「4種きのこのドリア」が本当に4種かどうか怪しい件
「7種野菜のスープ」だったり「11種野菜のサラダ」だったり。
素材の豊かさを数字で示されると、つい買ってしまうのが栄養に飢えた現代人である。
しかし、「○種」の内訳を確認したことはあるだろうか?
先日、セブンイレブンで「4種きのことベーコンのクリームドリア」を買ってきた。
きのこは総じて好きである。それが4種も入ってるお得メニュー。買わざるを得ないだろう。
で、いつもならさっさとビニールを破いてレンジに投入するところだが、その日の私は余裕があったんだろうか。気になった。
「4種きのこ」って、具体的には何なんだ?
パッケージをひっくり返し、原材料を確認してみた。
マッシュルーム、エリンギ、ぶなしめじ、舞茸の文字を発見。
しっかり4種のきのこがキャスティングされている。商品名に偽りは無いようだ。
……ん?
きのこシーズニングエキス
これ何?
「シーズニング」とは粉末の調味料を指す言葉である。どうやら、何らかのきのこのエキスが含まれているらしい。それは何のきのこなの?
もし、既に名前が挙がっている「マッシュルーム、エリンギ、ぶなしめじ、舞茸」のどれかだとすると、そいつだけは本体の出演に加えてエキス出演まで果たしていることになる。アピールが強すぎじゃないだろうか。焼鮭定食のごはんに鮭フレークをまぶすようなもんだぞ。
あるいは、4種のどれでもない第5のきのこなのかもしれない。しいたけとか、なめことか、松茸とか。
しかしそれなら、なぜ具体名が伏せられているのか?載せたくても載せられないのか?ドラマの公開直前にスキャンダルが発覚した芸能人か?
どちらにしても、「きのこシーズニングエキス」と濁されているのが不思議でならない。商品紹介ページにも情報が無い。
何のきのこかはっきりさせないと、本当に「4種きのこ」かどうか怪しいじゃないか。
よし、セブンイレブンに問い合わせよう。
セブンイレブンのホームページには、質問に答えてくれるAIチャットボットが常駐している。
顔に「7」のロゴを浮かべて微笑むチャットボットさんに、業界の闇に触れるかもしれない質問を投げかけてみた。
込み入った質問なのに、一瞬で回答が来た。さすがAIは優秀だな、と思ったのも一瞬だけだった。
豪快にはぐらかされたんだが。
回答になってないどころか、一方的な選択肢をこしらえて会話を誘導するという暴君のごとき応対だ。「わかりません」とすら言えないのか?怪しさは深まるばかりだ。
しかたない、ここは相手に従おう。「新商品や店舗で販売している商品について知りたい」をクリック。
ホームページのリンクをずらずらっと案内された。
いや、ホームページに書いてないから聞いてるんだよ。
長々と列挙した末に「この回答はお役に立ちましたか?」と、一仕事終えた感を演出してきた。
コーヒーブレイクしたい心持ちかもしれないけど、こちとら疑問はさっぱり解消してないよ。強い意思で「いいえ」をクリック。
ギブアップが早すぎる。もうちょっとさぁ、突っ込んで調べるとか、担当者に聞いてみるとか無いの?
顔を上げてよく聞きなさい。「回答が不足」だ!
骨の髄までポジティブだな。
感謝の言葉に「!」までつけて軽やかに去って行った。苦言を呈されても折れない鉄壁メンタルだ。「なかなか見込みのある若者じゃわい」とヒゲのひとつもなでたくなる。
こうして、最先端のAIチャットボットに問い合わせた結果は
「"きのこシーズニングエキス"のきのこは謎」
であった。進展ゼロ。
これからも私は、ドリアを見るたびに「4種以外のきのこが入ってるかもしれないんだよなぁ…」と疑い続けなければならないのだ。「4種強きのこのドリア」とでも名付けるべきである。
いつかはAIチャットボットが成長して、何のきのこか答えられるようになるんだろうか。
技術の進歩を願いつつ、私は電子レンジのスイッチを押した……
あ、おいしいですよ。
お金をください!