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0108 少年の夢見た音

今回はあらすじなし。
急にふと思い出したのだが、サザエさんの『おじいちゃんの金時計』という話が好きである。
普段はサボり魔のカツオが波平が祖父から譲り受けた金時計を手に入れるために一所懸命テスト勉強に励む話。
残念ながら名前の書き忘れで、カツオの100点は0点になってしまい、カツオは時計を手に入れることはできなかった。
でも、それでは…と思った波平はカツオに金時計の音を聴かせて、それをご褒美にしたって言うオチになっている。
この話で何よりも好きなのは、「カツオはやれば出来る子」という彼の成長よりも、「欲しいもののために一所懸命努力できる少年」としての側面を見ることができたことだ。まだ名前を書き忘れる子供のような面があっても、あの時の彼には確実に「欲望とそれに見合った努力」をするガムシャラな少年だった。
だから、私はたまに夢見てしまうのだ。大人になった彼のベルトかポケットに例の金時計がぶら下がっていて………どこか子供のような幼さを覗かせる立派な青年、カツオがどこかにいる未来を。いたずら好きならばなおのこと最高だ。それが彼の代名詞なのだから。

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