見出し画像

タラの芽の生命力(その2)

春の訪れを告げる、山菜の王様「タラの芽」。

今年、我が家の畑にあるタラの木を切ってきて水耕栽培したところ、それぞれの節にある芽が伸びてきた。その生命力の強さに感激したことを以前の記事で書いた。

我が家の庭のタラの木を切って水耕栽培にすると絶えてしまうので、山にタラの木を探しに行った。なんとか見つけたタラの木を切ってきて、我が家のタラの木と同じように水耕栽培を始めた。もちろん、我が家で食べるのが目的であるが、あわよくば販売できないかと目論んでいたことはナイショだ。

YouTubeやネットでタラの芽の水耕栽培をググってにわか仕込みで勉強し、やってみた。調子に乗って3回ほど山へ行き、その都度約20本ほど採ってきて、そのタラの木を節毎に切った。都合、約400本の水耕栽培の元ができた。

山形では大規模にタラの芽の水耕栽培をやっている農家があるようで、YouTubeにも出ている。ハウス1棟丸々栽培しているようだが、いったい節の数だと何本になるのだろうか。何万本という単位になるのではないだろうか。

最初は芽が出てくるのが楽しくて、子どもを育てているようで、毎日朝晩と眺めていた。食べられる大きさになるまでに1カ月ほどかかるということだったのだが、芽はでるが1カ月してもなかなか大きくならない。そのうちに、我が家の畑にある本物(?)のタラの芽に大きさを抜かれてしまう。畑のタラの芽は私の口には入ることなく、母が直売所で売ってしまった。

タラの芽はてっぺんの芽がもがれると、生きなければ!ということで2番芽が息を吹き返して大きくなる。1番芽よりは葉が広がってしまうが、2番芽でも天ぷらにするととてもおいしい。正確にいうと味はなく、少し独特の苦みがある。おいしいとはいえないが、天ぷらで若い芽と葉の生命力をいただくということにうまさと喜びを感じるのかもしれない。

さて、私が山から採ってきたタラの木。確かに芽はでているが、いまいち伸びが悪い。自分が想定していたよりも成長の度合いが遅く、自分の家で食べる程度としてもまだ小さく、ましてや販売するような大きさにはまだなっていない。

なぜなのだろう。

タラの木を節毎に切ると、切ったところから木の樹液が出てくる。この樹液をよく洗ってあげないと、ここからカビが発生するので気をつけてねとYouTubeなどで言っていた。そのとおりに一回洗ってから木の節を縦に並べた。水も頻繁に交換する必要があるとのことで、YouTubeの栽培者のアドバイスのとおり2日に1回水を変えた。

芽はでた。しかし、カビがはえたものがかなりあった。水が少し臭う。水が濁るのが早いので水の交換は毎日に変更した。

正直、自分が当初想定していた姿にはまだなっていない。成長スピードも遅い。一番の原因は、おそらくカビではなかろうか。栽培農家はハウスの中で温度管理をしており、私は自宅の中ではあるが常に15度程度はあるので外よりは温度の変化は少ないはず。それでも外のタラの芽より育ちが悪いのは、1点目はカビ、2点目は水だろうか。いくら水だけで育つといっても、水だけではタラの木も辛いだろう。人間だって、水だけで生きられるが、水だけでは太ることはできない。

観賞、あるいは自宅での食材としてのタラの芽の水耕栽培としてはよかったかもしれないが、販売となると今回は失敗だったと言っていい。もちろん、いま育てているものは母に天ぷらにしてもらって食べるつもりである。

タラの芽の生命力を感じる一方で、生き物を育てるというのは難しいことなんだ、ということを痛感した1カ月だった。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?