■vol.20【機械知識】1時間アウトについての考察
―最近の機械(特にP機)について
・最近のパチンコ新台ってアウトの下降が急だと感じられていませんか?
実はこれ、台の人気不人気以外にも理由があります。今日はそのあたりを理論的に因数分解しておきたいと思います。
某業界ビッグデータの(新聞、昨日のデータ)を日々確認されている方は多いと思います。
その中の項目の一つに(遊技時間)というものがあります。ここにカーソルを合わせると(1時間アウト:???)という数字が出てきます。これはその機械が”1時間あたりに打ち込まれる遊技玉を表す数字“です。この数字が高ければ高いほど、その機種の1日のアウトは理論的に高くなります。例えば
【1時間アウト】
Pワンパンマン=4800
P七つの大罪=5000
Pターミネーター=4660
上記の機種がすべて9時間稼働する場合は
Pワンパンマン=4800×9時間=43200発
P七つの大罪=5000×9時間=45000発
Pターミネーター=4660×9時間=41940発
となり、これが全国データでみる”稼働”となります。つまり、お客様が実際に遊技される時間が同じであっても、機種によってアウトが変わります。そのため、上記3機種の中では(P七つの大罪)が最もアウトが高くなりやすい機種となります。そのため遊技時間を9時間、玉単価がすべて2.0円とした場合の機種ごとの台売上は
Pワンパンマン=43200発×2.0円=86400円
P七つの大罪=5000×9=45000発=90000円
Pターミネーター=4660×9=41940発=83880円
となり、同じ遊技時間であれば(P七つの大罪)のアウトが最も高く表記され、台売上は最も高い数字になります。
つまり、このように(1時間アウト:???)が高い機種が長期で貢献すればするほど、店側にとってはうれしい状態となります。ちなみにですが、現在のメイン3機種の1時間アウトはそれぞれ
Pヱヴァ15:4600
Pリゼロ:4870
PガンダムUC:4750
となっており、この3機種の中では(Pリゼロ)が最も高い1時間アウトとなります。過去の長期貢献機だと2020年11月の(Pとある魔術の禁書目録)は
Pとある魔術の禁書目録:4330
と1時間アウトが低いため、高稼働した場合も必然的に1日のアウトと台売上が低く表われることになります。また海シリーズの場合
P海物語E:5330
P沖海5:5210
PA新海物語ARBB:5020
と全般的に1時間アウトは高い仕様となっています。これは演出の長短、右打ちの消化速度などがその原因となります(※海は通常時、確変中も演出が短い、とあるは全般的に演出が長め)。
ただし、これは
【1時間アウトが高い方が良い機械、低ければ悪い機械というわけではありません】
理由として、1時間アウトが高い機械の特徴は
(アウトが高くなるため、台売上が高くなりやすい、土日などの集客に最適)
(経過でアウトは自然に減少していくが、その下がり幅が大きくなる)
逆に1時間アウトが低い機種の特徴は
(アウトは低くなる傾向であるため、平日の顧客滞在に最適)
(経過でアウトは自然に減少していくが、その下がり幅は比較的小さくなる)
―まとめると
1時間アウト高い機種=単日の売り上げは上がりやすいが、稼働の落ち幅が大きい
1時間アウト低い機種=単日の売り上げは低めだが、稼働の自然減少幅が小さい傾向
というそれぞれの特徴があります。
―販売メーカーの視点と購買するホール側の心理と
以上の特徴を踏まえた上で、次は(販売メーカー側)と(購買するホール側)、それぞれの視点で考えてみたいと思います。
当然販売するメーカー側としては”多く売りたい”売りやすいスペック”は何か?という視点が強くなります。
対して購買するホール側の視点は”稼働が高い機械””売上が高い機械”が欲しい!となります。
ではその両方のニーズを満たす機械ってどのような機械なのか?の最適解が今は【1時間アウトが高い機械】となります。前述のように1時間アウトが高ければ、初動アウトは高くなりやすい上に、1時間当たりのアウトが高い方が当然売上が上がることになります。
そのため、メーカー側としては【1時間アウトが高い機械】を作ろうとします。その結果、1年前に比べて、初動アウトが高い機械が多くなってきている。でも貢献期間は短くなっている、という現象が起こっています(※前述のように1時間アウトが高い機械は下がり幅が大きくなるため)。
以上が【初動アウトは高いけど、貢献期間が短い機械が多くなってきているロジック】となります。そもそも売る側も買う側も”お客様視点が欠如”しているため、1機種あたりの稼働は下がって当たり前です。市場(お客様)のニーズを満たすための機械であるはずが、ホールに売りたいメーカー側とアウトが高くて売上が入る機械が欲しいホール側。そこに”お客様の視点”が介在していないので、1機種あたりの貢献は短くなって当然です。
例えば今回の「Pワンパンマン」であれば、お客様視点で考えた場合
(新規人気コンテンツだから通常時も、確変時もワンパンマンらしい演出を楽しみたい=1時間アウトは低くても良い)
であるはずなのに、売りたいメーカー側は、ホール優先で考えるあまり、1時間アウトが高い機種として作ってしまっている。つまりお客様、メーカー、ホールのニーズすべてが満たせていないということになります。
だから稼働がイマイチとなっています。タラレバですが、「Pワンパンマン」は1時間アウトが低く作られていたら、もっとファンのお客様のニーズを満たせていたと思います。今回はコンテンツを求めるファンに速さを提供した結果と言えます。
そのような観点から次機種以降を判断していきたいと思います。
【お客様の今のニーズを満たすバランスの機種、それはコンテンツ重視の機種であれば、1時間アウトを低く、瞬間的な売上は低くなったとしてでも、そのコンテンツを楽しませる作りであるべき】
と考えます。皆様はどのようにお考えでしょうか。
P業界の准教授@Pラボラトリー
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