:バン・グクチョル「日韓大学生の敬語使用の実態調査-敬語教育の観点で-」
2.韓国人が難しがる日本語表現
この研究は、日本と韓国の大学生の敬語使用の実態調査を通じて、韓国人の日本語学習者にとって日本語の敬語運用の手助けになるようにすることが目的です。
そのため、日本語学習者の敬語運用に対する問題点を把握して、最終的に教師側へ敬語教育の方向性を提示するなどをしています。
敬語使用の調査を通して敬語を使う時の傾向を指摘し、韓国人の日本語学習者の敬語教育に活用されることを念頭に置いて調査が実施されました。
調査概要は次の通りです。
各内容の調査結果は次の通りです。
論文の筆者は、調査結果で見られた日韓の違いの原因や背景についての徹底的な分析を今後の課題としました。
また、大学生を中心にした若い人に対しての具体的な敬語教育の方向性や解決策を提示するための体系的分析も課題として残されました。
3.考え方の違いからくる敬語体系の違い
ネイティブでも難しがる敬語ですが、韓国人は韓国語にも敬語があるためその必要性をは理解しやすいほうだと思います。
しかし、敬語の体系やルールが異なるためこの違いに慣れるのに苦労するだろうと思います。
私も韓国語の敬語を使う必要性は理解できても、適切に使いこなす自信はありません。
表面的な体系の違いを説明するよりは、どうしてそんな違いがあるのか文化や歴史的な部分を含めた説明も必要だと思います。
特に、日本で生活することを想定すると、天皇についた知識も必要でしょう。
韓国語の敬語は相手を高めることに重点を置きますが、日本語の敬語は相手を高める表現は韓国語のように重ねて使うことを「二重敬語」とし、正しくない日本語とされています。
例えば、韓国語では「선생님(先生様)」と表現するのは尊敬と丁寧さを表現するとして日常的に使われますが、日本語では「先生」にすでに尊敬の意があるため、さらに尊敬を表現する「様」をつけるのは二重敬語として間違いになります。
そのため、あえて「先生様」と言うのは相手を見下した表現になりかねません。
この違いを乗り越えるのが日本語学習でも韓国語学習でも簡単ではないと思います。
韓国人学習者は、美化語「お」の使用意識が日本学生に比べて弱いという指摘も同意できます。
日本語が流ちょうな韓国芸能人が演じる「ダナカさん」がよく使う「指名/지명」も「ご」をつけずに「指名ですか?」と言う場面をよく見かけます。
細かいことを言えば、お客さんに対しては「‘ご’指名ですか?」がより自然な表現になります。
キャラもあるのでわざとそうしているかもしれませんが、美化語は、韓国語にあまりないルールで、使わなくても意思疎通の上で大きな問題はないため必要性を感じにくいだろうと考えられます。
反対に、韓国人が日本語敬語を難しがる理由と日本人が韓国敬語を難しがる理由は似ていて、表裏一体の可能性も考えられるので、引き続き注目していきたいと思います。
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論文
バン・グクチョル「日韓大学生の敬語使用の実態調査-敬語教育の観点で-」『日本語教育』38巻0号、韓国日本語教育学会、2006年、pp.47-66
방극철 「한일 대학생의 경어사용 실태조사 -경어교육의 관점에서-」『일본어교육』38권0호 ,한국일본어교육학회 , 2006년, pp.47-66
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