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たけのこの里が高跳び世界記録を塗り替えた

子どものころにうまさが味覚に刻印され、ずっと食べ続けているものがある。
「たけのこの里」も、そのひとつ。

販売元である明治は、現在「きのこたけのこ2020キャンペーン」と題して、スポーツを応援する企画を開催している。
その一環として、たけのこの里が期間限定パッケージになっているのだ。

コンビニでそのパッケージを目にした瞬間、脳内でnoteのタイピングが始まった。

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こ、これは…!
TOKYO2020マスコットの「ミライトワ」とともに、たけのこの里がハードルを飛び越えている!
竹の幼体を模したお菓子にとって、ハードルなど文字通り手も足も出ない障害のはず。いったいどんな原理でジャンプしているのか?
これは調査しなければ…


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…え?


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まずい、過激派の「きのこの山」信奉者だ!たけのこの気配をかぎつけて来やがった!
みんな伏せろ!私が説得しよう。

いいか、落ち着け。きのこ信者よ。
こちらに戦意は無い。お前も「ここ」(漫画だったら"note"とルビがついてます)の住人ならわかるだろう?神聖なコミュニティを血で汚したくないんだ…
主張があるなら、弾を撃つ前に文字を打て!


…よし、わかってくれたか。

確かに私はたけのこの里が好きだ。しかし、きのこの山派と争う気はさらさらない。
このnoteでは純粋に、チョコとクッキーの構造体である菓子に秘められたパワーを解明したいのだ。
きのこたけのこ関係なく、どちらの派閥の方にも読んでほしい。

しかし、これは終始たけのこの里の話しかせず、たけのこの里の画像のみが踊るnote。
きのこの山派にしてみれば、ダイオウグソクムシの裏側のごとく目を背けたくなるかもしれない。

そこでこのnoteでは、きのこの山派への配慮として、本題とは特に関係ない「きのこの山の画像」をところどころに挿入する。
スクロールを多少長くしてでも、万人に門戸を開きたいのだ。
どうか、YouTubeの広告みたいなものだと思って許してもらいたい。


たけのこの里を身体測定する

さて、あらためてパッケージを見てみよう。

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華麗にハードルをジャンプしてみせる、たけのこの里。
左端でハードルを倒してしまっているドジっ子もいるがご愛敬だ。これぐらいはエンタメのうち、むしろ観客にとってはシャッターチャンスである。

まず、どれほどすごいことなのか確認するため、「たけのこの里の身長」「ハードルの高さ」を計測しよう。

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ハードルを難なくクリアしている三名のうち、一番左のたけのこが最も正面向きに近いため、この選手を測定対象とする。
今後、親しみを込めて「タケやん」と呼ばせて頂こう。

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計測と言っても、その辺に落ちている定規などを適当にあてがうわけにはいかない。
なぜなら、タケやんは0.001秒の世界でメダルを狙うアスリートなのだ。毎朝の筋トレはもちろん、来る日も来る日も竹やぶの中をランニング、就寝前にはチョコレート味のプロテインを欠かさないストイックな戦士なのだ。タケやんとか呼んでごめん。
そのスポーツマンシップに敬意を表し、なるべく厳密に測りたい。

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そこで、物体の長さを0.01mm単位で計測できる「デジタルノギス」の出番である。
精密さもさることながら、測定値が大きく表示されるのもありがたい。公正な身体測定にはうってつけだ。


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パッケージを切り取り、段ボールにピンで固定。


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そして、タケやんの頭頂部尻の先端にもピンを打ち込み、それをデジタルノギスでしっかりと挟んだ。これは拷問ではなく計測である。


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ご覧の通り、タケやんの身長は24.29mmだ。
身長を0.01mm単位で測ってもらえるなんて、人間の健康診断でもあり得ない厚遇である。タケやんがうらやましい。
ちなみに、ピンを刺すときタケやんの断末魔が聞こえた気がするが、気にしないことにする。


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同様にしてハードルの高さも測定し、こちらは11.59mmであった。

身長24.29mmのタケやんが、11.59mmのハードルを跳び越える。
これは、人間に例えるとどういう行為なのか?
実際の陸上競技であるハードルについて調査し、タケやんの実力を確かめよう。

日本陸上競技連盟の公式サイトによると、ハードルの高さは種目によって異なっている。最もハードルが高いのは男子110mで、その高さは106.7cmだ。けっこう高い。

また、同じく日本陸上競技連盟によると、男子ハードル110mの日本代表選手は6名(参考)。その身長は以下の通りである。

・矢澤 航 178cm
・高山 峻野 182cm
・増野 元太 182cm
・大室 秀樹 180cm
・泉谷 駿介 175cm
・金井 大旺 179cm

平均身長は179cm。やはり一般人よりは高めだ。
つまり、男子のハードル走者は、身長の約0.6倍のハードルを跳んでいることになる。すごいな。

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続いて、女子ハードル100mについても同様に調べたところ、ハードルの高さは83.8cm、代表選手の身長は平均168cmであった。ハードルの高さは身長の約0.5倍だ。

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これに対し、タケやんが跳んでいるハードルは、タケやんの身長の約0.5倍である。あ、タケやん女子だったのか。
とすると、一緒に走っているミライトワも女子ということになる。公式ではミライトワに性別は無いとされている(参考:J-CASTニュース)が、こんな形で判明していいのか。

お菓子ハードルたけのこの里部門ならこの高さだが、これがチョコパイ部門、コアラのマーチ部門、おっとっと部門だったらどうなるか…興味はとどまるところを知らない。
あと「おっとっと部門」って、名前からしてハードル倒しそうだな。むしろ飛び越えるのではなく、ハードルの上に乗ってバランスを取る競技かもしれない。初見の人には奇想天外さでウケるものの、メダル争いという意味では全く盛り上がらないのが難点である。


タケやんの内部図解に挑む

いよいよ、謎の本丸に迫ろう。
タケやんはどんな原理でジャンプしているのか?

たけのこの里の内部にメスを入れるため、箱からひとりの生贄を選び出し、包丁で一刀両断してみた。

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クッキー部が思ったより大きくて、なんだかおにぎりみたいである。
炊き込みご飯で握ったおにぎりに煮込み倒したカレーを浴びせたら、似たような写真が撮れるかもしれない。

菓子と米がシンクロする味覚の混乱を感じつつ、断面をつぶさに眺めていると…ひらめきが舞い降りた!


タケやんは、体内にバネを仕込んでいるのでは?


図解

タケやんの断面図を想像で描いてみた。
このように、チョコ部とクッキー部の継ぎ目にバネが内蔵されている。これはたけのこの里のうち、真のアスリートのみが持ち合わせる特異体質である。

たけのこバネ

タケやんは、バネの力でチョコ部を上下させることができる。
そして、いざハードルを飛び越えるときは、

たけのこジャンプ2

ぐぐぐっっ…と力をためて、ぴょーーーーーーん!と。

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なるほど、考えたな。
ファミコンのコントローラーにバネを仕込んで16連射を偽装する人間は裁かれてしかるべきだが、たけのこの里が跳躍するとすれば、この方法しかないだろう。

ひょっとするとタケやん、本気出したらもっと跳べるのでは…?
ここはひとつ、本格的にタケやんのジャンプ力を解剖しよう。


タケやんに秘められし実力

バネといっても、太さや強度にはいろいろな種類がある。
そこで、タケやんに内蔵されているバネのメーカーを特定したい。

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たけのこの里の表示によると、製造所は大阪の高槻市にあるという。
製造工程でバネを埋め込むことを考えると、バネの工場も地理的に近いところにありそうだ。

大阪府内にあるバネのメーカーをくまなく調査した結果、私がタケやんパワーの源とにらんだのが、大阪市福島区にある「新生発条工業」である。

タケやんの出身工場に近いことに加えて、取り扱っているバネの詳細な仕様がサイトで公開されているためだ。
外径、長さ、ばね定数(バネの強さを表す値)など。ジャンプ力を導くうえで、これほど有難いことはない。

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新生発条工業Webサイトより抜粋)

この情報をもとに、高校物理の知識を記憶のバックヤードから発掘し、弾性エネルギーの公式力学的エネルギー保存の法則を駆使して、バネを内蔵したタケやんのジャンプ力を計算した。
なお、計算過程は複雑すぎてnoteに書けないため、手書きで計算したノートの写真を載せておく。興味のある方は拡大して見てほしいが、結論は後でちゃんと書くので無理しなくてもいいよ。

写真 2020-05-30 18 31 47

(参考:映像授業のTry IT

手書きでこれほど長い文章を書くのは久々である。
手汗でノートがふやける、インクのカスみたいなのが出て文字が汚れる、中指のペンだこがリズミカルに刺激されてかきむしりたくなる…数々の懐かしい感覚がよみがえった。デジタル万歳。

では、そろそろノスタルジーの足湯から上がって、計算結果を発表しよう。
ずばり、本気モードに入ったタケやんのジャンプ力は…


292mm!

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な、なんだってーーー!
タケやんの身長は24.29mm、その12倍もジャンプできるとは!
この驚異的な数値は、新生発条工業のバネの性能と、タケやんの体重の軽さに起因する。

も、もしかするとタケやん、ハードルより走り高跳びをやるべきでは?


たけやんしっているか
はしりたかとびのせかいきろくは
33ねんこうしんされていない


興奮のあまりデスノート構文が飛び出してしまったが、事実なのだ。
国際陸上競技連盟のサイトによれば、女子走り高跳びの世界記録は2.09m。ブルガリアのステフカ・コスタディノヴァ選手が1987年にうち立てたという。
1987年。33年前である。

しかし、陸上界にさっそうと現れたタケやん。大阪仕込みのバネパワーで身長の12倍、人間でいうと20mもの大ジャンプ!こんなの特撮だろ!
世界記録を一気に10倍近く塗り替えてしまった!
数多のアスリートが挑み続け、33年間超えられることのなかった大記録。それを破ったのは、竹の幼体チョコレートぶっかけスナックだったのだ!

2020年、陸上の歴史に新たな、新たすぎる1ページが刻まれた…
我々はその瞬間を目の当たりにしたのである!
地球に生まれてよかったぁーーーーー!


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皆さん、覚えておいてほしい。
もし、作業のおともに食べたたけのこの里にバネが入っていたとしても、それは決して異物混入事件ではない。タケやんである。
彼女はれっきとしたたけのこの里であり、偉大な記録を樹立したスプリンターなのだ。スプリングが入ってるからスプリンターなのだ。
どうか、明治にクレームを入れたりクソリプを送ったりベンツで突っ込んだりせず、彼女の首に金メダルをかけてあげてほしい。どこが首かわかんないけど。


あと、食べるときはバネ飲み込まないように注意してね。


最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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